「その1」の続きです。HDLコレステロール値が高いからと言って必ずしも健康的ではありません。それほどHDLは単純ではないのかもしれません。LDLと同様に質が重要です。質の悪いHDLは機能が悪いのです。HDLコレステロールのHDL機能に最も影響するものの1つは、HDLを構成するアポリポタンパク質の中のApoCⅢです。(「HDLコレステロールは高ければ良いってもんじゃない?その4」「その5」「その6」など参照)
ApoCIII は、カイロミクロンやVLDLなどの中性脂肪が豊富なリポタンパク質の主要成分で、その濃度は血中の中性脂肪値と関連しています。
HDLのApoCIIIが増加すると、HDLは機能的および構造的に損なわれ、より多くのアテローム発生性を持つ可能性があります。
成熟前のHDL、小さな粒子の新生HDL、原始HDLはコレステロールの逆輸送を担っているので重要ですが、その後の健康的な成熟したHDLは粒子サイズが大きく、コレステロールが豊富で、アポリポタンパク質のApoAⅠを多く持っています。
しかし、炎症でHDLのApoAⅠが外れてしまったり、糖化、喫煙、感染、酸化ストレス、加齢などによりHDLのコレステロールが減少し、HDLのApoCIIIが増加および急性期の反応物質の血清アミロイドAタンパク質がくっ付いたり、HDLの中性脂肪が増加したりして、粒子サイズが小さくなって質の悪い機能不全のHDLとなってしまいます。
機能不全のHDLは何も役に立たないばかりか、有害である可能性があります。質の悪いHDLがいくら増加しても健康的にはなれません。
そうすると、感染や加齢は避けられないかもしれませんが、タバコは止めれば良いし、糖質過剰摂取による慢性の炎症、糖化、酸化ストレスの増加は避けることができます。つまり、糖質制限によりかなりHDLの質は改善すると考えられます。
ApoCIIIの増加はかなり有害でしょう。しかも様々な状態、病態に関係している可能性があります。
次回以降ではApoCⅢについてもう少し見ていきたいと思います。
「The Current Status of Research on High-Density Lipoproteins (HDL): A Paradigm Shift from HDL Quantity to HDL Quality and HDL Functionality」
「高密度リポタンパク質 (HDL) に関する研究の現状: HDLの量からHDLの品質および HDLの機能性へのパラダイムシフト」(原文はここ)
白澤卓二先生著者
『白米中毒』
を改めて読んでます。
ケトン体質とケトアシドーシスの
違いが分かり易く記述されています。
また、貝原益軒も『養生訓』で
米や糖質の摂りすぎで健康を害する
ことも述べている事も記載有りました。
鈴木武彦さん、コメントありがとうございます。
まあ、江戸時代だと逆にタンパク質があまりなく、お米は重要な食料だったんでしょうね。
それが寿命に影響したんでしょうか。