血液がドロドロってなんだろう? その1

よくテレビや雑誌で「血液がドロドロ」とか「血液サラサラ」という言葉が使われています。この「ドロドロ」の状態というのは、いったい何でしょうか?よくわかりません。

恐らく一つはMCFAN(MicroChannel array Flow ANalyzer)という血液の流動性を測定する機器によって、血液の流れる様子を顕微鏡で拡大しながらモニターに映して観察して、その流れが悪いとドロドロというのでしょう。

血液がスムーズに流れるかどうかは、赤血球量や循環血液量、血圧、そして血液の粘度も関係します。それ以外にも白血球や血小板、血中のタンパク質なども影響しているでしょう。赤血球が多くなりすぎたり、脱水で水分量が低下していれば、血液の流れのスムーズさは低下するでしょう。

もう一つ、血液のドロドロと関係していそうなのは脂質でしょう。最近の記事でこんなものがありました。

専門医が警鐘「“コロナ太り”で『血栓症』リスク増!」(記事はここ

その中で、書かれていたことに次のようなことがありました。

「血栓症が起こる原因は主に3つある。1つはコレステロール値が高く、血液がドロドロになることで、体内の水分不足による脱水状態も同様である。」

コレステロールが高いと血液がドロドロになるイメージが一般の人にはあるようですが、医師の中でもそう思っている人もいるようですね。

(上の図はここから)

上の図は採血した血液を分離させたものです。左が正常な状態で、上の方に見える透明な淡黄色が正常な血清です。しかし、右側の血清の部分は乳び血清と呼ばれ、白っぽく濁っています。その成分のほとんどは中性脂肪です。結構ドロドロしてそうに見えます。

この乳び血清が空腹時で認められれば、かなりの高中性脂肪状態です。一般的には食後は中性脂肪値が高くなるので、食後では乳び血清が認められます。食後にカイロミクロンが大きく増加します。カイロミクロンは脂質などを運ぶリポタンパク質ですが、カイロミクロンの脂質の80~90%は中性脂肪です。

つまり、コレステロールが高くても中性脂肪が低ければ乳び血清にはならないでしょう。

以前の記事「大量のコレステロールを摂るとどうなるか? その1」で書いたように、脂質60g(卵10個:タンパク質77.4g、脂質60g、糖質1.8g、コレステロール2520mg)を一気に摂ったときでさえ、糖質制限をしている私の血液で乳びを認めたのは、4時間の測定で1時間後だけでした。

この実験では血液を肉眼で見ても私の目には「乳び」という白く濁った状態は認めませんでした。しかし、血液検査で出た結果では1時間後だけが「乳び(1+)」でした。そのとき4時間のコレステロール値300前後で、ほとんど変動していませんでした。

つまり、コレステロールが高いから乳び血清となり、血液がドロドロとなるのではなく、中性脂肪が高い場合に乳びが現れます。

先ほどの「“コロナ太り”で『血栓症』リスク増!」の記事の中で「PAI-1」(パイワン)という物質が多くなると血栓症を起こしやすくなると書かれています。食後の高中性脂肪血症は、PAI-1レベルを増加させることが多くの研究で観察されています。

血液が固まりやすい=血液がドロドロ、であればコレステロールよりも中性脂肪の方が非常に重要なのです。中性脂肪が高いと見た目も乳び血清でドロドロですし、血液が固まりやすくなるのでドロドロと表現できるのかもしれません。以前の記事「糖質の多い食事は中性脂肪の増加をもたらす」で書いたように、食後中性脂肪を激増させるのは糖質過剰摂取です。特に果糖が大きく影響します。(「果糖は摂れば摂るほど中性脂肪、尿酸値などを大きく増加させる」など参照)

血液がドロドロ、サラサラというのはあまり医学的ではありません。企業などが言葉を上手く使って、儲けようとしているだけでしょう。

それにしても、まだまだコレステロールは悪なのですね?コレステロールを犯人にするのはやめましょう。

「Postprandial triglycerides and blood coagulation」

「食後のトリグリセリドと血液凝固」(原文はここ

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. 西村 典彦 より:

    先日、腕からの採血の際に10㏄程採血したところで血液が入ってこなくなり「水分摂ってますか?」と言われて、反対の腕から再度、採血しました。
    以前に、感染性胃腸炎で入院した際に極度の脱水状態だと言われた時でも採血できないような事はなかったのですが、軽い脱水(朝食抜きで水分も摂ってない状態)で採血できないほどドロドロになる事はあるのでしょうか。
    もし、本当に血液の成分で詰まったのが原因で採血できなかったのであれば、血栓ができてもおかしくないと思います。何が原因だったのでしょう。
    この時のLDL-Cは162、中性脂肪は48で、見た目にも白濁しておらず、いつもと変わらない状態でした。他の検査項目も含め、標準値外はLDL-Cのみでした。

    • Dr.Shimizu より:

      西村 典彦さん、コメントありがとうございます。

      採血の問題だったと思います。針先が移動してしまって血液の逆流がなくなったのではないでしょうか?
      採血できないほどドロドロというのはちょっと考えられません。

  2. じょん より:

    清水先生、こんばんは。

    血液がどろどろというのは、脂肪の食べ過ぎを連想させ、間違った食生活につながっているように感じました。
    糖質過剰の影響や脂肪酸の偏り(オメガ6の過剰摂取など)等により、赤血球の変形能が悪くなり、毛細血管を通過しにくくなるようなことはないのでしょうか?

    • Dr.Shimizu より:

      じょんさん、コメントありがとうございます。

      脂質でどうなるかはよくわかりませんが、赤血球の変形能に様々なものが影響すると思います。
      その2でその辺を取り上げるつもりです。