認知症の多くは糖質過剰症候群です。アルツハイマー病は3型糖尿病と言われています。
今回の研究では、ベースライン時45~64歳で認知症のない7,148人を対象に、ベースラインとその6年後の認知機能を分析しました。
どのレベルのインスリン抵抗性が認知機能低下または認知症のリスクと関連しているかは不明です。したがって、今回は初診時に空腹時インスリンを測定したすべての人に基づいて、75パーセンタイル以上を高インスリン血症と定義しました。75パーセンタイルは、空腹時インスリンについては14.0mU/l、HOMA については3.9でした。また、空腹時インスリン>12.2mU/lおよびHOMA>2.6でも分けました。
認知テストには、DWRテスト、DSSテスト、WFテストが行われました。DWRは、言語学習と最近の記憶のテストです。DSSスコアは、90秒の制限時間内に正しく描画されたシンボルの数です。DSSによって評価される認知機能と精神運動能力の構成要素には、反応速度、持続的な注意、視覚空間スキル、連合学習、および記憶が含まれます。WFテストは、特定の文字で始まる単語を検索する際の精神的な敏捷性を測定します。WFテストは、脳の前頭葉の損傷に特に敏感です。(表は原文より改変)
高インスリン血症あり | 高インスリン血症なし | |
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空腹時インスリン (カットオフ 75 パーセンタイル) | ||
ベースライン DWR | 6.58±1.42 | 6.83±1.42 |
DWR変化スコア | −0.254±1.53 | −0.129±1.54 |
ベースライン DSS | 43.0±13.7 | 47.9±13.1 |
DSS変化スコア | −2.74±7.30 | −2.51±6.85 |
ベースライン WF | 32.5±12.3 | 35.1±12.1 |
WF変化スコア | −1.19±7.86 | −0.532 ± 7.92 |
空腹時インスリン (カットオフ 12.2 mU/l) | ||
ベースライン DWR | 6.59±1.40 | 6.85±1.43 |
DWR変化スコア | −0.205±1.57 | −0.134 ± 1.55 |
ベースライン DSS | 43.7±13.7 | 48.1±13.1 |
DSS変化スコア | −2.66±7.14 | −2.51±6.86 |
ベースライン WF | 32.7±12.2 | 35.3±12.1 |
WF変化スコア | −1.035±7.83 | −0.520 ± 7.94 |
HOMA (カットオフ 75 パーセンタイル) | ||
ベースライン DWR | 6.56±1.41 | 6.82±1.43 |
DWR変化スコア | −0.277 ± 1.52 | −0.128±1.54 |
ベースライン DSS | 42.8±13.8 | 47.8±13.2 |
DSS変化スコア | −2.74±7.26 | −2.51±6.87 |
ベースライン WF | 32.3±12.4 | 35.0±12.1 |
WF変化スコア | −1.08±7.84 | −0.570 ± 7.93 |
HOMA (カットオフ 2.6) | ||
ベースライン DWR | 6.64±1.41 | 6.86±1.43 |
DWR変化スコア | −0.211±1.54 | −0.120±1.54 |
ベースライン DSS | 44.4±13.7 | 48.4±13.0 |
DSS変化スコア | −2.57±7.00 | −2.54±6.91 |
ベースライン WF | 33.1±12.1 | 35.5±12.2 |
WF変化スコア | −0.88±7.84 | −0.53±7.96 |
上の表のようにベースラインでは空腹時インスリンおよびインスリン抵抗性を表すHOMAにおいて、75パーセンタイルでも12.2mU/lおよび2.6のカットオフ値でも、ほとんどどれも高インスリン血症、インスリン抵抗性が高い方がスコアが低くなっていました。さらに6年後の変化スコアでも多くの認知機能評価テストで高インスリン血症、インスリン抵抗性がある方が大幅にスコアを低下させました。つまり認知機能の低下が認められました。
空腹時のインスリンの増加、インスリン抵抗性の増加は認知機能を低下させるのです。これらはすべて糖質過剰摂取で起こります。
世界的に認知症が問題になっていますが、ほとんど効果のない薬の処方の前にまずは糖質制限です。認知症はすぐに起きるわけではありません20年ほどで発症することを考えれば、40歳を過ぎたら糖質制限を始めるべきです。もちろんもっと早くやった方が良いです。
多くの人は認知症になることを気にするのに、糖質過剰摂取を続けています。本気で気にするのであれば糖質は摂らないでしょう。
「Hyperinsulinemia and cognitive decline in a middle-aged cohort」
「中年コホートにおける高インスリン血症と認知機能低下」(原文はここ)
私の実感、体験として糖質制限による記憶力の改善があります。
年齢と共に記憶力が悪くなったと言うことはいろんな方から聞きますし、自分もそうだと言う感覚がありました。ただ、ある時期を境に極端に記憶力(特に短期記憶)が悪くなり、例えば読書をしても前のページに書いてあった事が次のページを読んでるうちに忘れて読み返したりする頻度が増えて困っていました。
しかし、糖尿病の治療として糖質制限を始めたところ、嬉しいことに記憶力が若い頃、感覚的には20歳位くらい若返りました。体力(主に持久力)も改善しました。
脳も筋肉も糖エネルギーがうまく使えずにエネルギー不足だったところ、体が脂肪酸代謝に変わったため、エネルギー不足が解消したのではないかと思えます。
結局、糖エネルギーの利用効率は年齢と共に急激に衰えるのでしょう。長寿社会を最後まで健康に生きるには糖エネルギーでは無理があると実感しています。
西村典彦さん、コメントありがとうございます。
私も記憶力というだけでなく、頭の回転自体が良くなったように感じます。数値化はできませんが実感できます。
そういえば糖質制限をして、あくびすることさえ少なくなりました。脳のエネルギーが充実したのかもしれません。
スーパーに買い物行くと(コンビニとかでも同様ですが)レジ脇には必ずちょっと手に取って食べてみたくなるような
甘い菓子類がおいてあります。
企業がこぞって日本人認知症化を進めているようで、危険ですね。
鈴木 武彦さん、コメントありがとうございます。
食品産業、製薬会社、医療業界が手を組めば、様々なことができてしまうでしょうね。