我々人類の体は様々な仕組みがあり、そのメカニズムは非常に複雑であり、現在の段階でわかっていることはごく一部でしょう。薬は進化の過程で獲得してきた複雑なメカニズムを強制的に変化させたり、阻害したりします。それによって体にとって利益を生み出すこともあるでしょうが、同時に大きな不利益を被る可能性も十分にあります。
胃の胃酸を止めるPPI(プロトンポンプ阻害薬)はいくつかのがんと関連があると指摘されています。(「PPI(プロトンポンプ阻害薬)の長期使用と胃がんのリスク」「PPI(プロトンポンプ阻害薬)は食道がんのリスクを高める」など参照)
今回はPPIとすい臓がんの関連です。
メタアナリシスによると、PPIの使用はすい臓がんになる可能性が1.7倍前後に増加しました。しかも、アジアの研究では欧米よりも高く、2.7倍でした。
また、薬の種類によって差が出ました。ほとんどのPPIは2~3倍でしたが、ラベプラゾール(先発品の名前は「パリエット」)だけは5.4倍と他のPPIの2倍も危険である可能性があります。
以前の記事「PPI(プロトンポンプ阻害薬)の暗黒面 その1 薬を止められなくする仕組み」で書いたように、PPIは胃酸分泌を強烈に抑制します。胃酸抑制は、胃のG細胞でのガストリン産生に強い刺激を与え、高ガストリン血症を引き起こします。
すい臓がん細胞はガストリン受容体を発現し、そのガストリン受容体を介して、ガストリンはすい臓がん細胞の増殖を刺激するようです。
一次的にPPIを使用することは問題ないと思いますが、ダラダラと飲み続けている人が非常にたくさんいます。あなたのそのPPIは必要でしょうか?やめることはできないでしょうか?糖質制限をして、症状が改善する人はたくさんいます。(一時的に悪化するように感じる場合もありますが。)
安易に薬に頼るのではなく、まずは糖質制限をしてみましょう。
糖質過剰症候群
「Exposure to proton pump inhibitors and risk of pancreatic cancer: a meta-analysis」「プロトンポンプ阻害薬への曝露とすい臓がんのリスク:メタアナリシス」(原文はここ)
「Does the Use of Proton Pump Inhibitors Increase the Risk of Pancreatic Cancer? A Systematic Review and Meta-Analysis of Epidemiologic Studies」
「プロトンポンプ阻害薬の使用はすい臓がんのリスクを高めますか?疫学研究の系統的レビューとメタ分析」(原文はここ)
バイアスピリン服用とともに胃荒れを防ぐ目的でラベプラゾールを処方されてます。中止中です。
ハイパーさん、コメントありがとうございます。
リスクとベネフィットを良く検討して、ご自身で判断を。