がんは糖質過剰症候群であり、糖質はがんのエサです。糖尿病は糖質過剰摂取により高血糖、高インスリン血症を起こします。そうすると、糖尿病の薬ががんのリスクに影響を与える可能性は十分にあります。
今回の研究では4種類の糖尿病薬と血糖値と非常に関係の深いすい臓のがんのリスクとの関連のメタアナリシスです。糖尿病の薬はメトホルミン、スルホニル尿素、チアゾリジンジオン (TZD)、インスリンです。
11件の観察研究のメタアナリシスでは、メトホルミンとTZDではすい臓がんに対して有意な予防効果も有害効果も示されませんでした。(図は原文より)
上の図はスルホニル尿素剤使用によるすい臓がんの可能性です。スルホニル尿素を使うと1.79倍すい臓がんの発生が高くなるようです。
まあ、今どきスルホニル尿素剤を使用している人はあまりいないでしょうから。
上の図はインスリンについてです。さすがインスリン。すい臓がんの可能性は2.85倍です。
過剰なインスリンはがん細胞の発生や増殖を促進します。
京都大学が2020年に発見した(人間ではありませんが)ことによると、細胞競合という現象が関係している可能性があるようです。
がんのもとになる異常細胞は、通常は周りの正常細胞と比べてタンパク質合成能力が劣っており、これにより細胞競合が起こって正常細胞により除去されますが、高インスリン血症の状態では異常細胞のタンパク質合成能力が正常細胞よりも高くなり、正常細胞によって排除されなくなって腫瘍化するそうです。インスリン注射もインスリン分泌を増やすスルホニル尿素剤もすい臓がんのリスクを増やすわけですね。
しかし、メトホルミンを加えると、細胞競合が復活して異常細胞が排除され、がん化が起こらなくなったそうです。メトホルミンにはタンパク質合成能力を抑える働きもあり、メトホルミンが細胞競合を促すことでがんリスクを低下させている可能性があると考えられます。
でも、一番は食事で過剰なインスリン分泌を促さないことです。それには糖質制限です。糖尿病と診断されたり、空腹時や食後の高血糖がわかったらすぐに糖質制限です。もちろん、その前から糖質制限が望ましいです。
「Hypoglycemic agents and incidence of pancreatic cancer in diabetic patients: a meta-analysis」
「血糖降下薬と糖尿病患者における膵臓がんの発生率:メタ分析」(原文はここ)
一見、癌を選ぶか糖尿病がマシか
の問題ですが、
服薬で糖尿病完治もあり得ない
事を考えれば、やはり
糖質制限一択ですね。