新型コロナウイルス感染では高血糖があると数倍死亡率が高い その1

新型コロナウイルスの重症化リスクの一つは糖尿病ですが、糖尿病があるか無いかだけでなく、高血糖を示す場合は、そうでない人と比較して数倍も死亡率が高くなるようです。

中国の研究では、糖尿病の人と非糖尿病の比較だけでなく、糖尿病の人の中で血糖コントロールが良好な人とコントロール不良な人との比較をしています。糖尿病群と非糖尿病群では、当然とも言えますが、他の併存症の割合が異なっていました。高血圧(53.4%対19.7%)、冠状動脈心疾患(13.7%対3.7%)、脳血管疾患(5.6%対1.5%)、慢性腎臓病(4.9%対1.3%)でした。糖尿病群の血糖値も当然非糖尿病群に比べてはるかに高く、8.3mmol/L(149mg/dL)対5.2mmol/L(94mg/dL)、HbA1cは7.9%対6.1%でした。

院内死亡率は、糖尿病群の方が非糖尿病患者と比較して有意に高く、7.8%対2.7%で、糖尿病群と非糖尿病群の28日の全原因死亡率の入院時の年齢と性別を調整した後のリスク比は1.70でした。新型コロナの重症度をさらに調整したところ、これら2つのグループ間の全原因死亡率のリスク比は1.49でした。

では糖尿病群の中で、血糖コントロールが良好な人と不良な人ではどのように違うでしょうか?

(図は原文より、表は原文より改変)

まずは上の図は、非常にわかりやすい面白いグラフィックです。良好な血糖コントロールの人は98.9%生存し、コントロールの不良な人は11%も死亡するという結果です。

ここでの血糖変動は、観察期間中の最低空腹時血糖と食後2時間値の間の範囲として定義されました。十分にコントロールされた血糖値は、空腹時血糖値の正常範囲が3.9〜6.1mmol/L(70~110mg/dL)であり、10mmol/L(180mg/dL)未満が糖尿病管理における2時間血糖値の目標レベルであるため、血糖変動が3.9〜10.0mmol/L(70~180mg/dL)の範囲で定義されました。コントロール不良の血糖値は、最低の空腹時血糖値が3.9mmol/L(70mg/dL)以上であり、最高の食後2時間値が10.0mmol/L(180mg/dL)を超えると定義されました。簡単に言えば、食後2時間の血糖値が180mg/dLを超えるかどうかです。

上の図は青い線が血糖コントロール良好群、赤が不良群です。様々なパラメータが大きく違い、当然コントロール良好群の方が他のパラメーターも比較的良好です。

調整モデルとマッチングモデルでの適切に血糖がコントロールされた群と不十分コントロールのハザード比の表です。
マッチング無しマッチング
調整前調整後調整後
HR(95%CI)HR(95%CI)HR(95%CI)
全原因死亡0.09(0.03、0.30)0.13(0.04、0.44)0.14(0.03、0.60)
ARDS0.31(0.19、0.50)0.41(0.25、0.66)0.47(0.27、0.83)
急性腎障害0.19(0.04、0.80)0.22(0.05、1.03)0.12(0.01、0.96)
急性心障害0.14(0.05、0.39)0.21(0.07、0.59)0.24(0.08、0.71)

全原因死亡のリスク比はなんと0.14、血糖コントロールが悪いと7倍以上も死亡リスクが高くなるのです。感染に伴う臓器障害も血糖値のコントロールが悪いと格段に高くなります。また、敗血症性ショックは0.0%対4.7%、およびDICは0.0%対0.6%でした。サンプル数は少ないですがコントロール良好群では敗血症もDICもいませんでした。

つまり、最も重要なのは血糖変動を十分にコントロールすることであり、食後血糖値を180mg/dL以上にするべきではありません。食後高血糖は糖質の摂取で起こります。今回の研究では糖尿病の人だけでしたが、恐らく糖尿病の診断がついていなくても、食後高血糖は新型コロナウイルスの重症化や死亡に大きく関連していると思います。悪いのは糖尿病という疾患ではなく、高血糖、高インスリン血症でしょう。

この研究で、入院中に高血糖が起きていたということは、入院期間中の病院食や食事が摂れない場合の点滴に原因があります。糖質過剰の病院食や、必要なエネルギーを満たすためのブドウ糖たっぷりの点滴が高血糖を招いているのです。つまり医原性の高血糖です。

今回の研究では血糖コントロール不良群の54.6%にインスリンが使用されています。インスリンが投与されればさらに血管の酸化ストレスが増加し、血栓の危険を増加させるかもしれません。

是非とも、この研究の結果を生かして、新型コロナウイルスで入院している人には、糖質制限食、糖質制限点滴の提供をお願いしたいですね。

糖質過剰症候群

「Association of Blood Glucose Control and Outcomes in Patients with COVID-19 and Pre-existing Type 2 Diabetes」

「COVID-19および既存の2型糖尿病患者における血糖コントロールと転帰の関連」(原文はここ

コメント

  1. 山崎勝巳 より:

    清水先生こんにちは
    毎度先生のブログ楽しみにしてます

    糖質制限脂質代謝ケトン体
    アセトンがコロナウイルスを
    不活化してるかも?

    下記論文より転載
    SARS-CoVに感染したVero E6細胞を、
    ホルマリン、グルタルアルデヒド、
    メタノール、アセトンなどの固定液で
    5分間以上固定すると、すべての感染性
    が除去されました。

    ポビドンヨード、物理的条件、
    および化学試薬によるSARS
    コロナウイルスの不活性化。

    https://bibgraph.hpcr.jp/abst/pubmed/15631008

    糖質制限第一人者江部康二先生
    に回答頂きました

    Re: コロナケトン体アセトンで不活化
    山崎勝巳 さん

    コメントありがとうございます。
    アセトンの固定液がどの程度の濃度だったのかはわかりませんが
    少なくとも血中アセトン高値が、SARS-CoVに一定有効な可能性はありますね。

    以上

    • Dr.Shimizu より:

      山崎勝巳さん、コメントありがとうございます。

      糖質制限は有効だとは思いますが、ウイルスに十分有効なほど高濃度のアセトンが血中にあるとは思えません。