過体重および肥満の代謝機能不全関連脂肪性肝疾患(MASLD)に対する糖質制限の影響

以前の記事「非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の病名が変わるけど…」で、非アルコール性脂肪肝疾患の病名が代謝異常関連脂肪性肝疾患(MASLD)に変わることを書きました。そして、当然原因は糖質過剰摂取なので、糖質制限が治療となります。

今回の研究では超低カロリーケトン食 (VLCKD)による改善効果を調べています。超低カロリーというのが引っ掛かりますが。

対象は、18~64歳(平均年齢は42.14歳)で、BMI25以上(平均35.59)、アルコール摂取量が多くない人87人です。

食事は1日の炭水化物摂取量が20~50gに設定され、1日のタンパク質摂取量は1~1.4g/kg理想体重に固定されました。推奨される1日の脂質摂取量は15〜30gでした。また、1日あたり最低2リットルの水が推奨され、毎日800キロカロリー未満のカロリーを摂取するよう指示されました。ケトン食の期間は8週間です。

肝脂肪の量はフィブロスキャンというものを使い、Controlled Attenuation Parameter(CAP)というものを測定して行われました。CAPが215~250dB/mの場合には軽度のMASLDが存在し、CAPが302dB/mより高い場合には重度の脂肪変性が存在すると考えられます。
この研究の主な目的は肝臓の脂肪だけでなく、炎症パラメーターとしての白血球数および血小板数、 hs-PCRレベルの変化に対する 8 週間のVLCKDの効果を見ることです。(表は原文より改変)
VLCKD以前VLCKD後
BMI (kg/m 2 )35.59 (6.31)32.59 (6.06)
腹囲(cm)112.15 (16.17)103.98 (15.71)
収縮期血圧 (mmHg)131.63 (12.42)123.48 (9.00)
拡張期血圧 (mmHg)83.62 (9.16)76.89 (7.22)
空腹時血糖(mg/dL)96.10 (13.12)88.78 (10.05)
インスリン (μU/mL)16.94 (10.78)10.25 (6.12)
HOMA インデックス4.10 (3.04)2.28 (1.47)
HbA1c (%)5.49 (0.52)5.27 (0.44)
中性脂肪 (mg/dL)112.10 (54.79)89.34 (37.54)
総コレステロール (mg/dL)196.34 (49.57)168.80 (40.40)
HDL コレステロール (mg/dL)52.49 (13.82)46.77 (11.94)
LDLコレステロール(mg/dL)134.24 (35.51)113.73 (28.47)
25-OH-ビタミンD (ng/mL)19.78 (6.05)25.02 (7.11)
AST (U/L)22.33 (10.63)20.43 (8.71)
ALT(U/L)31.07 (23.71)25.80 (21.07)
γ-GT(U/L)25.31 (16.16)16.84 (8.69)
CAP (db/m)287 (255; 325)230 (188; 278)
CAP カテゴリ
<215db/m10 (11%)33 (38%)
≥215db/m77 (89%)54 (62%)
体脂肪量(kg)40.17 (13.14)33.41 (11.91)
除脂肪体重 (kg)58.80 (13.27)56.76 (13.08)
hs-CRP0.42 (0.36)0.40 (0.34)
白血球数(10 3 /μL)6.72 (1.37)5.98 (1.36)
血小板 (10 3 /μL)269.72 (54.25)244.91 (58.32)

上の表は8週間のVLCKD前後のパラメータの変化を示しています。肝臓のCAPは、VLCKD後に低下しました。脂肪症(CAP > 215 db/m)を有する割合は、VLCKD前では89%でしたが、VLCKD後では62%となり、線維症(肝硬さ> 8.2kPA)を有する割合は68.75 %いたのが、VLCKD後では31.25%に減少しました。

また、ALTとγGTは低下しました。

BMI、腹囲、脂肪量、除脂肪量、収縮期血圧および拡張期血圧、インスリン抵抗性、空腹時血糖、インスリン、HbA1c、中性脂肪、総コレステロール、LDL コレステロール、HDL コレステロールはすべて減少しました。ん?HDLコレステロールも減少?これは超低カロリーの弊害ですね。脂質摂取量が大きく減少したからかもしれません。

VLCKD後、白血球数と血小板数は大幅に減少しました。しかし、hs-CRPは大きな変化はありませんでした。なぜかはよくわかりません。8週間のVLCKD後の血小板数と白血球数の減少は、CAP>215dB/mの人で統計的に有意でしたが、肝臓の脂肪変性のない人(CAP<215dB/m)では、白血球数および血小板数の有意な減少を示しませんでした。興味深いことに、VLCKD後の白血球数と血小板数の減少は、高齢の人の方が低くなりました。これもなんででしょう?やはり高齢になると改善するのにも時間がかかるのでしょうか?

さらに興味深いことに、VLCKD後は、ビタミンDの血中濃度が高くなりました。ということは血中のビタミンDが低いことは摂取不足というよりは、糖質過剰摂取の影響かもしれません。これについては次回以降で。

いずれにしても脂肪肝には糖質制限です。

 

「Effects of an Eight Week Very Low-Calorie Ketogenic Diet (VLCKD) on White Blood Cell and Platelet Counts in Relation to Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease (MASLD) in Subjects with Overweight and Obesity」

「過体重および肥満の被験者における代謝機能不全関連脂肪性肝疾患(MASLD)に関連した、白血球および血小板数に対する8週間の超低カロリーケトジェニックダイエット(VLCKD)の影響」(原文はここ

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