先日、「それって!?実際どうなの課」という番組、ザ・たっちが「朝食を抜くと太る」という噂を検証する企画をやっていました。当然テレビの企画なので結果は朝食を抜くと太りました。双子のたっちが一人は3食キッチリ食べて、もう一人は朝食を抜いた分、昼と夜に多く食べ、摂取エネルギー(カロリー)は同じ設定にしています。朝食500kcal、昼食900kcal、夕食1000kcal、トータルで2400kcalでした。1日目が終わり朝食を抜いたほうが0.7kg増加、朝食を食べた方が0.1kg増加、2日目は朝食を抜いたほうが0.2kg増加、朝食を食べた方が0.1kg減少しました。そこで3日目は朝食を抜いたほうは朝食を抜いた分のエネルギーを昼と夜で食べずに、約500kcal少ない食事にしました。3日目は朝食を抜いたほうが0.1kg増加、朝食を食べた方が0.1kg増加しました。結局3日間で朝食を抜くと1kg太ったことになります。
この企画の問題はカロリー計算で行っていることです。1日目の夕食は朝食を抜いたほうが100g多い白米を食べていました。他の食事でもおかずだけでなく、白米を増やしてエネルギー摂取量の調整を行っていたのです。糖質制限をしている人はわかると思いますが、糖質を多く食べることになるので、太るのも当然でしょう。
番組の中では「朝は糖質を効率よく燃焼する」というよくわからない、根拠もないナレーションが入っていたりしました。
ネットの記事でも平気で「朝食を抜くと太る」というものが出てきます。例えばこれ。太る理由として、次の食事量が増える、代謝が低下する、吸収が良くなるなど根拠のはっきりしない情報が溢れています。
「朝食はその日の最も重要な食事です」という食品業界の宣伝文句をそのまま真に受ける必要はありません。
朝食を抜くとそれ以降の食事量、エネルギー量が増えて、太るのでしょうか?以前の記事「朝食を摂るか摂らないか?朝食の利点はないかもしれない」でも取り上げましたが、朝食が体重とエネルギー摂取量に及ぼす影響を分析したものがあります。(図は原文より)
13件の研究のうち、7件は朝食を食べることによる体重変化への影響、10件はエネルギー摂取への影響を調べました。その結果、朝食を抜いた人に有利な体重にわずかな違い(平均差0.44kg)が認められました。つまり朝食を抜いたほうが朝食を摂った人より体重が減少していたのです。また、朝食を摂った人では、朝食を抜いた人よりも1日の総エネルギー摂取量が多かったのです。
もちろん研究によりバラツキが多くあり、個人差もあるかもしれません。また、上の番組の企画のように、何を食べるかによるかもしれません。この研究の中の全ての研究は糖質過剰摂取です。糖質過剰摂取をしていても、朝食を抜くことの不利益はないでしょう。
少なくとも糖質制限をしている状態であれば、朝食を抜いても、昼食の血糖値の急上昇は起きません。また、恐らく一般的に計算されているほどまで摂取エネルギーは必要ないのではないかと思います。
以前の記事「朝食を食べない子供はバカになる?負け組になる? その2」で書いたように、朝食を抜いても注意力や記憶に影響はありませんし、また今回の研究のように太るというエビデンスも存在しません。
私は1日2食です。現代の食事回数は食べすぎです。糖質過剰摂取の1日3回+間食ではずっとインスリンが出っぱなしです。食事回数だけでなく何を食べるかが重要です。糖質制限をすれば朝食の有無にかかわらず通常、過体重や肥満の人は痩せます。
食品業界は朝食を食べてほしいに決まっています。特に朝食によく食べるシリアルのメーカーなどは必死でしょう。お米の消費も減っているので、お米に関わる業界も朝食を強力に勧めるのは当然です。しかし、現実には朝食、1日3食のメリットはありません。
「Effect of breakfast on weight and energy intake: systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials」
「朝食が体重とエネルギー摂取量に及ぼす影響:ランダム化比較試験の系統的レビューとメタアナリシス」(原文はここ)
朝三暮四(ちょうさんぼし)
1.
目前の差にこだわり、結局は同じ結果なのに気がつかないこと。
2.
言葉の上でだけうまく話して他人をごまかすこと。
という言葉を連想してまいました。
やはり「三食バランス良く」食べると
認知機能にも良くないのでしょう。
私も拝見しました。
疑問点は、量を同じにするならば、全く同じものを摂取しなければいけないと感じていたところでした。
白米100gは言語道断ですね。
ところで、人間の体重は、食べたものだけでなく、水分量にもよると思います。
私の感覚ですが、体重が少ないときは水分を摂取しても尿の量が少なく、
逆に体重が多いときは、同じ水分摂取で、尿の量が多くなります。
いわゆる、ホメオスタシスが、体を維持しようとしていると感じています。
このような、実験をするのであれば長期間をかけて検証すべきだと感じました。
また、結果が出たとしたら、兄弟を入れ替えて同じ検証をすべきかなと。
いくら、双子だといえども、腸内環境が同じとも考え難いと思います。
吉川孝行さん、コメントありがとうございます。
企画としては面白いですが、設定が悪すぎましたね。
カロリー神話の弊害ですね。
清水先生、こんにちは。
* Is Skipping Breakfast Deadly?
https://00m.in/v7MOA
要約すると、
* 「空腹で、何かを食べたくてたまらないのであれば、美味しい朝食を取ろう。空腹でないのなら、朝食を取る必要は無い。朝食を取らずとも何の弊害も起こらない。朝食を取らないことで体重が増える心配は無い」
* 「『絶食するとインスリンの濃度が上がる』という主張もあるが、これは明らかに間違っている。空腹時のヒトのインスリンの濃度は極めて低い」
* 「断食は血圧を上昇させる、という主張があるが、実際には、眠りから目覚めたあとに何も食べずにいると、血圧は低いままだ」
* New Study: A Low-Carb Diet and Intermittent Fasting Beneficial for Diabetics!
https://00m.in/cNNIw
こちらの研究では、
1. 低脂肪食(炭水化物の摂取割合は45 – 56%)を取った
→結果は、一日を通して血糖値とインスリンの濃度が高い状態が続いた。
2. 朝食を抜いて(コーヒーを飲んだだけ)、昼食は取った(炭水化物の摂取割合は32 – 35%)
→結果は、朝食を抜くと、血糖値もインスリンの濃度も低いままであったが、昼食を取ったあとの血糖値とインスリンの濃度は、1. の低脂肪食に匹敵するぐらい高かった。
3. 炭水化物が比較的少ない食事(炭水化物の摂取割合は16 – 24%)を取った
→結果は、これら3つの食事の中で、1日を通してインスリンの濃度が最も低かった。
2. と比較すると、血糖値が上がっていますが、これは朝食時に炭水化物を食べたのが原因でしょうね。炭水化物の摂取割合が「16 – 24%」だそうですから。
この記事には、イタリア、ギリシャ、ポルトガルでは朝食を抜くのは普通である、と書かれてあります。
「低脂肪食は炭水化物が多く、案の定、1日を通してインスリンの平均上昇度合いが最も高かった。インスリン感受性が低下し、インスリンの十分な産生が困難な糖尿病患者にとって、これは凶報だ。大多数の糖尿病患者が遵守するよう推奨されている低脂肪食は、これまた散々な結果を示した」
「ほぼ2倍の量のインスリンが分泌されているにもかかわらず、低脂肪食では、高脂肪食と比べても血糖値の上昇が2倍大きかった」
「低脂肪食は、低糖質食と比べてインスリンの分泌量が2倍になり、血糖値はさらに飛躍的に上昇した。これは、炭水化物を多く含む低脂肪食が糖尿病患者にとってどれほどおぞましいものであるか、を見せてくれる」
とのことです。
クリードンさん、情報ありがとうございます。
後で読んでみます。
私が朝食を摂らない理由は、太る、太らないよりも、朝は血糖値が上がりやすいから。
昼食も同様に上がりやすいため、極力糖質は避けている。
逆に夜は上がりにくいので、多少摂っている。
糖質制限を推奨する医師は、どうしても糖質を摂る場合は、「朝>昼>>>>夜」と言ってる人が多いけど、私はちがうと思う。
太る、太らないに関して言えば、現代人は糖質云々より食べ過ぎ。
私は1日1.5食にしてからは、太りたくても太れない。(太りたくはないけど)
体調はすこぶる快調。
空腹感がある方が、感覚が研ぎ澄まされて良い。
マイケル・マーラーさん、コメントありがとうございます。
仰る通り1日の最初の食事は絶食後なの当然血糖値は高くなりやすくなります。
糖質制限をしている医師が朝の糖質摂取を勧めているのは私は知りません。
朝であろうが夜であろうが糖質制限を勧めますし、どうしても、というのは事情があって摂るのですから
そのタイミングの問題になります。
いずれにしても1日3食は多すぎだと思います。