酸化HDLおよび酸化LDLと糖質過剰症候群

糖尿病や糖質過剰摂取では酸化ストレスが増加します。そして、それにより血中の脂質であるHDL、LDLも酸化します。

10代の若者でも肥満や糖尿病に伴う酸化HDLや酸化LDLは増加しているのでしょうか?

今回の研究では11~18歳の男女(標準体重37人、肥満38人、2型糖尿病42人)を対象としています。

参加者の特徴は以下のようです。(図は原文より、表は原文より改変)

標準体重
(N = 37)
肥満
(N = 38)
2型糖尿病
(N = 42)
女性/男性の数 17/20 17/21 27/15
年齢 14.6 ± 1.7 14.8 ± 1.6 15.6 ± 2.0
BMI 19.7 ± 1.4 33.2 ± 5.6 39.4 ± 9.4
総体脂肪、% 25.6 ± 8.2 44.9 ± 6.7 47.6 ± 7.0
体幹脂肪、kg 5.3 ± 2.1 22.2 ± 8.3 28.4 ± 11.3
収縮期血圧、mmHg 109 ± 6 118 ± 8 118 ± 13
拡張期血圧、mmHg 58 ± 4 60 ± 7 62 ± 8
標準体重 肥満 2型糖尿病
血糖値、mg/dl (mmol/L) 84 ± 6 85 ± 6 130 ± 50
インスリン、μlU/ml 7.2 ± 5.2 22.5 ± 12.8 37.4 ± 24.6
HOMA-IR、AU 1.5 ± 1.1 4.7 ± 2.7 11.6 ± 8.6
中性脂肪、mg/dl 71 ± 34 115 ± 56 122 ± 52
総コレステロール、mg/dl 155 ± 29 184 ± 77 157 ± 30
CRP、mg/l 0.5 ± 0.7 4.4 ± 5.8 6.0 ± 6.3
ミエロペルオキシダーゼ(酸化ストレスの指標)、ng/ml 59 ± 53 80 ± 70 111 ± 105

当然、正常の体重に比べて、肥満や糖尿病ではインスリン値やHOMA-IRが高く、中性脂肪値も高くなっていました。炎症のCRP、酸化ストレスのミエロペルオキシダーゼも同様です。

写真やイラストなどを保持する外部ファイル。オブジェクト名は nihms-1839824-f0001.jpg

上の図はNW(標準体重)、Ob(肥満)、T2DM(2型糖尿病)のHDLおよびLDLについてです。標準体重ですら、糖質過剰摂取なのでHDLは低めです。しかし、それにもまして肥満や糖尿病ではHDLが低下しています。LDLは肥満の男性のみ増加していました。酸化HDLは糖尿病で増加しており、男性でより顕著でした。酸化LDLは肥満でも糖尿病でも増加していました。HDLおよびLDLに対しての酸化HDL、酸化LDLは糖尿病で増加していました。

 

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上の図は酸化LDLと酸化HDLの関係、除脂肪体重と酸化HDLの関連です。酸化HDLは酸化LDLや除脂肪体重と関連があり、その他にも体幹除脂肪体重、体重 、脂肪量、BMIとも関連がありました。ただ、上のグラフを見てわかるように、糖尿病では遥か高い酸化HDLを示す人が多くいました。筋肉が多い方が酸化HDLが多い可能性があるというのもちょっと不思議ですが。

 

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酸化LDLはApoB、中性脂肪、HOMA-IR、体幹脂肪、LDLコレステロール、血糖値、体重、脂肪量、インスリン、BMIと関連がありました。

10代の若者でさえ、糖質過剰摂取による酸化ストレスに晒されています。彼らはすぐに病気を発症するわけではないかもしれませんが、この状態が積もり積もって比較的早い年齢で何らかの糖質過剰症候群の症状が出るでしょう。

HDLコレステロールが高いことは良く、LDLコレステロールが高いことを問題視する人が多いでしょうが、コレステロールに良いも悪いもありません。コレステロールはコレステロールで重要なものです。それを運ぶHDLやLDLの質が問題です。酸化ももちろんですが、糖化も非常に有害です。糖化HDL、糖化LDLが機能障害を起こして様々な有害なことが起きていると考えられます。

糖質過剰摂取では酸化も糖化も非常に促進されます。まずは若いうちからの糖質制限が基本です。

「Oxidized HDL and LDL in adolescents with type 2 diabetes compared to normal weight and obese peers」

「2型糖尿病の青年における酸化HDLおよび酸化LDLの正常体重および肥満との比較」(原文はここ

2 thoughts on “酸化HDLおよび酸化LDLと糖質過剰症候群

  1. 大谷翔平さんのインタビュー記事でも、
    「甘いものは好きだけど我慢している」
    とありました。

    スポーツ選手なので炭水化物も摂るのでしょうが、
    あのバイタリティーとスタミナの要因には
    糖質制限的な食生活もあるのではないでしょうか?

    村上宗隆選手は若いにも関わらず肥満気味の為
    メジャー球団からは低評価、とのこと。

  2. 清水先生、こんばんは。
    コレステロールは奥が深いです。今回の記事では酸化がキーワードですが、酸化ストレスについて今一つよくわかっていません。糖尿病ではなぜ酸化ストレスが問題になるかなど、先生のこれまでの記事を読み直そうと思います。

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