うつ病と糖尿病の全原因および原因別死亡リスク

うつ病は糖尿病の人に良く認められます。私は、それは当然同じ原因だからだと考えています。つまり、うつ病も糖尿病も糖質過剰摂取による糖質過剰症候群です。体のどこに糖質過剰摂取の影響が出るかはそれぞれ違いますが、様々な臓器に症状が出る方がより糖質過剰症候群としては進行している、悪化している状況だと思います。

今回はイギリスのバイオバンクのデータで、うつ病と糖尿病それぞれと、その両方を併発した場合の死亡率を比較しています。対象はベースラインで統合失調症と双極性障害のない499,830人で、そのうちうつ病のみが41,791人、糖尿病のみが22,677人、糖尿病とうつ病を併発している人が3597人、どちらの状態でもない人が431,765人でした。

追跡期間の中央値6.8年の間に、13,724人が死亡しました 。がん7976人、循環器疾患2827人、その他の原因 2921人でした。(図は原文より、表は原文より改変)

死亡原因調整済み HR (95% CI)
モデル2b
全原因死亡うつ病も糖尿病もない1.0
うつ病のみ1.26 (1.19、1.33)
糖尿病のみ1.62 (1.52、1.72)
うつ病と糖尿病併発2.16 (1.94、2.42)
がん死亡うつ病も糖尿病もない1.0
うつ病のみ1.00 (0.92, 1.08)
糖尿病のみ1.24 (1.13、1.36)
うつ病と糖尿病併発1.62 (1.35、1.93)
循環器疾患死亡うつ病も糖尿病もない1.0
うつ病のみ1.27 (1.12、1.45)
糖尿病のみ1.97 (1.76、2.20)
うつ病と糖尿病併発2.22 (1.80、2.73)
その他の原因による死亡うつ病も糖尿病もない1.0
うつ病のみ2.10 (1.89、2.34)
糖尿病のみ2.23 (1.97、2.53)
うつ病と糖尿病併発3.60 (2.93、4.42)

死亡率の一番高かったのは、もちろんうつ病と糖尿病併発群でした。死亡リスクはどちらもないグループと比較して、全原因死亡2.16倍、がんによる死亡1.62倍、循環器疾患死亡2.22倍、その他の原因死亡3.60倍でした。

うつ病のみ、糖尿病のみでもどちらもないグループと比較すると様々な死因別死亡率や全原因死亡率は高くなっていました。

上の図はまとめを図示したものです。うつ病と糖尿病の複合的な関連性は、循環器疾患死亡のリスクについては相加的であり、がんのリスクおよび循環器疾患とがん以外の原因による死亡については相乗的でした。恐らく、糖尿病とうつ病を併発している場合、その他の臓器もかなりの大きな影響を受けている可能性が高く、それによって、その他の原因の死亡リスクが増加するのだと思います。

死亡リスクを減らすには、まずは糖質制限で高血糖、インスリン抵抗性を改善しなければならないと思います。

「Depression, diabetes, comorbid depression and diabetes and risk of all-cause and cause-specific mortality: a prospective cohort study」

「うつ病、糖尿病、併存するうつ病と糖尿病、および全原因および原因別死亡のリスク:前向きコホート研究」(原文はここ

 

2 thoughts on “うつ病と糖尿病の全原因および原因別死亡リスク

  1. 「体のどこに糖質過剰摂取の影響が出るかはそれぞれ違いますが、様々な臓器に症状が出る方がより糖質過剰症候群としては進行している、悪化している状況だと思います。」
    ということだと(もしかしたら医療の大勢である)対症療法的な治療では「その場凌ぎ、問題の先送り」にすぎないですね。

    1. 鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。

      薬による治療の多くは、原因を取り除いたり、原因を改善するのではなく、単に対症療法です。
      糖尿病が良い例で、血糖値が上がるのは完全に糖質摂取であり、それに対処することなく、
      薬で血糖値を下げています。根本的に良くなるはずがありません。

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