非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に代わる新たな概念 名前や概念が変わってより糖質過剰症候群であることが明らかに

非アルコール性脂肪肝は糖質過剰症候群です。これまでの非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)はウイルス性肝疾患やアルコールなどを原因としない脂肪性肝疾患とされてきました。

2020年に非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD:Non-alcoholic fatty liver disease)に代わる新たな概念として代謝異常関連脂肪性肝疾患(MAFLD:Metabolic dysfunction-Associated Fatty Liver Disease)という疾患、概念が提唱されました。22カ国、32人の専門医による合意声明です。これが今後主流となるのかどうかはわかりませんが、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が代謝異常関連脂肪性肝疾患(MAFLD)と、名前や概念が変わってより糖質過剰症候群であることが明らかになりました。(図は原文より)

上の図はMAFLD診断フローチャートです。診断は非常にわかりやすいです。脂肪肝にプラスして、肥満または過体重、2型糖尿病があればそれだけでMAFLDです。それ以外(正常体重または痩せ)では脂肪肝にプラスして2項目以上の代謝異常のいずれかがある場合にMAFLDと診断します。

その代謝異常の項目として、

・腹囲が90cm以上(男性)、80cm以上(女性)

・血圧130/85mmHg以上または血圧の薬の使用

・中性脂肪値150mg/dL以上またはその治療薬の使用

・HDLコレステロール値40mg/dL未満(男性)、50mg/dL未満(女性)またはその治療薬の使用

・前糖尿病(糖尿病予備軍)(空腹時血糖100~125mg/dL、経口ブドウ糖負荷試験後2時間値140~199mg/dL、HbA1c5.7~6.4%)

・HOMA-IR2.5以上

・高感度CRP2mg/dL以上

この代謝異常の項目を見ると、ほとんど糖質制限で大きく改善するものばかりです。糖質過剰摂取でこのような代謝異常が起きているのです。

MAFLDの起こるメカニズムは完全に糖質過剰摂取であるかのように、私には見えます。

MAFLDには中程度までのアルコール摂取(60g/日未満)を含むと考えられます。MAFLDの定義に従うと、肝線維化予測能が高いと考えられています。MAFLD定義と既存のNAFLD基準を比較してみると、肝硬度はNAFLDと比較してMAFLDの方が高く、肝線維症の可能性はMAFLDで4.4倍、アルコール摂取量では1.76倍、NAFLDでは1.72倍でした。有意な肝線維症を検出するための感度はNAFLDよりもMAFLDの方が高く、肝の線維化が進展するには中等度までのアルコール摂取よりも、代謝異常の合併の方が大きく関わっていると考えられます。(この論文参照)

アルコールを飲んでいればアルコール性脂肪肝、飲んでいなければ非アルコール性脂肪肝というような分け方ではなく、代謝異常があるかどうかがメインの分類です。アルコール過剰摂取(60g/日)以上ではMAFLDにアルコール性肝障害が合併していると考える方が妥当です。これまでのアルコール性脂肪肝疾患でも恐らく多くの人が代謝異常を伴い、非アルコール性の脂肪肝を合併していたはずです。

いずれにしても、肝臓の障害はウイルス性以外であればアルコール摂取の有無にかかわらず、まずは糖質過剰摂取による代謝異常を伴うMAFLDを考えるべきだと思います。

では治療法は?もちろん糖質制限ですね。

 

「A new definition for metabolic dysfunction-associated fatty liver disease: An international expert consensus statement」

「代謝異常関連脂肪肝疾患の新しい定義:国際的な専門家のコンセンサスステートメント」(原文はここ

One thought on “非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)に代わる新たな概念 名前や概念が変わってより糖質過剰症候群であることが明らかに

  1. 糖質制限→1日1食→幸田光雄先生の断食療法→不食、と興味移行。
    「食べない」気持ちよさを実感してしまっています。

    エビデンス皆無、書籍やインターネットなどの体験談や実感を頼りに自己責任実験です。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です