うつ病とマグネシウム

マグネシウムは人間とって非常に重要なミネラルの一つであるにもかかわらず、あまり重要視されていないように思えます。例えば、何か症状があり医師と話したときに、マグネシウムが少ない可能性を指摘されたり、もっと言えば食事についての質問をされたりすることはあまり経験がないと思います。

しかし、いつも書いているように基本は食事です。食事について質問をしてすべてがわかるわけではありませんが、質問をしないと何もわかりません。だから、症状を抑える薬だけが処方されるのです。

今回の研究はうつ病とマグネシウムの摂取についての研究です。うつ病は「心の風邪」ではありません。製薬会社のキャンペーンにより広まった「心の風邪」というのを、いまだに信じている人は少ないでしょうけれども、このキャンペーンの後、簡単に抗うつ薬が処方されるようになってしまいました。

うつの症状を抑えることは意味があるかと思いますが、根本的な解決にはなりません。根本的な解決には食事を変更しなければなりません。その食事の変更の大きな一つが糖質の制限です。(「うつ、不安障害・気分障害などの一般的な精神障害の原因の一つは糖質過剰摂取である」、「うつ病の大きな原因のひとつは炎症である」など参照)

そして、大きな食事の要因のひとつはマグネシウム不足だと考えられます。現代の食材にはマグネシウムが減少していると言われていますし、食品加工、制酸剤、利尿薬、カフェイン、アルコールなどによって、マグネシウムの吸収を減少させる可能性があります。ストレスによってもマグネシウムは減少するようです。

今回の研究では、うつ病の診断を受けた患者126名で、PHQ-9といううつ病の検査で5~19点の人を対象としました。PHQ-9のスコアは、5~9点は軽度、10~14点は中等度、15~19点は中等度~重度、20~27点は重度の症状レベルと評価されます。

塩化マグネシウムのサプリメントを与えられ、1日にマグネシウムとして248mg摂取するようにしました。ひとつのグループは6週間マグネシウムを飲み続け、1週間休んで、その後の6週間はマグネシウムを飲みません。もう一つのグループは6週間マグネシウムを飲まず、1週間休んで、その後の6週間マグネシウムを飲みます。

不安症状は、不安症状の有効な指標をしめすGAD-7で評価されました。GAD-7スコアの範囲は0〜21で、0〜4は症状なし、5~9軽度、10~14中程度、15~21重度です。

結果は下の図です。(図は原文より)

そうするとマグネシウムを飲むことによりベースラインよりもPHQ-9が低下し、平均4.3ポイント低下しました。最初にマグネシウムを飲んだグループは2週間以内に低下を示し、その後マグネシウムを飲まない期間に徐々にスコアが上昇しました。後からマグネシウムを飲むグループはわずかに飲まない期間においてもスコアが低下しましたが、マグネシウムを飲む期間になってさらにスコアが低下しました。

 

 

不安の指標であるGAD-7はマグネシウムを飲んでいる期間はスコアが低下し、平均3.8ポイントの低下を認めましたが、飲まない期間で0.8ポイント増加しました。交絡因子の調整すると、正気のスコアの改善は4.5ポイントでした。

 

マグネシウムの効果は非常に素早く、安全で、簡単です。抗うつ薬を始める前に、または増量する前に試すべき手段だと考えられます。

しかし、逆に考えると、普段の食事でしっかりとマグネシウムを摂取していれば、うつ病なんかにならないのかもしれません。またはうつ病になるリスクを大きく低下させる可能性があります。まずは食事から。

ナッツ、海藻類などを積極的に摂ってください。

 

「Role of magnesium supplementation in the treatment of depression: A randomized clinical trial」

「うつ病の治療におけるマグネシウムサプリメントの役割:無作為化臨床試験」(原文はここ

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