非空腹時の中性脂肪値とLDLコレステロール値と心不全リスク

血液検査の中性脂肪値は空腹時に検査するのが理想的です。それは、食事の影響を強く受け、比較的長時間その影響が続くからです。

では、絶食時ではない中性脂肪値は当てにならないのでしょうか?以前の記事「食後中性脂肪(TG)スパイクに注意」で書いたように、TGスパイクは様々なリスクと関連していると考えられます。

以前の記事「非空腹時中性脂肪と虚血性脳卒中のリスク」「絶食時ではない中性脂肪値上昇も危険性がある」を書きましたが、今回は心不全と非空腹時中性脂肪との関連です。ただ検査はベースラインで行われ、それにより分類がされています。追跡期間が23年以内と非常に長いので、ベースラインの値だけというのはデータの質が低いですね。しかし、ベースラインですでにTGスパイクを起こす状態になっていたと考えれば、ある程度は当てになると思います。(図は原文より)

上の図は非空腹時の中性脂肪値、LDLコレステロール値による心不全のリスクを示しています。中性脂肪1mmol/Lは約88mg/dL、LDLコレステロール1mmol/Lが約38.6mg/dLとしています。中性脂肪は88mg/dL未満を1とすると、中性脂肪が増加するにつれ心不全のリスクは増加し、440mg/dL以上では2.59倍にもなります。

しかし、LDLコレステロール値の増加と心不全リスクは関連がありませんでした。

上の図は非空腹時中性脂肪値のレベル別の心不全の累積発生率です。年齢と共にもちろんリスクは増加しますが、やはり中性脂肪値が高い方が発生率も増加しています。

中性脂肪の変化量(mg/dL)は次のような式で表されます。
=ー2.22x(炭水化物→飽和脂肪)ー1.99x(炭水化物→一価不飽和脂肪)ー2.47x(炭水化物→多価不飽和脂肪)

つまり、炭水化物をどのような脂質にせよ脂質に置き換えれば中性脂肪値は低下するのです。

非空腹時でも中性脂肪値は150を超えないようにした方が良いでしょう。

 

「Nonfasting Triglycerides, Low-Density Lipoprotein Cholesterol, and Heart Failure Risk: Two Cohort Studies of 113 554 Individuals」

「非絶食中性脂肪、LDLコレステロール、および心不全リスク:113554人の2つのコホート研究」(原文はここ

4 thoughts on “非空腹時の中性脂肪値とLDLコレステロール値と心不全リスク

  1. お世話になります
    先日2ヶ月ぶりに血液検査をしましたところ、食後3時間値の中性脂肪値が179でした

    150未満を目標としたいのですが、食事に関してアドバイスいただけると有り難いです

    PFCバランスは、20:76:4くらいです

    私はタンパク質によるグルカゴンの分泌が多いタイプのようなので、タンパク質を減らし、脂質を多くしています
    主たる脂質源は、MCTオイル、ナッツ、オリーブオイルです

    タンパク質によって、血糖値の下がり具合が違うような気もしています(自己測定値からの類推)

    どうも、肉類より魚の方が下がりが良いようです
    必須アミノ酸の種類が違うから?でしょうか?

    タンパク質を減らし脂質を増やした結果、HbA1C6.2→5.3、GA14.0→12.9となりました

    他、参考までにHDL93、LDL109、AST19、ALT20、γ-GPT14、Na138、Cl101、クレアチニン0.65、e-GFR74.7でした

    1. appleさん、コメントありがとうございます。

      やはり以前はタンパク質が多すぎたみたいですね。HbA1c、GA改善良かったですね。
      PFCでみると完全にケトン食ですね。
      %だとわかりにくいので検査の前の食事内容と量がわかりますか?
      ただ、筋肉も少なくその割に脂質量が多すぎた可能性はあると思います。
      1回の検査だけではなんとも言えませんし。
      マグネシウムがまだ少なくリポタンパクリパーゼの活性も低いのかもしれませんね。
      肉類より魚の方が下がりが良いのは、単にタンパク質量の違いでは?または脂質の違いかもしれませんね。
      申し訳ありませんが、これだけの情報ではわかりません。

  2. 検査前の食事内容は

    タンパク質→オイルサーディン、卵白、ビオプロテインブロート、ナッツ、野菜で、約25g

    脂質→MCTオイル、オイルサーディンとそのオリーブオイル、ナッツ、マヨネーズで約60g

    糖質→野菜、ナッツ、ビオプロテインブロートで約5g

    これだと、PFCバランスは15:82:3ですが、昼食のタンパク質が多いので、1日トータルで20:76:4となります

    魚は缶詰の栄養表示によるタンパク質量、肉類は自分で調理し、調理による重量変化率を考慮したもので、同じくらいです

    魚でも、白身魚より、青魚のほうが、下がりが良いような気がします
    サンプルが少なく、また、誤差範囲かもしれませんが…

    確かに、体重の割に脂質量は多いと思います(それでも、一番痩せていた夏より4kg増)
    クローン病の娘が引くような脂質量ですね(苦笑)

    お腹を壊すことなく、朝から食べられるので、ケトン食向きの体質かな?と思っています

    就寝時間が早いので、夕食は1日で最も粗末(笑)にしています
    だからしっかり働いた後の朝食がガッツリ食べられるのかもしれませんね(笑)

    卵黄は、少量を毎日とるようにしています

    話は逸れますが

    私が聴いているラジオ番組で、3週間に一度くらいの割合で、村中理子さんがドイツからリモートで生出演されています
    最近のコロナ感染状況やドイツ国内のニュースなどお話しされています
    時々私的な旅行などについても話されています
    ご興味があれば、radikoプレミアムで聴いてみて下さい
    文化放送の「おはよう寺ちゃん」という番組で、早朝5時から6時の間、中継が繋がります

    1. appleさん、コメントありがとうございます。

      脂質60gだと卵10個分ですね。豚バラで170~180gくらいですね。恐らく個人差、その時の体調などによっても違うでしょうから、
      そこまで中性脂肪値を気にするほどの値ではないのかもしれませんが、
      やはり中性脂肪を取り込む筋肉が少なすぎるのかもしれませんね。
      魚はオメガ3の影響なんでしょうかね?
      ちなみにクローン病にも糖質制限は良いのではないかと思いますが?
      前回までのコメントも併せて、いつか記事にしたいと思います。

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