食事での脂質摂取と心血管疾患のリスク

依然として、脂質摂取は体に悪いと思っている方が多いですが、様々な研究では食事での脂質摂取は心血管疾患と関連性を示していません。アテローム性動脈硬化症で、プラークにコレステロールが含まれるというだけで、コレステロールや脂質の摂取を目の敵にしています。

しかし、コレステロールや脂質がアテローム性動脈硬化症や心血管疾患を起こすメカニズムは明らかにされていません。にもかかわらず、決めつけている専門家がいます。

今回の研究では、多くの研究のメタアナリシスになっています。その結果、最高レベルと最低レベルの食事での総脂質摂取量は、心血管疾患のリスクは0.97と関連していなかったのです。

脂肪酸の種類による分析では、トランス脂肪酸で、最高レベルと最低レベルの食事のトランス脂肪酸は、心血管疾患のリスク増加(1.14)と関連していました。

飽和脂肪酸では、アジアで0.84と有意に逆相関が認められました。つまり、飽和脂肪酸をいっぱい摂った方が心血管疾患が少なくなるということです。

一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸に関しては関連が認められませんでした。(図は原文より)

上の図は2つともそれぞれの脂肪酸の種類による用量と心血管疾患リスクとの関連を示しています。Aが総脂質量、Bがトランス脂肪酸、Cは飽和脂肪酸、Dは一価不飽和脂肪酸、Eが多価不飽和脂肪酸です。上の方の横軸が1日の摂取エネルギーに対するパーセンテージであり、下の方の横軸が1日の摂取量(g)です。

以前の記事「日本人の食事摂取基準(2020版)(案)を読んでがっかり その4 脂質とコレステロール」で書いたように、2020年の日本人の食事摂取基準での総脂質摂取量の上限は30%、飽和脂肪酸は7%としています。

上のグラフのAを見てみると総脂質量30%では、リスク増加はもちろんありませんが、もっと摂取割合を増やした方がリスクが低下しているのです。30%よりは40~50%の方がリスクは低いのです。飽和脂肪酸7%は有意差は無いですが、15~25%の方がリスクはちょっとだけ低いのです。7%と30%が同レベルです。つまり、7%という数字に意味はないのです。

また、総脂質量をエネルギー摂取量の30%として、飽和脂肪酸をエネルギー摂取量の7%に抑えることは可能なのでしょうか?飽和脂肪酸7%というのは、総脂質量の約23%に当たります。

オリーブオイルバター  牛肉(もも)豚肉(もも)鶏肉(もも)サンマ イワシ 
飽和脂肪酸13%63%33%36%31%17%28%
一価不飽和脂肪酸74%22%51%44%47%42%20%
オメガ30.6%0.4%0.1%0.6%0.6%16%23%
オメガ67%2%3%9%12%2%3%

上の表はいくつかの食材の脂肪酸の割合です。普通に肉や魚を食べて、オリーブオイルやバターで調理したりすると、恐らく飽和脂肪酸は23%を軽く超える可能性があります。肉をできる限り減らせという意味でしょうか?同意できません。

以前の記事「飽和脂肪酸は脳卒中のリスクを低下させ、心血管疾患とは関連していない」で書いたように、飽和脂肪酸は全く避ける必要がありません。

また、今回の研究で示されたように、トランス脂肪酸に関しては完全に食べれば食べるほどリスクが高くなるので、減らせば減らすほど良いのです。

そして上の図で、一価、多価不飽和脂肪酸はパーセンテージで見ると有意差は無いですが、多く摂る方が心血管疾患リスクが少なくなりますが、摂取量のグラム数では、多価不飽和脂肪酸に関しては量が多くなると、リスクが増加しているように見えます。

しかし、いずれにしても食事での脂質摂取量は心血管疾患リスクとは関連していないようです。

それでもまだ脂質を摂りたくない方はご自身の判断で。

「Dietary total fat, fatty acids intake, and risk of cardiovascular disease: a dose-response meta-analysis of cohort studies」

「食事総脂肪、脂肪酸摂取量、および心血管疾患のリスク:コホート研究の用量反応メタアナリシス」(原文はここ

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