鎮痛薬使用と難聴のリスク

様々な痛みにより、鎮痛薬を常用している人もいるかもしれません。しかし、鎮痛薬は決して安全な薬ではありません。というより安全な薬は存在しません。

今回の研究では鎮痛薬の使用と難聴のリスクについてです。鎮痛薬の常用は聴覚の毒性があり、難聴をもたらすかもしれません。

40〜74歳の男性26,917人(歯科医、検眼医、整骨院医、薬剤師、足病医、および獣医師)において、自己申告された専門的に診断された難聴とアスピリン、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)、アセトアミノフェンの常用との独立した関連性を調べました。常用の定義は1週間に2回以上の使用です。

結果は、常用者における難聴のリスクは、アスピリンで1.12、NSAIDsで1.21、アセトアミノフェンについては1.22でした。NSAIDsとアセトアミノフェンの場合、リスクは常用の期間が長いほど増加しました。どちらも4年以上では1.33のリスクでした。

上の図は年齢との関連です。50歳未満の男性では、難聴のリスクはアスピリンので1.33、NSAIDsの1.61、アセトアミノフェンの1.99でした。 年齢が上がるにつれ、リスクは低下しました。特にアセトアミノフェンは中枢(脳)に作用するので、聴覚にも影響するのかもしれません。

また、これらの鎮痛薬の併用については、3種類の併用でリスクが1.60、NSAIDs+アセトアミノフェンで1.58、アスピリン+アセトアミノフェンで1.40、
アスピリン+ NSAIDsで1.25でした。

アメリカでは全人口の17%が少なくとも週1回アスピリンを使用しており、45歳以上の男性の28%以上はアスピリン使用者だそうです。同様に、アセトアミノフェンは人口の23%が少なくとも毎週使用し、イブプロフェンは17%が使用しているそうです。また、日本人とは違い1回に使用する量も多い可能性があります。

しかし、やはり鎮痛薬の常用はリスクを伴うことを知っておく必要があります。特に今回の研究で50歳未満の若い世代の方がリスクが高いことは非常に重要でしょう。鎮痛薬は通常では頓用が基本です。慢性の痛みで大きな効果もない状況でダラダラと飲んでいては駄目でしょう。

薬よりも根本の原因、増悪因子を改善することが必要です。

「Analgesic use and the risk of hearing loss in men」

「男性における鎮痛薬使用と難聴のリスク」(原文はここ

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