スタチンがHDLコレステロールを低下させることは珍しくない

スタチンはコレステロールの合成を抑制するので、通常はLDLコレステロールが低下します。一方でHDLコレステロールはどうでしょうか?

以前の記事「糖質制限ではどうしてHDLコレステロール値が増加し、中性脂肪値が低下するのか? その2」で書いたように、メカニズム的にはスタチンによりコレステロールの合成が低下すると、細胞ではSREBP-2が増加し、コレステロールの合成と取り込みを促進しようとしますし、miR33aによりコレステロールの引き抜きに関わるABCA1によるHDL産生を抑えることになります。つまり、スタチンはHDLを低下させる可能性があるのです。

実際はどうでしょう。(図は原文より改変)

上の図は様々なスタチン製剤の様々な量を内服したときのLDLコレステロール(縦軸)およびHDLコレステロール(横軸)の変化率です。変化ゼロに線を引いています。

そうすると、確かにLDLコレステロールが低下している人がほとんどですが、逆に増加している人もいます。しかし、HDLコレステロールはパッと見て3~4割は減少しているように見えます。スタチンでHDLコレステロールが低下することは珍しくないのです。

下の図は別の研究のものです。スタチン治療を開始した患者のHDLコレステロールは20%の人で減少し、58%で変化がなく、22%で増加しました。(図は原文より)

上の図は点線がHDLコレステロールの減少した人、実線がHDLコレステロールの変化がなかった人です。縦軸は心血管疾患イベント(虚血性脳卒中や心血管疾患死)の発生率です。HDLの変化がなかった人よりもHDLが減少した人の方がリスクが56%も増加しています。

つまり、スタチンを飲んでHDLが減少する場合はスタチンを使わない方が良いということになります。

以前の記事「糖質制限ではどうしてHDLコレステロール値が増加し、中性脂肪値が低下するのか? その2」で書いたように、インスリンが増加すればHDLが減少します。つまり、スタチンを使うかどうかというよりも、インスリンをいかに減らすかが重要であると思います。

スタチンには様々な有害作用があります。(「スタチンはあなたの体の重要な機能を低下させる」など参照)

あなたのそのスタチンは本当に必要ですか?

「Effect of statins on HDL-C: a complex process unrelated to changes in LDL-C: analysis of the VOYAGER Database」

「HDL-Cに対するスタチンの影響:LDL-Cの変更とは無関係の複雑なプロセス:VOYAGERデータベースの分析」(原文はここ

「Association Between Paradoxical HDL Cholesterol Decrease and Risk of Major Adverse Cardiovascular Events in Patients Initiated on Statin Treatment in a Primary Care Setting」

「プライマリケア設定でスタチン治療を開始した患者における逆説的HDLコレステロール減少と主要な有害心血管イベントのリスクとの関連」(原文はここ

コメント

  1. 鈴木武彦 より:

    最近、健診の機会があり脂質異常の指摘。
    (HDL120/LDL 234/中性脂肪34/血糖82)
    「コレステロール下げる薬出しますか?」
    「オリーブオイルなどを摂ると良いです」
    等担当医師からのアドバイス。
    (摂り過ぎるほど摂っております。ついでにMCTオイルやバター、サバ水煮なども)
    糖質セイゲニストあるある、でした。

    • Dr.Shimizu より:

      鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。

      「オリーブオイル」ですか?LDLしか見ていない方がほとんどなので、仕方がないですね。

  2. 鈴木武彦 より:

    お忙しい中ご返信、貴重なご意見ありがとうございます。
    なんだかんだ言ってもやはり医師から指摘を受けると心配にもなるので。