東京では今日3月25日に40人以上の新型コロナウイルスの感染者が報告され、感染爆発を予感させますが、これまでのところ日本は非常に死者が少ない状態です。
新型コロナウイルスの拡大は止まりませんが、何となく中国を除いては欧米の国の方が感染者や死者が多いような気がします。いわゆる先進国の方が深刻であり、発展途上国は診断さえ付いていない可能性はありますが、医療が貧弱な割には死者が少ないように思えます。(下の表は2020年3月25日19時現在のものですが、反映されていない数字もあるかもしれません。)
国名 | 総感染判明数 | 総死亡数 | 重症、重篤 | 100万人当たりの感染者数 | 100万人当たりの死者数 |
---|---|---|---|---|---|
イタリア | 69,176 | 6,820 | 3,393 | 1,144 | 113 |
中国 | 81,218 | 3,281 | 1,399 | 56 | 2 |
スペイン | 42,058 | 2,991 | 2,636 | 900 | 64 |
イラン | 24,811 | 1,934 | 295 | 23 | |
フランス | 22,304 | 1,100 | 2,516 | 342 | 17 |
アメリカ | 54,941 | 784 | 1,175 | 166 | 2 |
イギリス | 8,077 | 422 | 20 | 119 | 6 |
オランダ | 5,560 | 276 | 435 | 324 | 16 |
ドイツ | 33,952 | 171 | 23 | 405 | 2 |
スイス | 10,171 | 135 | 141 | 1,175 | 16 |
韓国 | 9,137 | 126 | 59 | 178 | 2 |
ベルギー | 4,269 | 122 | 381 | 368 | 11 |
インドネシア | 790 | 58 | 3 | 0.2 | |
ブラジル | 2,247 | 46 | 18 | 11 | 0.2 |
トルコ | 1,872 | 44 | 22 | 0.5 | |
日本 | 1,193 | 43 | 54 | 9 | 0.3 |
上の表は死亡者数が多い国から順に並べたものです。日本よりも死者の数が多いのはほとんどが先進国、しかもアメリカとヨーロッパの国です。以前の記事「フランス人はきれいですか?」で書いたように、日本は非常に少ない死亡者数で現在のところ推移しています。なぜかはわかりませんが、理由の一つはBCGワクチンの接種にあるのかもしれません。
日本では結核のワクチンであるBCGが接種されています。約98%の接種率だと思います。このBCGですが、以前から疫学的研究や動物研究で、BCGワクチン接種がその後の感染に対する免疫応答に影響を与え、罹患率と死亡率が低下することが示されています。
このようなBCGの効果を利用して、ドイツでは新型コロナに対する臨床試験がすでに行われているようです。(関連記事はここ)
発展途上国では結核予防のために比較的積極的にBCG接種が行われており、逆に先進国ではあまり行われていません。欧米諸国では比較的低い接種率でしょう。(図はここより)
多くの国でBCGの接種が90%以上ですが、アメリカやカナダ、オーストラリア、そしてヨーロッパ諸国ではデータさえありません。恐らくその多くはBCG接種率が低いのではないかと思います。先進国では結核は少ないように思われていますが、日本では実際には平成30年に、新たに結核患者として登録された者の数(新登録結核患者数)は15,590人にものぼります。人口10万人当たりでは12.3人です。
上の図は世界の2017年の結核の数(人口10万人当たり)です。日本以外の先進国は確かに結核は少なく、アメリカでは日本の5分の1程度です。
日本ではツベルクリン反応は陽性が当たり前ですが、アメリカなどはツベルクリン反応が陽性であると結核と疑われます。アメリカへの留学などの際には医師の診断書が必要です。つまり、ほとんどのアメリカ人はBCGを接種していません。
もちろん、BCGですべての新型コロナの死亡をなくすことはできないと思いますが、死亡数の減少に大きな役割を果たしている可能性はあると思います。
BCGはサイトカイン産生、マクロファージ活性、T細胞応答および抗体力価の増強をもたらすと考えられており、結核とは関係ないウイルス感染に対しても非特異的に免疫を増強していると思われます。西アフリカでは、BCG接種が主に新生児敗血症や呼吸器感染症を予防することにより、新生児死亡率を40%以上減少させることが示されています。(この論文参照)
日本では標準的なBCG接種は生後5ヵ月から8ヵ月です。その100年の歴史があるBCGが日本人を未知のウイルスからも守ってくれているのかもしれません。
都合よく考えすぎでしょうか?
「Non-specific effects of BCG vaccine on viral infections」
「ウイルス感染に対するBCGワクチンの非特異的影響」(原文はここ)
都合よく考えすぎだと思います。
2軸で物事を考えると何とでも言えます。
匿名希望さん、コメントありがとうございます。
武漢の感染者は中国によると5万人です。実際にはその20倍いると考えても武漢の人口の10%程度です。
感染者が最近は出ていないというのは明らかにウソだとは思いますが、封鎖だけで制圧されたとも思えません。
かなりの人はこれまで獲得した様々な免疫で十分に新型コロナウイルスに対応できているのではないかと思います。
その一つがもしかしたらBCGによる免疫かもしれません。
単純に2軸で考えているわけではありませんが、都合の良い話である可能性もあるということは自覚しています。
図を見ると、中国もBCGを摂取しているんですね。
だとすると、武漢でのパンデミックを説明できないですね。
お!さん、コメントありがとうございます。
かなり突っ込みどころ満載の記事だとは思っていて、批判も多いと思っていました。
図はWHOのもので、中国のデータそのものや中国とWHOとの関係を推測すると、中国の数値は鵜呑みにできないと思っています。
それ以外に次の記事を読んでみてください。
https://www.huffingtonpost.jp/zhang-qian/compare-vaccine-policy_b_10982252.html
この記事の内容が事実だとすると、中国では1978年に小児へのワクチン接種普及活動が実施され始めたばかりです。
日本よりBCGは30年近く遅いことになります。さらに武漢のある湖北省は基本的なワクチン接種の接種率の低い地域のようです。
中国はお国柄もありますし、広すぎるので地域によっていろいろ大きく違う可能性があります。
何が幸いするか、禍の元になるのか、わからないものですね。
様々なワクチン摂取による副作用が、主にインターネットなどで流布され、摂取拒否も増えています。
(私もここ数年インフルエンザワクチン接種は実施しておりませんが)
「公式」な情報に従うのか、自己責任で摂取可否の判断をするのか、難しいです。
いつも新しい有用な情報提供ありがとうございます。
オリンピックマラソン、東京開催の差し戻しもあるのでしょうか。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
もちろん記事の内容は私の推測でもあるので、注意してください。でも、ありうる話だと考えています。
オリンピックのマラソンは札幌でも東京でも私自身はどっちでも良いです。新聞上では札幌のままのようですが。
北海道マラソンが2年連続で中止にならないことを祈るばかりです。
いつも新しい有用な情報提供ありがとうございます。
新型コロナウィルスのワクチンが開発されるまで、BCGが役に立てばいいですね。
新型コロナウィルス感染者の重篤化を防ぐかどうかは別として、高齢者や医療関係者を対象にツベルクリン検査を実施し、陰性になったらBCGワクチンを接種して、結核感染を防止することは必要だと思うのですが、実際はどうなっているのでしょうか。
よしもとさん、コメントありがとうございます。
成人にBCGを接種しても結核の感染を予防する効果は認められていないはずです。BCGは新型コロナウイルスに対してもまだどうなるかはわかりませんが、
そう簡単に新型コロナのワクチンはできないでしょう。
新型インフルエンザワクチンのときのように、急いで作って、逆にそれを接種した高齢者が非常に多く亡くなってしまったような状況は作るべきではないと思います。
「BCGの接種が新型コロナウィルス感染症の重篤化を予防する」が現段階で有力仮説と言えるのかについては少なからず疑問がありますが、ちょっと興味深い話ではあります。
日本では乳児へのBCGの定期接種が延々と続けられていますが、欧米諸国(米国、カナダ、オランダ、イタリア他)では定期接種化されておらず、実際に接種しているのは少数派と言えるでしょう。
武漢市で起こったCOVID-19の爆発的拡大と中国の高いBCG接種率に矛盾があるのではという指摘には、中国のデータは鵜呑みにできないと返答されていましたが、私も中国が発表する統計情報は当てにならない部分が多いと思っています。
スペイン風邪を含めインフルエンザ罹患の重症化や死亡のリスクは、小児(5歳未満・特に2歳
以下の乳幼児)と高齢者の両端に山があります。ところが新型コロナウィルスでは、現在までのところ、乳児や小児の死亡が殆んど報告されていません。
また、BCGの効力は10年~20年くらいと言われています。
以上のようなことは、もしかしたらDrシミズさんの「仮説」を援護するものになるかもしれませんね。
いずれにせよ、世界的パンデミックの猛威が急速に広がっている中、未知の部分が多い新型コロナウィルス感染症に対する治療法や予防、ワクチン開発のための基礎研究や臨床試験は今、世界中で精力的に進められていると思いますが、できるだけ早い治療法や予防(ワクチン等)の発見、開発がなされることを心から祈るばかりです。
NANAさん、コメントありがとうございます。
BCGの結核に対する効力の年数と、免疫系のブースト機能の効力の年数が同じなのか、それよりも長いのかはわかりません。
同じように10数年であれば、大人の人たちの免疫ブーストはないということになりますね。
しかし、世界的な拡大はあれど、国によって大きく死者数が違うのは何かあると思っています。
>しかし、世界的な拡大はあれど、国によって大きく死者数が違うのは何かあると思っています。
>過去に日本人が獲得した免疫が新型コロナに有効だという方が辻褄が合うような気がします。
BCGに限らずとも、他の何か(複合的な関与もあり得る?)がCOVID-19の発症やその重症化軽減の要因になっている可能性はあるかと思います。
そして、その解明を進めるためには、PCR検査や抗体の検査などが拡大普及して様々な免疫学的、疫学的データが蓄積されることが少なくとも必要だろうと思います。
違う見方もあり得ることを書いておきます。
>やはり日本や他の死者が少ない国の何かが免疫に大きなアドバンテージを与えているのではと思います。
日本の感染者数や死亡数が欧米に比して少ない理由を解説している動画があります。
https://m.youtube.com/watch?feature=youtu.be&v=ZWgO5rxCXs0
この動画では、日本人が特徴として持つ「自己防衛の集団化現象」がオーバーシューティングを一歩手前で留めている大きな理由になっているとしています。
「免疫に大きなアドバンテージ」なのか「自己防衛の集団化現象」なのかによって、これから先の見通しや対策も当然変わってくるでしょう。
不透明な現段階では、より深刻な見通しのほうを想定して対応は考えるべきかなとは思います。
NANAさん、コメントありがとうございます。
日本の今の状態は一つの理由だけではないと思います。
ただ、今年のインフルエンザの減少が、新型コロナが流行してそのために手洗いなどの対策を行う人が増えたからだという論調が一部にありますが、
新型コロナがこれほど問題になる前から今シーズンのインフルエンザは減っていました。
しかし、欧米人よりも、もともと清潔好きであることが奏功した可能性があると思います。
>乳児や小児の死亡が殆んど報告されていません。
こちらの記事を置いときますね。
https://toyokeizai.net/articles/amp/339414
twitterでは、現地からの映像で、当初から子供が死体袋に入れられて運ばれる映像が複数ありました。
だいぶ前なので、見つからずアドレスは貼れませんが。
中国の発表や、WHO、厚生省の言うことよりも現地からの映像の方が信用できますw
中国での実際のBCGの状況がわからないので、BCGの効果を否定するわけではありませんが。
ついでに、わかりやすい図。
https://www.globalresearch.ca/wp-content/uploads/2020/03/228028b8d8c.png
日本に来ている7割ぐらいのウィルスが、毒性の弱いグループAのウィルスだから、致死率が低いと考えるのが、一番自然な感じがします。
このグループAのウィルスも将来的に毒性が強く進化するかもしれないですし、海外から毒性の強いウィルスが日本に持ち込まれれば、日本の致死率も上がるかもしれないですね。
BCG摂取によるかどうかは解りませんが、日本と比べ、アメリカや欧州の感染多発国との不自然なほどの感染数の差が特定のウィルスに対する免疫力の差である可能性は高いと考えます。たとえば不自然に感染数の少ない国では既に集団免疫が獲得されていたと言う説もそうですね。
日本人はすでに新型コロナの集団免疫をもっている?
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/52039529.html
集団免疫戦略で大批判を浴びたイギリスのボリス・ジョンソン政権が勝負に出そうです。いま350万の抗体検査キットを既に準備済みで最終検査後にAmazonや薬局で販売できるよう準備しています。この抗体検査はPCR検査とは全く意味が違い、IgG,とIgM抗体で免疫の状態を検査します。武漢でコロナ大騒ぎが始まる前から感染は広がっており、多くの人が風邪やインフルと思って知らない内に免疫を得ていた可能性は多くの専門家が疑っていましたが、もしこれが証明されれば恐怖心理によるコロナ騒動は終了に向かうはずですし、少なくとも抗体がある事がわかった人は無駄な引篭もりを続ける必要はないはずです。
https://www.theguardian.com/world/2020/mar/25/uk-coronavirus-mass-home-testing-to-be-made-available-within-days
駐在君さん、コメントありがとうございます。
日本だけでなくロシアとかも死者数は極端に少なく、3人です。衛生状態が良いとは思えないインドでも20人です。アメリカは現在公開されている数字的には中国、イタリアを抜いて感染者数が世界一になりました。
しかし、死者数は多いと言えども、1,200人弱です。イタリアは8,000人を超えています。大きな差があります。
そうすると、アメリカはやっぱり、今年のインフルエンザ死者数がものすごく多かったというのが、実は新型コロナウイルスであったというのが信ぴょう性が高くなります。
インフルエンザで1万人以上の死者が出ていると騒がれましたが、それが新型コロナだとすると、すでにアメリカはピークを過ぎていているので、
感染者のわりにヨーロッパよりも死者が少ないのかもしれません。そうだとすると、武漢よりもアメリカで最初の感染者や死者が出ていた可能性もあります。
中国のアメリカ起源説もあながち間違っていないかもしれないですね。
多くの人が風邪やインフルエンザと思って知らない内に免疫を得ていた可能性は、ちょっと疑問があります。
今回のウイルスはやはり重症化する人が普通の風邪、インフルエンザのレベルよりは高いと思います。
特に今年はインフルエンザさえ少ない状況でした。その他の肺炎が非常に今年は多いというのも聞いたことはありません。
そうすると、日本にとっては「新型」ではないのかもしれない可能性もありますが、過去にこのような毒性の風邪が流行した記憶もありません。
そうであれば、やはり日本や他の死者が少ない国の何かが免疫に大きなアドバンテージを与えているのではと思います。
日本人はすでに新型コロナの集団免疫を持っているというのは、なぜ日本はこれまでの感染者や死者の少ない状態で集団免疫ができたのかを説明しなければなりません。
それよりは、過去に日本人が獲得した免疫が新型コロナに有効だという方が辻褄が合うような気がします。
<結核とは関係ないウイルス感染に対しても非特異的に免疫を増強していると思われます。>
そ~かもしれないが、、
賛同できないのが、、
<BCGはサイトカイン産生、マクロファージ活性、T細胞応答および抗体力価の増強をもたらすと考えられており>
と言う事は、結核菌に感染している人は抗体があるわけですよね?
中国はインドの続く世界2位の結核蔓延国です。
それなのに感染数と死亡者数が多いのは何故なんでしょうか?
タナカさん、コメントありがとうございます。
結核の抗体が新型コロナに有効なのかどうかはわかりません。BCGワクチンそのものが免疫をブーストして、効果があるのかもしれません。
中国は公表された数字で考えれば、感染者数も死亡者数も人口当たりで考えれば、それほど多くはありません。感染者は人口当たりアメリカの5分の1程度、イタリアの23分の1程度です。
すごいぞBCG! 多くの専門家も注目し始めてるようです。
日本型BCGで新型コロナの免疫ができる?
http://agora-web.jp/archives/2045075.html
と、これを書いていたら、集団免疫戦略を世界のどのリーダーよりも早く提案したイギリスのボリス・ジョンソン首相がツィッターで自身の新型コロナウイルス陽性を明らかにしました。軽症なのでリモートで仕事を続けると言ってるので、もしかしたら集団免疫に対して人々の抵抗感を和らげる為にわざと感染したのかも???
https://twitter.com/BorisJohnson/status/1243496858095411200
駐在君さん、コメントありがとうございます。
私自身もいろいろ調べてみると、BCGに関することがいろいろ書かれていますね。日本株のBCGありかもしれないですね?
明日も関連の記事をリリース予定です。