膝の痛みには糖質制限を

変形性膝関節症の有病率は、40歳以上で見ると男性42.6%,女性62.4%だそうです。本当にこんなに多いのかどうかはわかりませんが、当然そのすべてに治療が必要な状態ではないでしょう。

この変形性膝関節症は日本整形外科学会のホームページで見ると、もちろん肥満との関連は書かれていますが、予防には食事のことは全く出てきません。糖尿病では恐らく有病率が上がると思われます。

今回の研究では、膝の痛みのある2型糖尿病の人で、糖質制限を行った183人と通常の糖尿病治療の69人を比較しました。膝の評価はKnee injury and Osteoarthritis Outcome Score (KOOS)という質問票を使いました。

糖質制限をする人は栄養ケトーシスを達成するために遠隔教育と指導を受けました。毎日の食事による炭水化物の制限は30g未満で、毎日体重を測定し、アプリに指先からの血糖値とケトン体のβヒドロキシ酪酸値を入力して、食事の順守、進行状況を継続的に監視しました。(図は原文より)

上の図はベースラインから2年後までのKOOSの変化率です。通常治療ではスコアが悪化していたのですが、糖質制限では改善しました。2年後、糖質制限の45.5%と通常治療の14.8%が、合計KOOSスコアの「改善」(合計KOOSスコアの10の増加)として分類されました。KOOSスコアで改善を達成する確率は通常治療と比較して糖質制限で5.4倍でした。

体重、内臓脂肪、炎症を表すCRPとKOOSの関連については。内臓脂肪の減少は合計KOOSおよびKOOSADLスコアの改善に関連していました。炎症を表すCRPの減少はKOOS症状スコアの改善に関連していました。意外なことに体重は有意な関連はありませんでした。

糖質制限では体重が減少し、変形性膝関節症では肥満を改善することが必要だと思われています。しかし、実際には変形性膝関節症膝の症状には炎症や内臓脂肪を減らすことの方が重要なようです。

恐らく糖質制限では血糖値の安定化、ケトン体による抗炎症作用が改善につながると思われます。また、もしかしたら膝関節のエネルギー代謝が変化して痛みが軽減するのかもしれません。

変形性膝関節症も糖質過剰症候群です。膝が痛くなったら、すぐに糖質制限を始めましょう。そうすれば手術を回避できる可能性がかなり高まるでしょう。

 

 

「Continuous care intervention with carbohydrate restriction improves physical function of the knees among patients with type 2 diabetes: a non-randomized study」「炭水化物制限による継続的なケア介入は、2型糖尿病患者の膝の身体機能を改善する:非ランダム化研究」(原文はここ

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