2型糖尿病は糖質過剰症候群で間違いありませんが、1型糖尿病は自己免疫性と考えられています。しかし、私は1型も糖質過剰症候群だと考えています。以前の記事「果糖はブドウ糖よりもApoCIIIを大幅に増加させる」などで書いたように、糖質過剰摂取ではApoCⅢが非常に増加します。このApoCⅢが1型糖尿病と関連していると考えられています。
1つの自己抗体の存在がリスクを高めることが研究でわかっていますが、単一の自己抗体を持つ人の10%未満が1型糖尿病を発症します。2つ以上の自己抗体を持つ子供が10年以内に1型糖尿病を発症するリスクは70%程度だそうです。逆に言えば抗体=1型糖尿病ではないということです。
実験的には健康なβ細胞が1型糖尿病患者の血清にさらされるとアポトーシスを起こしてしまうことがわかっています。電位依存性Ca 2+チャネルの活性が増加し、これにより、細胞質の遊離Ca 2+濃度とアポトーシスが増加します。これらの影響は、Caチャネル遮断薬によって防ぐことができます。そして、細胞内のCa 2+濃度を増加させ、アポトーシスを促進する1型糖尿病の血清中の重要な因子の正体が特定されました。それが、ApoCIIIでした。ApoCIIIレベルの上昇はβ細胞に有害であり、細胞死をもたらします。
そして、ApoCIIIレベルを減少させると、糖尿病の発症が大幅に遅れました。つまり、ApoCIIIは糖尿病誘発因子であると考えられます。(図は原文より)
ApoCⅢの増加はすい臓のβ細胞に作用し、細胞死をもたらし、β細胞の漸進的な減少は、インスリン分泌を減少させ、更なるApoCⅢの増加をもたらすという悪循環が起こると考えられます。そしてこの悪循環は1型糖尿病が発症するまで続く可能性があります。
また、ApoCⅢはNLRP3インフラマソームという炎症物質の活性化因子と考えられています。ウイルスなどの感染やワクチン接種で炎症が起こりNLRP3インフラマソームが活性化してアポトーシスが起きるときに、ApoCⅢが関与しているのかもしれません。β細胞死に際には核酸やタンパク質などのダメージ関連分子パターン(damage associated molecular patterns;DAMPs)が放出され、炎症および免疫系を活性化します。自分自身のβ細胞の構成成分に対して免疫反応、抗体産生が起きること可能性は十分にあるでしょう。ApoCⅢの増加により頻繁にβ細胞のアポトーシスが起こり続ければ、β細胞に対する自己抗体が産生されても不思議ではないでしょう。
きっかけはApoCⅢなのか、感染などの他の要因なのかはわかりませんが、ApoCⅢが大きくかかわっていることは間違いないのではないかと思います。
そうすると、子供の頃からの糖質過剰摂取、特に果糖の過剰摂取が1型糖尿病の原因である可能性もあります。小さな子供にリンゴジュースを与えたり、リンゴをすったものを食べさせたりすることは珍しいことではありません。それが頻繁に、そして大量であれば、小さな子供の体の中にApoCⅢが非常に増加してしまいます。そこに何らかの因子が加わってさらに炎症が起こり、ApoCⅢによるβ細胞死と炎症や自己抗体産生による更なる細胞死が1型糖尿病発症をもたらすのではないでしょうか?それとも私の妄想でしょうか?
もしそうだとすると、1型と2型糖尿病を完全に区別することは難しくなります。自己抗体の存在の有無があるでしょうが、この自己抗体が攻撃していることだけでβ細胞が壊れているのではないのかもしれません。ApoCⅢの作用の方がメインかもしれません。
いずれにしても、ApoCⅢを大きく増加させる糖質過剰摂取、果糖過剰摂取は避けるべきでしょう。
そういえば、新型コロナウイルスのワクチン接種後の1型糖尿病発症の報告もたくさん出ていますね。(ここ、ここ、ここ、ここ、ここ、ここ、ここ参照)なぜか日本の報告が非常に多いですね。
「Apolipoprotein CIII Is an Important Piece in the Type-1 Diabetes Jigsaw Puzzle」
「アポリポタンパク質 CIII は、1型糖尿病のジグソー パズルの重要なピース」(原文はここ)