LDLコレステロールの減少の程度と全原因死亡率および心血管疾患のショボい結果

LDLコレステロールが高いことを執拗に指摘し、スタチンを処方しようとする医師は多いでしょう。専門家たちはあたかも医学的な根拠があってやっていると思い込んでいます。エビデンスレベルで言えばメタアナリシスやシステマティックレビューは最上級のエビデンスです(本当はウソですが)。

今回の研究では、少なくとも52週間の追跡調査で、心血管疾患の既往歴の有無にかかわらず、成人における脂質修正薬(スタチン、エゼチミブ、PCSK-9阻害剤)とプラセボ、標準治療、または集中的LDLコレステロール低下療法と非集中的LDL-C低下療法を比較した、323,950人を含む60件のランダム化比較試験のメタアナリシス(およびシステマティックレビュー)を行っています。(図は原文より)

まずは一目瞭然、上の図を見てみましょう。横軸はLDLコレステロールの減少率です。縦軸は死亡率です。LDLコレステロール減少率がどれほど高くなっても、死亡率はほぼ横ばいです。LDLコレステロールが下がれば下がるほど、死亡率が下がる証拠はありません。

上の図はLDLコレステロールの低下率によって分類された全原因死亡リスクのメタアナリシスです。より強力な LDLコレステロール低下療法とそれほど強力ではないLDLコレステロール低下療法で絶対リスクの差はほんのわずかです(有意差はありますが)。

LDLコレステロールが30%未満低下した試験と30%~49%低下した試験では全原因死亡率の絶対リスクと相対リスクの両方が減少しましたが、LDLコレステロール値が50%以上低下した試験ではリスク減少は有意ではありませんでした。おかしいですね、50%以上低下しているのにリスク減少はなく、それよりも低下率が低い方でリスク減少が起きるなんて。

そして、上の図の真ん中の縦線が基準で、それよりも左側に寄っているときにLDLコレステロール低下が死亡率を低下させることを意味しているのですが、ほとんどの試験で横の線が真ん中の縦線を跨いでいます。跨ぐということは有意ではないことを意味します。上の図には58の試験がありますが、そのうち左側に寄っているのは10の試験のみで、後の48試験は跨いでいます。製薬会社がスポンサーである研究がほとんどであるにもかかわらず、およそ83%で死亡率を低下させることに有意な差が出ていないのです。

さらに1年間の治療必要数(NNT)を見てみましょう。NNTは一人の疾患やイベントを起こす人を減らすために、何人に治療しなければならないかを示しています。NNTが100であれば100人治療して1人だけ助かることになります。

全原因死亡のNNTは754でした。一人の死亡者を減らすために754人の治療が必要です。753人は治療してもしなくても違いがないことになります。これを知っていて、LDLコレステロール低下の恩恵にあずかれると思う人はいるでしょうか?

心血管疾患による死亡のNNTは1028、心筋梗塞の発症のNNTは363、脳卒中の発症のNNTは907です。様々な条件で分類しても、NNTが100以下となるものはありませんでした。あなたは数百人~1000人のうちの幸運な1人になれる自信はありますか?

これほどショボい効果しかないのに、必死でLDLコレステロールを低下させようとする医師は何を考えているのでしょうか?この程度の改善でエビデンスがあると自信を持って言えるのでしょうか?

心血管疾患は糖質過剰症候群です。まずは糖質制限です。

「Extent of Low-density Lipoprotein Cholesterol Reduction and All-cause and Cardiovascular Mortality Benefit: A Systematic Review and Meta-analysis」

「LDLコレステロールの減少の程度と全原因死亡率および心血管疾患死亡率の改善:システマティックレビューとメタアナリシス」(原文はここ

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