以前の記事「白血病も糖質過剰症候群である」で書いたように、血液のがんである白血病やリンパ腫にIGF-1が大きく関わっています。つまり、白血病も糖質過剰症候群だと考えています。
白血病は糖質過剰症候群の代表的な病態である肥満にも大きく関連しています。(図は原文より、表は原文より改変)
全体 | 男性 | 女性 | |
---|---|---|---|
オッズ比 | オッズ比 | オッズ比 | |
25歳時のBMI | |||
25未満 | 1.00 | 1.00 | 1.00 |
25~29.9 | 1.53 | 1.17 | 2.58 |
30~34.9 | 4.29 | 5.13 | 4.07 |
35以上 | |||
40歳時のBMI | |||
25未満 | 1.00 | 1.00 | 1.00 |
25~29.9 | 1.30 | 2.13 | 0.59 |
30~34.9 | 3.83 | 4.89 | 3.26 |
35以上 | 5.12 | 4.35 | 7.19 |
診断/インタビュー時のBMI | |||
25未満 | 1.00 | 1.00 | 1.00 |
25~29.9 | 1.28 | 1.50 | 1.11 |
30~34.9 | 2.12 | 2.22 | 2.11 |
35以上 | 3.09 | 3.79 | 2.65 |
上の表はそれぞれの年齢のBMIに対する白血病のオッズ比です。男女ともに25歳時でBMIが30以上であると4~5倍も白血病になる可能性があります。女性ではBMI25以上でも約2.6倍です。
40歳時でもやはりBMI30以上はかなり白血病になる可能性が高くなり、女性ではBMI35以上で7倍以上にもなります。
体重の変化 | オッズ比 |
---|---|
25歳から40歳時 | |
減少> = 0.1 kg / 年 | 0.38 |
変化なし(0 +/- 0.1 kg /年) | 1.00 |
増加0.1〜0.5 kg /年 | 1.07 |
増加0.5~1 kg /年 | 1.62 |
増加> 1 kg /年 | 3.63 |
25歳から診断/インタビュー時 | |
減少> = 0.1 kg / 年 | 1.02 |
変化なし(0 +/- 0.1 kg /年) | 1.00 |
増加0.1〜0.5 kg /年 | 0.85 |
増加0.5~1 kg /年 | 1.78 |
増加> 1 kg /年 | 1.66 |
40歳から診断/インタビュー時 | |
減少> = 0.1 kg / 年 | 2.43 |
変化なし(0 +/- 0.1 kg /年) | 1.00 |
増加0.1〜0.5 kg /年 | 1.26 |
増加0.5~1 kg /年 | 0.86 |
増加> 1 kg /年 | 1.57 |
上の図は年間の体重増加によるオッズ比です。25歳から40歳で年間1㎏以上も体重が増加している人では約3.6倍も白血病になる可能性が高くなります。
上の図はメタアナリシスで、過体重、肥満と白血病の相対リスクです。上が過体重、下が肥満です。過体重ではリスクが14%増加、肥満では39%増加です。
上の図は白血病のタイプによる相対リスクです。上から順に慢性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病です。リスクは慢性リンパ性白血病で25%、急性リンパ性白血病で65%、急性骨髄性白血病で52%、慢性骨髄性白血病で26%の増加です。
肥満はインスリンの過剰な分泌で起きます。糖質過剰摂取では高インスリン血症になり、さらに高IGF-1にもなります。血液のがん細胞も増殖しやすくなると考えられます。もちろん、太っていなくてもインスリンが過剰に分泌されているような状態ではやはりリスクは高くなるでしょう。
さらに「高タンパク質摂取による有害性は? その3 アスリート」で書いたように、プロテインも加われば、さらにリスクは増加してしまうと考えられます。
「米国の若年成人における肥満関連がんの割合の急激な増加」であげた論文によれば、若年世代で白血病は有意に増加しています。
インスリンをむやみに分泌させるべきではないでしょう。糖質過剰摂取は避けるべきです。
「Obesity, weight gain, and risk of chronic myeloid leukemia」
「肥満、体重増加、慢性骨髄性白血病のリスク」(原文はここ)
「Overweight and obesity and incidence of leukemia: A meta‐analysis of cohort studies」
「過体重と肥満および白血病の発生率:コホート研究のメタアナリシス」(原文はここ)
関連するコメントではないですが、最新の記事の枠でコメントさせていただきます。
光文社新書 東口高志 『「がん」では死なない「がん患者」』(栄養障害が寿命を縮める)の読後感想です。著者は臨床栄養の現場で働く医師。普通に歩いて入院した患者が「車椅子」で退院する現実はどこかが間違っている、入院時の食生活の変革が必要であるとの視点から、患者の栄養補給の改善を試行錯誤してきたそうです。
清水ドクターの「糖質過剰症候群」と同じ出版社でしたので、比較しながら読み進めていったのですが、P147糖尿病の項目で目が点になりました。
「インスリンの抵抗性が増大する場合を2型と呼びますが、・・・日本人に多いのは2型で、動物性脂肪の摂りすぎによるものです。・・・
いや~びっくりしました。読み間違え、理解の不足があるのかと、関連ページを何十回も読み直しましたが、2型糖尿病の原因は動物性脂肪の過剰摂取とたしかに書いてあります。この理解で間違いないと思います。
いまだに思います。誤植じゃないですかって。
やまもとりんたさん、コメントありがとうございます。
誤植ではないでしょう。この本は読んでいませんので、中身はよくわかりませんが、
この本の著者は某大学の教授だと思います。そうすると、スポンサーもいると思います。
また、外科だけでなく栄養学がご専門ということで、日本静脈経腸栄養学会理事長もされています。
現在の一般的な医療の栄養サポートは、当然糖質過剰のPFCバランスです。
栄養サポートによく使われる栄養剤であるエンシュアリキッドの1缶(250mL:250kcal)中のPFCは
タンパク質:8.8g、脂質:8.8g、炭水化物(糖質):34.3gです。
私がまだ糖質過剰摂取時代に一度経験のためエンシュアリキッドを飲んだことがありますが、一口で気分が悪くなりました。肥満の私でも甘すぎて飲めませんでした。
こんなものを飲ませて栄養サポートと言っているのです。
日本糖尿病学会と同じ立場のようなものですので、糖尿病は糖質ではなく動物性脂肪に原因を押し付けているのは当然だと思います。