以前の記事「糖質入り飲料を飲んでいると脱毛してしまうかも」では、糖質摂取による脱毛の可能性について書きました。男性型脱毛症のメカニズムに関して書いてみたいと思います。
男性型脱毛症は恐らく多因子性でしょう。その中でも糖質過剰摂取による高血糖、インスリン抵抗性は大きな原因の一つだと考えます。糖質過剰摂取がホルモンを乱すでしょう。ホルモン以外にも大きな影響があります。
糖質過剰摂取をしていると、高血糖になり、それによりエネルギーを作る代謝では解糖系が促進されます。解糖系が回ると、その途中の経路のポリオール経路が促進されます。「肥満・糖尿病の人はなぜ新型コロナに弱いのか 「糖質過剰」症候群II」でも書いたように、糖尿病ではブドウ糖の30%がポリオール回路に回ると言われています。おそらく糖質過剰摂取による高血糖でもそれに近いでしょう。ポリオール経路などの回路が促進されると酸化ストレスが増加し、解糖系が最後まで回りづらくなり、さらにポリオール経路が促進されてしまいます。
それにより外⽑根鞘ケラチノサイトはエネルギー不足になります。また、⾎糖値が⾼いと、ポリオール経路が促進され、活性酸素の⽣成も促進され、⽑包幹細胞やその他の組織の酸化的損傷につながります。
難しいことはわかりませんが、毛包は、独自の複雑な微小環境を持つ器官です。毛包は非常に活発な器官であるため、酸素と栄養素が十分に供給される特別な微小環境が必要です 。高血糖による血管障害によって引き起こされる酸素と栄養の供給の慢性的な減少や酸化ストレスは、毛包の損傷を引き起こし、その結果、薄毛、毛の脆弱性や成長速度の低下などの変化を引き起こす可能性があります。
メタボとの関連は認められていますが、全身的なインスリン抵抗性との関連はそれほど強くありません。しかし、局所のインスリン抵抗性が関与している可能性は十分にあるでしょう。
興味深いことにインドの研究では、2型糖尿病の4分の1以上で膝の下の脱毛を示していました。(ここ参照)毛にとって高インスリン血症や高血糖は非常に有害なのでしょう。
さらに、面白い仮説があります。糖質過剰摂取ではマグネシウムの排出が増加し、体内のマグネシウム欠乏が起きていることが多いと考えます。そのマグネシウム不足はインスリン感受性の低下や軽度の炎症を起こす可能性があります。
そして、マグネシウムは筋肉の緊張とも関連しています。男性型脱毛症の表現型の特徴は、頭頂部や前頭部の脱毛です。でもなんで側頭部や後頭部の髪の毛が残って、頭頂部や前頭部が禿げるか、疑問に思ったことはありませんか?人間の頭の髪の毛の生えている頭頂部や前頭部には筋肉がありません。帽状腱膜(ガレア腱膜)という膜です。(下の図はここより)
男性型脱毛症の影響を受けやすい頭皮の真皮は、帽状腱膜と強固に結合しているため、前頭筋、側頭筋、⽿介周囲および後頭筋の緊張は、帽状腱膜の頭⽪領域に物理的な負担をかけます。(ここ参照)後頭筋へのボトックス(筋肉を緩める薬)の注射は、脱毛を緩和または逆転させるようです。マグネシウム⽋乏症は、慢性的な筋⾁の緊張と関連しているので、頭の筋肉も緊張するでしょう。
糖質制限をし、マグネシウムをしっかり摂取すれば、脱毛が防げたり、改善する可能性はあるでしょう。
「The ‘bald’ phenotype (androgenetic alopecia) is caused by the high glycaemic, high cholesterol and low mineral ‘western diet’」
「「ハゲ」表現型 (アンドロゲン性脱毛症) は、高血糖、高コレステロール、低ミネラルの「西洋式食事」によって引き起こされる」(原文はここ)
糖質制限は勿論、ルイボス茶常飲で
マグネシウム補給。
遺伝もあるのかもですが
56歳、白髪少々も、毛料不安無し。
です。