糖質過剰摂取は血栓が詰まりやすい

人間の体は血流が途絶えると、その先の組織や臓器は死んでしまいます。血栓が詰まると血流は途絶えます。

以前の記事「高HDLコレステロールは健康的なのか? その2」「食事を変えることが一番の治療」などで書いたApoCIIIはこの血栓と非常に関係しています。

例えば、血管造影検査で冠動脈疾患が証明された633人の患者を57ヶ月の追跡した研究があります。92%の人は、冠動脈 (血管内または外科的)血行再建術を受けました。(図はここより)

 

上の図はApoCIIIの中央値10.5 mg/dLで分けたときの、総生存率と心血管死亡しない生存率を示しています。赤がApoCIII10.5 mg/dL以上、緑が10.5 mg/dL未満です。緑の方がどちらの図も生存率が高いですね。ApoCIIIが10.5 mg/dL以上だと総死亡のリスクは2.22倍で、心血管死亡リスクは 2.35 でした。そして、ApoCIIIの増加は内因性トロンビン生成の増強と関連していました。つまり、ApoCIIIは血栓形成の役割があると示唆されます。

別の研究を見てみましょう。冠動脈疾患774人と冠動脈疾患のない176人を中央値130か月追跡しました。そのうち95人(10%)が虚血性脳卒中/一過性脳虚血発作 (TIA)のイベントを経験しました。今回のApoCIIIの中央値は10.6mg/dLです。(ここ参照)

Aは全ての参加者のもので、Bは冠動脈疾患がない人、Cは冠動脈疾患の人、Dはマッチングさせて選んだ冠動脈疾患ありとなしのもので、虚血性脳卒中/一過性虚血発作を起こさずに済んだ割合です。どれもApoCIIIの増加は虚血性脳卒中/一過性脳虚血発作の増加と関連しています。10.6mg/dLを超えるApoCIIIの増加は虚血性脳卒中/一過性脳虚血発作のリスクが2.23倍でした。やはりApoCIIIの増加は血栓ができやすいと推測されます。

さらに別の研究を見てみましょう。この研究は心房細動および/または人工心臓弁のためのワーファリンによる抗凝固療法を受けている118 人が対象です。追跡中央値109か月の間に、24人(20.3%)が脳虚血イベントを起こしました。今回のApoCIIIの中央値は10.3mg/dLです。(ここ参照)

上の図のようにApoCIIIが10.3mg/dL以上だと虚血性脳卒中/一過性脳虚血発作のリスクは約3倍でした。抗凝固療法をされている状態でさえ、ApoCIIIの増加は血栓を形成しやすくしてしまうのです。

ApoCIIIの増加の血栓形成は動脈にとどまりません。1,020人でApoCIIIと静脈血栓塞栓症の関連を分析しました。中央値144か月の間に45人 (4.4%)が致命的ではない静脈血栓塞栓症のイベントを経験しました。(深部静脈血栓症29人(64.4%)、深部静脈血栓症 + 肺塞栓症6人(13.3%)、肺塞栓症10人(22.2%))今回のApoCIIIの中央値は10.6mg/dLです。(ここ参照)

上の図はApoCIIIを4つのグループに分けたときの静脈血栓塞栓症発生率です。ApoCIIIが10.6mg/dLを超えると発生率が急に増加しています。

上の図のようにApoCIIIが10.6mg/dL以上だと静脈血栓塞栓症のリスクは約3倍です。

いくつもの研究で示したように、ApoCIIIの増加は血栓を促進します。

ApoCIIIの増加は糖質過剰摂取、特に果糖の過剰摂取で起こります。血栓は糖質過剰症候群です。非常に多くの病気に血栓が関係しています。糖質を過剰摂取し続けるリスクは非常に大きいのです。

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