認知症は3型糖尿病とも考えられています。つまり糖質過剰症候群の一つです。アルツハイマー病の脳ではインスリン抵抗性があり、グルコースの代謝が20~25%不足しているそうです。代わりのエネルギーが必要です。
その代わりのエネルギーはケトン体です。
今回の研究ではケトン食を12週間、低脂肪の健康的な食事のガイドラインに則った通常の食事療法12週間を交互に行いました。参加者は平均年齢70歳のアルツハイマー病の診断を受けた26人で21人が最後まで完了しました。ケトン食は重量で脂質58%(飽和26%、不飽和32%)、タンパク質29%、食物繊維7%、正味炭水化物(糖質)6%で、低脂肪の通常食は重量で脂質11%(飽和3%、不飽和8%)、タンパク質19%、食物繊維8%、および正味炭水化物62%の平均比率です。(図は原文より)
上の図はAが毎朝の起床時の血糖値の毎週の平均値、Bがケトン体値です。赤がケトン食、青が通常食です。当然ケトン食の方が血糖値は低くケトン体値は高くなっています。
上の図はAddenbrookes Cognitive Examination-III(ACE-III)、AD Cooperative Study-Activities of Daily Living(ADCS-ADL)、Quality of Life in AD(QOL-AD)のスコア(左)とベースラインからの変化(右)です。ACE-IIIは注意力、記憶力、流暢さ、言語、視空間能力という5つの認知領域に関連する19の活動を評価するものだそうです。ADCS-ADLは日常生活動作の評価です。QOL-ADは生活の質の評価です。
通常の食事と比較して、ケトン食では、平均ADCS-ADLおよびQOL-ADのスコアが増加しました。ACE-IIIも増加しましたが、有意ではありませんでした。
通常の食事と比較して、ケトン食では、体重、BMI、HbA1Cが減少し、中性脂肪は変化しませんでしたが、HDL、LDL、総コレステロールが増加しました。
残念ながら今回の研究では認知機能は、有意差は出ませんでした。しかし、認知症の人々にとって非常に重要な2つの要因である日常の機能と生活の質が通常食と差が出ました。実際には生活の質であるQOL-ADは改善していますが、その他の認知機能や日常機能に関してはケトン食で12週間スコアが維持されている状態で、通常食では低下を示しています。
当然、認知症になって、どのようなタイミング、どの程度の進行しているか、などによってケトン食の効果も変わるでしょう。もちろん認知症になってからケトン食を始めるよりも、なる前からきちっと糖質制限をすることの方が重要でしょう。
「Randomized crossover trial of a modified ketogenic diet in Alzheimer’s disease」
「アルツハイマー病における修正ケトン食療法のランダム化クロスオーバー試験」(原文はここ)
先生もご存知かも知れませんが「落下星の部屋」という50代で亡くなった、糖尿病患者のブログがあります。失明や透析、足切断など合併症のオンパレード。勿論、専門医や栄養士の指導で食事療法を実践されていましたが、糖質制限歴長い者からすると若干(いや、大変)残念な内容。以下コピペご覧下さい。(これだけ無理な食事制限をしてしかも合併症が防げない。悲惨の一言です。)
まずは、1月位の期間をかけて、体を食事療法に慣らすことから始めます。
1)「甘いもの」「あぶらもの」はどちらかを1日1回以下にする。
→100gあたりのカロリーが高いのは「油」と「砂糖」ですから、
これを最小限におさえます。ガムや飴などとは永久にお別れです。
2)糖分の入った「飲み物」はやめる。
もちろんアルコール飲料はあきらめます。
日本茶や牛乳・野菜ジュースだけでも、のどの乾きは癒されます。
3)サラダにはドレッシングやマヨネーズを使わない。レモン汁でいただきます。
どうしても味気ないと感じたらノンオイルドレッシングにする。
4)おやつは厳禁
5)こんにゃくを刺身状に切り、味つけなしで茹でて保存しておく。
これを食事の増量材として使用します。夜食にもなります。
→ノンオイルドレッシングやレモン汁でサラダ風にしてどうぞ。
食事療法は一生続けるものです。
血糖値などはすぐにデータに現れますが、本当の食事療法の効果が現れるのは数ケ月後になります。
治療と言うより、体質改善と思って、気長に取り組みます。
純和食を中心とした食生活をイメージすると、比較的に楽にできます。
食事療法は糖尿病だけなら比較的に簡単ですが、
合併症が現れると規制を受ける食品が増えてきますから大変です。
早いうちに糖尿食に慣れてしまうことですよ。(^_^)
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
このブログは知っています。糖質を摂取させながら治療や食事療法で改善しないと専門家は本人のせいにしてしまいます。
もちろん、糖質制限を実践するか、専門医や栄養士の言いなるかは本人の問題です。