空腹時高血糖になった時点で、恐らく状況は進行しているでしょう。糖尿病と確定していなくても、以前の記事「空腹時高血糖はすい臓がんの発生率を増加させる」で書いたように、空腹時高血糖はすい臓がんのリスクを増加させます。
その他のがんはどうでしょうか?特にアジア人ではどうでしょうか?お隣韓国の研究があります。(図は原文より)
上の図は左が男性、右が女性で、横軸が空腹時血糖値、縦軸が10万人あたりの全原因死亡率です。血糖値とともに死亡率は増加しています。
上の図はBMIによる韓国人男性の空腹時血糖値によるすべてのがん死亡のリスク比です。どのBMIのグループであっても血糖値とともに死亡リスクが増加しています。空腹時血糖が110以上であってもすでにリスク増加が認められています。
上の図は10万人当たりの男性のがん発生率です。全てのがんの発生率は空腹時血糖が90未満の人と比較して126以上だと16~22%増加していましたが、110以上ですでに有意に増加を示しています。空腹時血糖が140以上だと最もリスクが高いのがすい臓がんで2倍以上の増加でした。空腹時血糖126以上で肝臓がん45~72%増加、白血病58~68%の増加でした。糖尿病との関連を認めたのは胃がん、結腸直腸がん、肝臓がん、すい臓がん、膀胱がん、白血病でした。
上の図は10万人当たりの女性のがん発生率です。空腹時血糖が90未満の人と比較して140以上だと全てのがんでは15%増加、空腹時血糖126以上ですい臓がんが67~99%増加でした。糖尿病との関連を認めたのは肝臓がん、すい臓がん、乳がん、子宮頸がんでした。特に子宮頸がんでは2.2倍でした。
上の図は10万人当たりの男性のがん死亡率です。空腹時血糖が90未満の人と比較して110以上だと全原因死亡が26%~2倍以上の増加でした。全てのがんでは17~29%、空腹時血糖140以上で食道がん44%、結腸および直腸がん31%、すい臓がん91%、空腹時血糖110以上で肝臓がん24~69%、空腹時血糖126以上で膀胱がん57%、白血病42%の増加でした。糖尿病との関連を認めたのは食道がん、胃がん、結腸直腸がん、肝臓がん、すい臓がん、白血病でした。
上の図は10万人当たりの女性のがん死亡率です。空腹時血糖が90未満の人と比較して110以上だと全原因死亡が24%~2.3倍以上の増加でした。空腹時血糖値140以上で全てのがんでは23%、肝臓がん33%、空腹時血糖値110以上ですい臓70~105%、空腹時血糖値126以上で子宮頸がん81%の増加でした。糖尿病との関連を認めたのは肝臓がん、すい臓がん、肺がん、乳がん、子宮頸がんでした。特に乳がんは2.2倍以上、子宮頸がんは2.5倍でした。
糖尿病の診断は確定していなくても、診断基準の一つである空腹時血糖126以上であると、すでに様々ながんのリスクが高くなっています。その前の段階の空腹時血糖が110以上の状態であっても全原因死亡や男性の全てのがんの死亡、いくつかのがんは有意のリスク増加しています。当然糖尿病の診断がついた方がもっとリスクが高くなるがんの種類が増加します。
空腹時血糖値が100を超えたらもうすでに危険が迫っていると思った方が良いかもしれません。すぐに糖質制限を始めるべきでしょう。
糖質過剰症候群
「Fasting serum glucose level and cancer risk in Korean men and women」
「韓国人男性と女性の空腹時血糖値とがんのリスク」(原文はここ)