スタチンはLDLコレステロールを低下させます。LDLコレステロールの増加が心血管疾患の原因だと思い込まされている人が医師を含めて多いので、LDLコレステロール値を多くの人が気にします。
現在の医療の世界ではコレステロールが高い方が長生きであることは無視されます。医師は数字合わせが好きなので、LDLコレステロールが下がれば満足です。もちろん、LDLコレステロールが下がっても心血管疾患を発症、悪化させることはあるのですが、医師はその責任は取りません。
心血管疾患の原因はLDLコレステロールであるというのは様々な研究で否定的です。私はその原因は糖質過剰摂取であると考えています。
以前の記事「比較的若い女性の冠動脈性疾患のリスクはインスリン抵抗性で6倍、糖尿病で10倍」で書いたように、心血管疾患の代表である冠動脈疾患では、比較的若い女性では、インスリン抵抗性で6倍、糖尿病で10倍ものリスク増加があります。LDLコレステロールではたった1.38倍と比べものになりません。中性脂肪2.14倍、メタボリックシンドロームでは6.09倍、肥満は4.33倍、高血圧は4.58倍と糖質過剰症候群のオンパレードです。
逆に考えると、スタチンがインスリン抵抗性や血糖コントロールを悪化させるのであれば、何のために薬を飲んでいるのかわかりません。
以前の記事「スタチンの使用は、はっきりとした糖尿病発症のリスク増加がある!」「スタチンは糖尿病を進行させる」などで書いたように、スタチンは糖尿病発症やその進行のリスク増加があります。
今回の研究は、67件の研究のメタアナリシスです。この研究は合計25,481人平均年齢は57歳が対象となっています。(図は原文より)
上の図はHbA1cとインスリン抵抗性を表すHOMA-IRのプラセボと比較したスタチンの平均差を示しています。白いのはもともとは血糖コントロールが正常な群です。黒色はすでに血糖コントロールが悪くなっている群です。
スタチン全体では、血糖コントロールが悪くなっている人では、スタチンはプラセボ群と比較して、HbA1cで0.21、HOMA-IRで0.31増加させました。血糖コントロールが正常な人では、スタチンはHbA1cで1.33、HOMA-IRで0.49を増加させました。つまり、もともと血糖コントロールが正常な人ほどその有害性が強く、糖尿病が誘発されるリスクが高くなります。
スタチンの糖尿病誘発作用のメカニズムの1つは、恐らくユビキノン(CoQ10)合成の阻害でしょう。CoQ10の合成阻害によりミトコンドリアの酸化ストレスを誘発し、β 細胞のアポトーシスを引き起こすと考えられます。(ここ参照)
先日、外来患者さんでスタチンを飲み始めて糖尿病を発症された方がいました。「スタチンの副作用かもしれませんね?」と言ったところ驚いていました。
恐らく、スタチンを飲んでいるほとんどの人は、スタチンで糖尿病が誘発されるリスクがあることを知らされていません。患者はスタチンを飲めば心血管疾患を回避できると信じて飲んでいるでしょう。しかし、LDLコレステロールよりも大きくリスクを増加させる血糖コントロールを悪化させてしまい、心血管疾患のリスクに晒されているかもしれないことは知らないでしょう。製薬会社と一部の医師が作り上げたエビデンスやガイドラインの影響は非常に強く、疑う人は非常に少ないでしょう。
糖質制限をすると、LDLコレステロールが上昇することはよくあります。そのことで、医師からは脅されます。しかし、LDLコレステロール値以外の検査値はどんな治療よりも大きく改善します。薬などの治療では絶対の達成できない改善を食事を変えただけで達成できるのです。
まずは糖質制限をしっかりして、心血管疾患のリスクを低下させましょう。
「Effects of statin therapy on glycemic control and insulin resistance: A systematic review and meta-analysis」
「血糖コントロールとインスリン抵抗性に対するスタチン療法の効果:系統的レビューとメタ分析」(原文はここ)
昨年の11月中旬に脳梗塞で救急搬送され右脳の血栓を回収してもらいました。
その後石灰化したプラークで狭窄していた左右の頸動脈にステントを入れ、入院中に胸の違和感があり、冠動脈三枝にも一箇所づつステントを入れました。
脳神経外科では処方されなかったのですが心臓血管外科ではエゼチミブとアドルバスタチンを処方されました。
はじめアドルバスタチン10mgだったものが、LDLコレステロール90mgに下がった時点でまだ足りないと20mgに増やして服用中です。
左手は脳梗塞後からしっかり握れませんがスタチン服用から3ヶ月くらいから右肩の筋肉にも痛みを感じます。
循環器はLDLを怖い位目の敵にするみたいですね。 私は以前LDLが200を超えていた時がありましたが、レパーサというのがあると言われました。調べたら注射で下げるらしく、結構強力そうでした。他科の先生に聞いたら「そこまでしなくても」とおっしゃってました。科によってLDLに対してかなり温度差があるようです。物忘れ外来も「何で下げないの」 っていう反応でした。色々調べて考えて自分で選びたいと私は思っています。
ミンミンさん、コメントありがとうございます。
レパーサ?スタチン医者よりも悪いかもしれないですね。
以前の記事「LDLコレステロールは低いほど良い?」で書いたように、
元々の試験は利益相反バリバリの試験で、LDL-C値が59%低下、主要評価項目が15%改善と言われています。
じかしこれは相対的な数値で絶対的には1.5%の差しかありません。そして、NNTは74です。
心血管系の死亡、心筋梗塞、または脳卒中を1人予防するために、74人の患者を2年間にわたって治療する必要があるのです。
さらに、この試験は滅茶苦茶で、再分析するとエボロクマブ(レパーサ)群の心不全による死亡は、プラセボ群のほぼ2倍。
心臓死と血管死を別々にカウントすると、心臓死はプラセボ群88人、エボロクマブ群113人とレパーサの方が多く死んでいるのです。
非常に高い薬で、その医師は何か見返りでもあるのでしょうか?それとも無知?
そうでなければこんな薬使わないでしょう。