世の中には様々な食事法がありますが、糖尿病を改善するのには、糖質を制限することが最も効率的で有効だと思います。
今回の研究では、6×6ダイエットという方法と1日50~100gまでの糖質制限(低炭水化物)と、エネルギー制限の3つの方法を12か月行い、その違いを分析しています。
対象は平均年齢61.7歳、平均BMI33.5の344人の2型糖尿病の人です。6×6ダイエットが110人、低炭水化物123人、エネルギー制限111人。その後12カ月までの脱落率は、エネルギー制限で42%であり、6×6(31%)および低炭水化物(30%)群の方が低くなりました。(図は原文より、表は原文より改変)
ダイエット | カロリー | タンパク質 | 炭水化物 | 脂質 | 食物繊維 |
6×6ダイエット | カロリー制限なし | 現在の体重1kgあたり1g以上 | フェーズ1:1日あたり6×6g。フェーズ2:最大75グラム(6×12g)。フェーズ3:個別に評価 | 脂質制限なし。第1および第2フェーズ:脂質の種類に関する規則なし。 | 厳密な量の規定なし |
低炭水化物 | カロリー制限なし | 体重1kgあたり1グラム、1日あたり最大100g | 1日あたり50-100g | エネルギーの30-35%が一価脂肪酸と多価脂肪酸 | 厳密な量の規定なし |
エネルギー制限 | 制限付き通常の摂取量より600kcal減 | 理想体重またはBMI27で1kgあたり0.8g | 1日あたり100g以上 | エネルギーの30-35%が一価脂肪酸と多価脂肪酸 | 30g /日 |
上の表はそれぞれの食事の内容です。6×6ダイエットというのは簡単に言えば1回に6gの炭水化物を1日6回摂取します。(詳しくはここ参照、オランダ語です)1回に6gなのでインスリン追加分泌はかなり少ないでしょう。エネルギーの制限も脂質の制限もありません。3か月後に炭水化物は1回12gに緩みます。
低炭水化物は50~100gの炭水化物摂取です。
エネルギー制限は1日100g以上の炭水化物で、エネルギーは通常よりも600kcal少ない食事です。
上の図はそれぞれの食事の体重減少を示しています。6×6ダイエットが他の食事と比較して有意に体重減少を示しています。
intention to treat | ||||
5%以上 | 10%以上 | 5%以上 | 10%以上 | |
6×6 | 67.1 | 35.5 | 43.2 | 22.9 |
低炭水化物 | 60.9 | 25.3 | 41.7 | 17.3 |
エネルギー制限 | 43.8 | 18.2 | 23.3 | 10 |
上の表はベースラインより5%以上および10%以上体重減少した人の割合です。6×6ダイエットとエネルギー制限の間だけ有意差がありました。6×6ダイエットをお勧めする研究なので、ちょっと偏りがありそうですが。
上の図は平均のHbA1cです。6×6ダイエットと低炭水化物で同様に減少しました。
6×6 | 低炭水化物 | エネルギー制限 | |
メトホルミン | |||
3ヶ月 | 24.6 | 16.2 | 8 |
6ヶ月 | 45.3 | 25.9 | 13.3 |
12ヶ月 | 62 | 28 | 25.6 |
SU製剤 | |||
3ヶ月 | 90 | 66.7 | 37.5 |
6ヶ月 | 86.7 | 66.7 | 41.7 |
12ヶ月 | 90 | 73.3 | 41.7 |
インスリン | |||
3ヶ月 | 85.7 | 90 | 88.2 |
6ヶ月 | 85.7 | 85 | 70.6 |
12ヶ月 | 88.6 | 75 | 58.8 |
上の表は薬物治療についてです。薬剤の使用を停止または削減した患者の割合です。有意差は6×6ダイエットとエネルギー制限の間でのみ認められました。
最初の3か月は6×6ダイエットでは非常に低炭水化物食です。1回6gの炭水化物はほとんどインスリン分泌に影響しないのでしょう。しかし、1日6回も食事をすることは大変です。可能であるならばそれはそれで良いと思います。食事という形を成しえないのではないかと思ってしまいますが。ちょこちょこ食べるのも面倒ですし。
エネルギー制限は脱落率が高いことからもわかるように、継続が最も難しい食事法だと思います。そして、インスリンの使用削減割合が段々と低下してくることを考えると、食事療法の効果もどんどん低下してくるのではないかと思われます。その点はこの研究の低炭水化物食でも同様ですので、やはり糖尿病に対する食事の糖質量は100g前後では多く、50~60g程度が上限なのかもしれません。
体重減少を見ても12か月で低炭水化物食では6kg程度の減少でしかありません。日本人でのスーパー糖質制限食であれば人によっては1~3か月でも達成できる減少量です。恐らく、肥満でかなりインスリン抵抗性が高く、ある程度の糖質量を摂取してしまうとなかなかインスリン感受性が上昇してこないのかもしれません。他の方法でインスリン感受性を上げることも必要なのでしょう。
私は食事か回数を減らすことを推奨していますが、1回につき5~6gに糖質量を抑えられるのであれば、1日の食事回数が増えても良いのかもしれません。いずれにしても、まずは糖質制限ですね。
糖質過剰症候群
「Effectiveness of the 6 × 6 Dieet® in Obese DMT2
Patients Effectiveness of a Very Low Carbohydrate Ketogenic Diet Compared to a Low Carbohydrate and Energy-Restricted Diet in Overweight/Obese Type 2 Diabetes Patients」
「肥満2型糖尿病患者における6×6 Dieetの有効性
過体重/肥満2型糖尿病患者における低炭水化物とエネルギー制限食に比べて非常に低炭水化物ケトン食療法の有効性」(原文はここ)
おはようございます。
『あるヨギの自叙伝』(パラマハンサ・ヨガナンダ)という、面白い本を読んでました。
インドの、食べない聖者の逸話が山ほど出てきます。
著者のヨガナンダは、出された御馳走は食べないと失礼にあたることもあり、恰幅よろしいですが。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
インドの逸話の信ぴょう性はどうなのでしょうかね?
清水先生、いつもありがとうございます。
スーパー糖質制限で糖尿病薬離脱していますが、私の周りに限っての話しですが、残念ながら理解を示す人達は、少数ではありますが、健常者の人です。
「糖尿病は治らないと言うけど、インスリン射っていたのに、糖質制限すると治った状態にできるんだね。」
糖尿病の人達は、「とても太田さんの真似はできないよ。」はまだ良い方で、「よくそんなめちゃくちゃな食事ができるな。」「米食べなきゃ日本人じゃない。」「普通、ちょっとネットで見た方法より、大学で6年間勉強したお医者さんの話しの方を信じるでしょ。」
いろいろな反論を思いつくものです。
清水先生の「糖質制限をするのは早ければ早いほと良いです。」のお言葉もありますが、糖尿病人だけではなく、病気予防の観点からも、遅くなっても何歳からでも糖質制限ですね。
太田さん、コメントありがとうございます。
「とても太田さんの真似はできないよ。」「よくそんなめちゃくちゃな食事ができるな。」「米食べなきゃ日本人じゃない。」などの言葉は、
糖質依存であることを示しているのだと思います。
もちろん、何歳からでも糖質制限です。