肝機能の検査として行われるALT(GPT)は、ウイルス性肝炎、アルコール摂取、薬剤など、さまざまな要因の影響を受けます。さらに世界中で増加している非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)も大きく影響します。しかしながら、検査の上限値を決めるときにこのような生活習慣や肝疾患などの多くが除外されていないため、ALTの正常値の上限は未だ確立されていないと考えられます。そこで様々な世界中の研究でそれらの要因を除外したものではALTの上限値を見てみましょう。(表は原文より改変)

国、年登録した参加者の年齢ウイルス性肝炎の除外(いいえ/はい)過度のアルコール消費の除外(いいえ/はい)薬物の除外(いいえ/はい)代謝異常の除外(いいえ/はい)イメージングツールによる脂肪性肝疾患の除外(いいえ/はい)肝生検(いいえ/はい)ALTの上限
イタリア、200229.8はいいいえはいはいいいえいいえ男性30、女性19
イスラエル、200631.91はいいいえはいはいいいえいいえ男性44.9、
女性31.8
オーストラリア、200716.8はいはいはいはいいいえいいえ28
韓国、201029.1はいはいいいえはいいいえはい男性35、女性26
USA、2010男の子14.5
、女の子15.1
はいはいはいはいいいえいいえ男の子25.8、
女の子22.1
韓国、201141.8はいはいはいはいいいえいいえ男性31
女性23
イラン、201112.87はいはいいいえはいいいえいいえ男の子30
、女の子21
ドイツ、201120〜79はいはいいいえいいえはいいいえ男性60
、女性45
韓国、201214.4はいはいいいえはいいいえいいえ男の子33、
女の子25
USA、201242.0はいはいはいはいいいえいいえ男性24
、女性18
台湾、201252.4はいいいえいいえはいはいいいえ男性21、女性17
中国、201235.3はいはいはいはいはいいいえ男性35
、女性23
サウジアラビア、201328.9はいはいはいはいいいえはい男性42、女性31
イラン、201361.5はいはいはいはいいいえいいえ男性21.4、女性18.8
韓国、201336.3はいはいはいはいいいえいいえ男性42、女性25
韓国、201324.6はいはいはいいいえいいえいいえ男性34、女性24
日本、2013男性50.6、女性
48.8
はいいいえはいはいはいいいえ男性29、女性23

人種間での差も考慮すれば、日本と台湾や中国、韓国のデータを参考にすると良いかもしれません。そうするとALT上限は男性で30前後、女性では20前後だと考えられます。ちなみにアメリカの研究でさえ、男性の上限値は24、女性18と報告しています。

以前の記事「肝機能検査のALT(GPT)がちょっと上がっていてもご注意を」で書いたように、現在の基準値の範囲の中で高値であっても、肝臓の脂肪は多くなり、インスリン抵抗性が高くなる可能性があります。

糖質制限を行っている人のデータは次のようでした。(「みなさんの血液検査データ2020 集計 その8 肝機能」参照)

ALT人数平均値標準偏差
男性14221.313.3
女性7820.310.8

個人差はあると思いますが、現在の基準値の上限値は45と高すぎます。様々な肝機能に影響する因子を除いて考えると、もっと低くすべきだと考えます。

私はALT20以下をお勧めします。

 

「Alanine aminotransferase-old biomarker and new concept: a review」

「アラニンアミノトランスフェラーゼ古いバイオマーカーと新しいコンセプト:レビュー」(原文はここ

「Upper limit of normal serum alanine aminotransferase levels in Japanese subjects」

「日本人被験者における正常血清ALTの上限」(原文はここ

2 thoughts on “ALT(GPT)の上限値は現在の基準値よりももっと低くすべき”
  1. 以前にもコメントさせていただきましたが、私のAST,ALT等の検査結果です。

    最高44だったALTが、糖質制限後の現在15まで下がっています。
    アルコールは毎日缶ビール1本くらい(たまにもうちょっと)です。アルコールをやめればもっと下がるかもしれません。

    >現在の基準値の上限値は45と高すぎます。

    私の受けている健康診断での基準値は30以下となっていますが、クリニックの検査表では43以下となっています。
    検査機関によって何の基準を採用しているかでかなり違うようですね。

    しかし、糖質制限で確実に下がることを考えると、その基準も糖質過剰状態での基準だと思えます。

    >私はALT20以下をお勧めします。

    私もそう思います。
    さらにはALT>ASTだったのが糖質制限後はATL≒ASTとなっています。私は2型糖尿病ですが、健常者ならALT<ASTの方が多いのではないでしょうか。
    ALT、ASTが基準値内で十分に低く、かつALT<ASTであるのが正常であり、ALT>ASTは糖尿病発症リスクのマーカーになるのではないかと考えています。
    そう考えると、データが残っている2011年には既にALT>ASTですから、糖尿病確定診断の6年以上前からリスクを抱えていたことになります。
    データが少ない(確認したのは家族+α)ので何とも言えませんが。

    検査日,ALT,AST,HbA1c,空腹時血糖値
    2011年6月, 37, 20, —, 105
    2012年6月, 30, 18, —, 126
    2013年6月, 32, 21, —, 107
    2014年5月, 41, 21, —, —
       7月, 35, 20, —, 120
    2015年5月, 38, 20, 6.4 119
       6月, 37, 20, —, 113
       8月, 32, 19, 6.8 128
    2016年5月, 33, 21, —, —
       6月, 40, 21, —, 135
       6月, 40, 28, 6.1 107
    2017年6月, 33, 22, —, 116

       12月, 44, 21, 6.9, 137 ↓糖質制限開始
    2018年3月, 27, 20, 5.9, 124
       6月, 26, 20, —, 105
       8月, –, –, 5.6, 86
       9月, 21, 22, 5.5, 105
       12月, –, –, 5.6, 95
    2019年2月, 34, 31, 5.5, 104
       4月, 23, 28, 5.6, 92
       6月, 20, 24, 5.4 106
       6月, 19, 19, —, 97
       7月, 19, 22, 5.8 101
       9月, 15, 18, 5.6, 85
       11月, 20, 21, 5.9, 106
    2020年1月, 24, 21, 6.1, —
       2月, 19, 20, 5.8 109
       5月, 16, 18, 5.9, 98
       7月, 15, 17, —, 84

    1. 西村 典彦さん、コメントありがとうございます。

      検査機関の違いは調べた集団の違いですね。つまり、必要な最小データ数は120とされています。健康というのは実際には基準がはっきりしませんから、
      基準値もあいまいでしょう。
      ALT>ASTは糖尿病発症リスクのマーカーというより、肝臓のインスリン抵抗性のマーカーに近い気がします。

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