インスリン投与量、HbA1c、体重の減少をもたらす実際の糖質制限の臨床使用

糖質制限の利点の証拠はどんどん増加中です。そして以前の記事「アメリカ糖尿病学会が出した歴史的なコンセンサスレポート 糖質制限を推進!」にも書いたようにアメリカ糖尿病学会は2019年のコンセンサスレポートで、糖質制限が最も多くの証拠があることを発表しました。

糖尿病は代表的な糖質過剰症候群なので、糖質制限をすれば非常に簡単に改善していきます。

今回の研究では、実際の臨床使用の糖質制限での効果を見ています。当然、食事を提供するわけではなく、食事の指導を行いますが、参加者はシンプルで持続可能なように糖質量をカウントしたり、ケトン体を測定したりすることはしていません。だから、参加者がみんなちゃんと食事を遵守できていたかどうかはわかりません。

参加者は最初、低炭水化物ケトン食に関する90分のクラスに参加します。食べてべきまたは避けるべき食品のリストを与えられ、でんぷん質のない野菜からの1日あたり約20gの総炭水化物を摂っても良いこと、満腹になるまでタンパク質を食べるように説明され、チーズ、クリーム、バター、オイルなどの天然脂肪は、制限内(この制限は詳しくはわかりませんがケトン食なのでかなり多い量でしょう)で推奨されています。また、「ホールフード」を食べるように強調され、加工食品はできるだけ避けることを推奨しています。

対象は平均年齢56.1歳、平均BMI42.6のインスリンを使用している2型糖尿病の185人でした。HbA1cは8.6%、体重は120kg、インスリン以外に、ベースラインでの糖尿病治療薬の使用は、97人がメトホルミン、40人がGLP-1、18人がDPP4阻害剤、11人がSGLT2阻害剤、10人がスルホニル尿素でした。

ただ12か月の研究で完了したのは85人(45.9%)でした。(図は原文より)

上の図は結果です。12か月を完了した85人のうち、インスリン投与量の中央値は69単位から0単位に減少し、HbA1cは8%から6.9%に、体重は116kgから99kgに減少しました。12か月の完了者のうち、86%がインスリンを減少または停止することができ、70.6%が完全に中止しました。

6か月を完了した47人では、インスリン投与量の中央値が70から0単位に、HbA1cが8.8%から7.2%に、体重が116kgから105kgに減少しました。

3か月を完了した22人では、インスリン投与量の中央値が79から28単位に減少し、HbA1cが9.1%から7.5%に、体重は115kgから109kgに減少しました。

 

上の図はインスリンとHbA1cの変化の関係です。12か月の完了者の場合、20%でA1cが2%以上減少し、そのうち70.6%でインスリンを中止でき、29.4%で減少できました。HbA1cが1〜2%減少した人では、76.5%がインスリンを中止することができ、23.5%が減らすことができました。HbA1cが1%未満減少した場合、73.9%がインスリンを中止でき、26.1%が減少できました。HbA1cが1%まで増加した人でも、53.3%はインスリンを減少または中止させることができました。インスリン中止後にA1cが1%を超えて上昇したのは3人だけでした。

3、6、12か月を完了したすべての参加者のうち、97.6%がインスリンの使用を削減または中止することができました。

上の図は6か月と12か月の完了者の体重の変化量とその人数です。24.6%で5〜10%の減量、40.8%で10〜20%の減量、11.5%で20%を超える減量があり、平均で28.6 kgの減量がありました。体重が増加したのはわずか8人(6.2%)でその増加量は1.3kgでした。

もちろん、今回の研究でも12か月続けた人は半分近い人であり、半分以上の人は継続ができませんでした。その後中断した人がどうなっているかはわかりません。持続することが非常に重要ですが、多くの人は糖質依存、糖質中毒状態なので、そこを切り抜けられるかどうかが問題なのかもしれません。

しかし、12カ月でほとんどの人がインスリン投与量がゼロになったのです。これほど劇的に改善する治療があるでしょうか?「バランスの良いカロリー制限食」でインスリン投与量がこのように減らせるでしょうか?

糖質摂取により起こるのが糖尿病です。その原因を取り除かないことには大きな改善は難しくなるでしょう。

 

「Clinical Use of a Real-World Low Carbohydrate Diet Resulting in Reduction of Insulin Dose, Hemoglobin A1c, and Weight」

「インスリン投与量、HbA1c、および体重の減少をもたらす実際の低炭水化物食の臨床使用」(原文はここ

2 thoughts on “インスリン投与量、HbA1c、体重の減少をもたらす実際の糖質制限の臨床使用

  1. 「糖尿病は代表的な糖質過剰症候群なので、糖質制限をすれば非常に簡単に改善していきます。」

    簡単な真理なのですが、糖質依存症者は様々な理屈をつけて否定しようとされますね。

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