糖質制限と卵の摂取

以前の記事「大量のコレステロールを摂るとどうなるか? その2」でも取り上げた研究ですが、糖質制限+卵3個摂取がどのような変化をもたらすかを調べたものがあります。

この研究は、40~70歳の過体重または肥満の男性で行われました。卵を1日3個食べる卵グループと、卵の代替品でコレステロール0のものを食べるサブグループに分けました。どちらのグループもエネルギー摂取制限はなく、卵グループは640mg/日のコレステロールを卵から追加摂取し、両グループともに無制限の量の肉と魚、適度な量のチーズ、野菜、低炭水化物のサラダドレッシング、少量の種とナッツを食べることができました。摂取される脂質の種類に制限はありませんでした。(図は原文より、表は原文より改変)

変数ベースライン1週6週12週
総エネルギー kcal/日
    卵2544±9211821±3111909±6411962±691
    サブ2318±10301973±4651985±7381821±408
炭水化物 
    卵42.4±8.311.1±5.013.8±7.714.9±9.3
    サブ41.5±9.515.6±8.817.8±9.719.9±12.1
脂肪 
    卵39.9±7.257.9±6.658.1±9.556.1±10.3
    サブ39.2±8.454.5±7.454.7±8.654.9±13.8
タンパク質 
    卵17.1±3.728.9±5.125.9±5.826.9±6.5
    サブ18.6±5.927.9±4.125.1±3.524.5±3.6
コレステロール mg/日
    卵319±150778±240832±253827±192
    サブ354±170403±174337±133277±100

上の表はベースラインと糖質制限をして1週、6週、12週でのそれぞれの食事のPFCバランスなどです。エネルギー摂取量の制限はなかったのですが、糖質制限により自然と摂取したエネルギーが減少しました。

上の図はPFCの摂取量(g)です。ベースラインと比較して、Cつまり炭水化物は当然極端に少なくなり、少しずつは増加してきていますが、12週でも1日100gにもなっていません。

変数ベースライン週6週12平均絶対変化
総コレステロール mg/dL12週
198.3±42.1194.5±40.6202.2±41.8+3.9
サブ188.3±33.7178.7±33.1187.3±39.5+1.0
中性脂肪 mg/dL
    卵114.2±49.472.7±20.770.1±20.8−44.1
   サブ126.1±69.491.9±31.376.7±33.0−49.4
HDL-C mg/dL
    卵47.6±15.159.6±14.557.1±15.1+12.0
   サブ50.0±9.749.4±8.848.8±8.8−1.2
LDL-C mg/dL
    卵127.5±42.2121.2±40.0144.3±45.1+16.8
    サブ110.8±34.5107.3±34.4121.5±42.0+13.5
LDL-C / HDL-C
    卵2.27±0.831.89±0.752.46±1.04+0.19
    サブ2.37±1.142.23±0.852.42±0.78+0.05

上の表はベースラインと糖質制限後の脂質の状態です。総コレステロールは変化なしです。中性脂肪はどちらのグループも大幅に低下しています。HDLコレステロールは卵グループのみ非常に増加しています。LDLコレステロールは両グループともに増加しているように見えますがベースラインとは有意差なしです。つまり、卵グループは大量のコレステロールを摂取したにも関わらず、総コレステロールもLDLコレステロールも変化せず、中性脂肪は大幅低下で、HDLコレステロールは増加したのです。

上の図はそれぞれの対象者のベースラインから糖質制限12週でのHDLコレステロールの変化率を示しています。左が卵グループ、右がサブグループです。そうすると卵グループの多くの人はHDLコレステロールが増加していますが、サブグループの人はほとんど変化していない人もいれば低下している人もいます。

中性脂肪/HDL比は卵グループでベースライン114.2/47.6=2.4、12週で70.1/57.1=1.2、サブグループでベースライン126.1/50.0=2.5、12週で76.7/48.8=1.57です。卵グループの方が低下し、理想値の範囲に入っています。糖質制限だけのサブグループでも大幅に改善していますが。

以前の記事「1日3個の卵は健康的であるかもしれない」でも書いたように、1日3個の卵の摂取は、大きい粒子サイズのLDLを増加させ、HDLの重要な機能である抗酸化作用を増加させ、さらに抗酸化物質の血中の濃度も増加させるのです。このような変化は健康的な変化だと考えられます。今回の研究ではLDLは有意な増加はありませんでしたが、増加傾向でした。大きな善玉LDLが増加するので、その分LDLコレステロール値が増加しても不思議ではありません。

最近発表された研究では、3つの長期研究を分析した最新の研究結果から、卵の摂取量と心血管疾患の発症リスクにはつながりがないことが明らかになっています。(その論文はここ)(ただこの研究も食事アンケートのものですので、信用度はそれほど高くありません。)

卵でLDLコレステロール値が増加することはありうることです。でも、それがリスクをもたらすわけではありませんし、HDLを増加させ、HDLの質も良くするというのであれば、卵を避ける理由は無いと思います。まあ、自己判断ですが。

「Dietary cholesterol from eggs increases plasma HDL cholesterol in overweight men consuming a carbohydrate-restricted diet」

「卵からの食事性コレステロールは、炭水化物制限食を摂取している太りすぎの男性の血漿HDLコレステロールを増加させます」(原文はここ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. 山本 より:

    息子の嫁のかかりつけの産婦人科は宗田医師のような糖質制限肯定派の医師。妊婦に「日に卵3個」を推奨。
    その精神、栄養士にも徹底しているとみえて、病院食に関しても、低糖質・高たんぱく・高脂質の糖質制限の基本をきちんと遵守。言葉の正確な意味で「有難い」産婦人科医院。
    で、無事に出産、母子ともに健康そのものでした。

    もういちど言いましょう、ありがたきかな、めずらしきかな? 糖質制限・産婦人科医

    • Dr.Shimizu より:

      山本さん、無事出産良かったですね。

      ご自身と考えの合う医師に出会えて良かったと思います。