尿路結石と糖質過剰症候群の関連の記事「その1」の続きです。
尿路結石は、メタボリックシンドロームと関連しています。5つの研究のメタアナリシスでは、メタボリックシンドロームがあると尿路結石の可能性は1.39倍でした。(ここ参照)
メタボの構成要素別の研究を見てみましょう。今回の研究では、3,793人、平均年齢は46.49歳の人が対象です。腎臓結石の有病率は16.8%(639人)でした。(表は原文より改変)
特徴 | OR |
---|---|
非メタボ | 1.000 |
メタボリックシンドローム | 1.736 |
メタボ構成要素の数 | |
0 | 1.000 |
1 | 1.520 |
2 | 1.989 |
3 | 2.267 |
4 | 2.930 |
5 | 2.986 |
性別 | |
女性 | 1.000 |
男 | 1.848 |
腹囲(cm) | |
正常 | 1.000 |
増加 | 1.541 |
血圧 (mmHg) | |
正常 | 1.000 |
上昇 | 1.825 |
HDLコレステロール (mg/dL) | |
正常 | 1.000 |
低下 | 1.222 |
中性脂肪 (mg/dL) | |
正常 | 1.000 |
増加 | 1.373 |
空腹時血糖値 (mg/dL) | |
正常 | 1.000 |
増加 | 1.701 |
上の表のように、メタボがあると腎臓結石の可能性は1.736倍であり、メタボの構成要素が多いほどリスクは高くなり、メタボ構成要素が4~5個になると3倍近くなってしまいます。
女性よりも男性が1.84倍高く、構成要素はどれもリスク増加になりそうです。
それにしても、糖質過剰摂取で尿路結石のリスクは高くなり、糖質過剰摂取が原因の大きな一つだと思っていますが、炎症や酸化ストレスだけではしっくりきません。何かまだピースが足りていない感じです。
尿路結石で最も多いのはシュウ酸カルシウム石です。血管の石灰化、骨粗しょう症などカルシウムが絡む疾患が多いのは、恐らく同じ要因がカルシウムの代謝を狂わせているのでしょう。おしっこにシュウ酸やカルシウムが多く出るからと言って、それが石になるには他の要因が必要でしょう。
次回以降では他の要因について書きたいと思います。
「The association of nephrolithiasis with metabolic syndrome and its components: a cross-sectional analysis」
「腎結石とメタボリックシンドロームおよびその構成要素との関連性: 横断分析」(原文はここ)