非空腹時中性脂肪と虚血性脳卒中のリスク

以前の記事「食後中性脂肪(TG)スパイクに注意」でも書いたように、非空腹時の中性脂肪の上昇にもリスクがあり、注意が必要です。

非空腹時の中性脂肪値と虚血性脳梗塞のリスクの関係を見てみましょう。(図は原文より)

虚血性脳卒中の累積発生率は、非空腹時の中性脂肪値の増加とともに増加しました。多変量で調整すると、非空腹時の中性脂肪値が443mg/dL以上の男性では2.5倍、女性では3.8倍でした。

上の図は非空腹時の中性脂肪値89mg/dL増加するごとに虚血性脳卒中のリスクがどれほど増加するかを示しています。全体としてはリスクは15%増です。

 

上の図は年齢や高血圧の有無による違いを示しています。55歳未満の場合、非空腹時の中性脂肪値が354以上となると大きくリスクが増加しています。3.6~4.8倍です。高血圧の有無を見てみると、高血圧のない人の方が中性脂肪値とリスク増加が関係し、443以上の場合3.6倍になっています。

上の図はBMIおよび活動性との関連です。BMIが25未満でも中性脂肪が443以上では3.4倍で、BMI25以上だと中性脂肪354以上で2.2倍となっていました。活動性もアクティブでも中性脂肪354以上では2.3~2.4倍、非活動性でも443以上で3.8倍でした。

 

上の図は以前の虚血性脳卒中と対照の人の非空腹時中性脂肪値とリポタンパク質コレステロールのレベルを示しています。薄い色のバーはコントロール、濃い色のバーは虚血性脳卒中の人です。中性脂肪とレムナントコレステロールは虚血性脳卒中の人の方が高かったのですが、LDLは違いがありません。HDLは虚血性脳卒中の人の方がやや低い感じでしょうか。

 

 

上の図は虚血性脳卒中の10年間の絶対リスクです。男女とも非空腹時の中性脂肪値の増加に伴いリスクが増加しており、55歳以上では特にリスク増加が顕著です。中性脂肪が443mg/dL以上の55歳以上の男性の10年のリスクは16.7%、女性は12.2%でした。

私は40歳を過ぎたころに中性脂肪値が400を超えました。そして、そのことがわかったその日から糖質の制限を始めました。自分自身ではその決断があるから今があると思っています。そのままにしていたら、何が起きていたか?想像すると恐ろしくなります。脳梗塞が起きていれば、仕事を普通に続けることは難しかったかもしれません。

健診などで空腹時中性脂肪値が100を超えたら要注意だと考えています。非空腹時でも150を超えたらその日から糖質制限すべきだと思います。高中性脂肪は糖質過剰症候群ですから。

 

「Nonfasting triglycerides and risk of ischemic stroke in the general population」

「一般集団における非空腹時中性脂肪と虚血性脳卒中のリスク」(原文はここ

2 thoughts on “非空腹時中性脂肪と虚血性脳卒中のリスク

  1. 1型糖尿病のむーと申します。
    いつも勉強になる記事をありがとうございます。
    現在糖質制限しており、インスリン超速効を一回で3単位前後、持効型2単位です。
    空腹時は中性脂肪50前後と保てていますが、一度、食後1時間~1時間半で検査したところ300前後ありました。血糖値は120前後でした。
    以前の記事でも読みましたがコントロールどうしたらいいのか模索中です。
    何が体に良い食べ物なのか、どれくらいの量が適性なのか個人で違うでしょうがむずかしいですね。
    うまくいかないなと日々過ごしています

    1. むーさん、コメントありがとうございます。

      1型糖尿病の食後高中性脂肪は難しいですよね。
      インスリン欠乏でLPLが低下していますから。インスリン量の調整と脂質の種類の変更などで
      どうなるか見つけていくしかないのでしょうけど、食後の中性脂肪を頻繁に測定することも難しい話ですから。

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