新型コロナウイルスについて「新型コロナウイルスでは高血糖があると数倍死亡率が高い その1」「その2」「その3」と、高血糖は非常に危険な状態をもたらす可能性を書いてきました。
今回の研究では、新型コロナウイルス感染での高血糖と正常血糖の比較、インスリン投与の有無での比較をしています。(図は原文より)
上の図はAとBは正常血糖と、高血糖の比較です。それぞれの図の左が正常血糖、右が高血糖です。Aはインターロイキン6(IL-6)、BはDダイマーです。入院時と1週間、2週間を見てみると、IL-6は正常血糖では大きく変化なく上昇していませんが、高血糖だと入院時に非常に高く、段々と低下しています。Dダイマーは正常血糖でも少し増加していますが、高血糖の半分程度です。
CとDの図はインスリン注射無し(左)、インスリン注射あり(右)です。インスリン注射ありの方がIL-6もDダイマーも入院時より大きく低下しています。
EとFは横軸が入院時の血糖値で、縦軸がそれぞれIL-6とDダイマーです。正の相関関係が認められます。
上の図は生存率です。Aは青い線が正常血糖、緑が高血糖、Bは青が糖尿病なし、緑が糖尿病、Cは青がインスリン注射なし、緑がインスリン注射あり、Dは青が正常血糖+糖尿病なし、緑が正常血糖+糖尿病、ピンクが高血糖+糖尿病なし、黄色が高血糖+糖尿病です。
インスリン注射をしてでも血糖値を正常化することが生存率上昇につながっています。糖尿病であるかないかよりも高血糖であるかないかの方が重症化に結びついているようです。
つまり、高血糖を起こさないようにすると、IL-6が低下に見られるように炎症が抑えられ、Dダイマーが低下に見られるように凝固亢進状態を抑えることになります。
ただ、武漢からの報告で、糖尿病の人がインスリンを使っていたかどうかで予後不良との間で有意な関連を認めていたというものもあります。糖尿病ではインスリン使用者は、重症化や院内での死亡という予後不良の可能性が3.58倍となっていました。(この論文参照)
いずれにしても、高血糖にならなければ良いだけのことです。高血糖を起こさない食事、糖質制限ですね。
糖質過剰症候群
「Outcomes in Patients With Hyperglycemia Affected by Covid-19: Can We Do More on Glycemic Control?」
「Covid-19の影響を受けた高血糖患者の転帰:血糖コントロールをさらに改善できるか?」(原文はここ)