以前の記事「LDLコレステロールが高いとがんのリスクは低下する」では、LDLコレステロールとがんの関連を書きました。ではHDLコレステロールとがんの関連はどうなっているのでしょうか?
今回の研究では、脂質を変化させる介入の大規模なランダム化比較試験(RCT)でHDLコレステロールとがんの関連を分析しました。合計24の脂質介入RCTが主な分析に含まれました。76,265人の患者が脂質介入群、69,478人の患者が対照群です。追跡期間の中央値は5年です。(図は原文より)
上の図はベースラインでのHDLコレステロールとがんの発生率を示しています。HDLコレステロールが高いほどがんの発生率が低くなっていることがわかります。HDLが10mg/dl 増加するごとに36%がんの発生率が低下します。
上の図はLDLコレステロールとがんの発生率です。以前の記事の内容と同様で、LDLコレステロールが高いほどがんの発生率は低下しています。
上の図は年齢とがんの発生率の関連ですが、これは明らかに年齢が上がるほどがんは多くなっています。
上の図はBMIとがんの発生率の関連です。これも明らかにBMIが上がるほどがんは多くなっています。
HDLコレステロールの増加はLDLコレステロール、年齢、BMI、糖尿病、性別、喫煙と関係なく、がんの発生率を低下させました。
HDLコレステロールを上げる方法、それは糖質制限です。糖質をしっかり制限し、良質の脂質をたっぷり摂れば、HDLは増加します。
糖質制限でがんのリスクを低下させましょう。
「Baseline and On-Treatment High-Density Lipoprotein Cholesterol and the Risk of Cancer in Randomized Controlled Trials of Lipid-Altering Therapy」
「脂質改変療法の無作為対照試験におけるベースラインおよび治療中のHDLコレステロールとがんのリスク」(原文はここ)
「生活習慣病」を一括して改善へと導く一つの(最善の)方法が「糖質制限」ですね。
糖質制限を始めてから確かにHDLが上がりましたが、筋力トレーニングを追加してさらに上がりました(筋トレ前HDL55→筋トレ後HDL68)。糖質制限を続けながら筋トレで+3kg体重が増えました。筋トレを継続すれば、HDLもまだ上がるような気がします。以前先生がブログの中で述べていた通り、プロテインを飲まなくとも糖質制限で十分に筋力が付くことが実感できています。考えれば当たり前なのですが、筋力量とHDLには関係があると思いますが、筋力量とHDLの関係性に触れている文献についてご知見ありますでしょうか?個人差は当然あるものだと思いますが、どれくらいの筋力量を目標とすべきか、もしくはキープすべきなのか知りたいです。
西村圭吾さん、コメントありがとうございます。
筋力量(筋肉量?)とHDLが直接関連しているかどうかはわかりませんが、筋トレは筋肉量を増やし、インスリンの感受性を増加させると思います。
インスリン抵抗性が低下するとHDLは増加することから、筋トレによりある程度HDLは増加すると思います。
ただどこまで増加するかはよくわかりません。
筋トレはmTORを強く活性化させるので、それが懸念されます。しかし、糖質制限のまま、プロテインも使用していないのであれば、
恐らくそこまで心配はないのではないかと思います。
目標レベルは私には決められません。
コメントありがとうございます。
当方の知識レベルが低いため、mTORの活性化については、勉強不足で十分に理解できておりませんでした。
もう一度先生のブログや書籍を読み直して理解を深めたいと思います。
先生からコメントいただいたmTOR活性化は、懸念点として記憶しておきます。
一方で、糖質制限のまま、プロテインも使用していないのであれば、恐らくそこまで心配はないのではないとアドバイスいただけて少し安心しました。
筋トレを始めたきっかけは、糖質制限を始めてから中性脂肪が下げ止まり、HDLの上昇が止まったからです。
先生自身が公開されている中性脂肪やHDLの値まで到達するように思えなかったため、足りていないものとして、間違いなく運動だろうと考えました。
有酸素運動の選択肢もありましたが、普段仕事や子育てをしていると忙しくて時間が取れないため、短時間でできる筋トレを始めました。
現在は週一回1時間くらいで隙間時間に筋トレをしています。