むずむず脚症候群は糖質過剰症候群 その1

私はむずむず脚症候群は糖質過剰症候群だと考えています。

まずは糖質過剰症候群の代表疾患、2型糖尿病とむずむず脚症候群との関連について見ていきましょう。

ある研究(ここ参照)では、18~80歳で、2型糖尿病の診断から最低5年が経過している患者318人を対象として、むずむず脚症候群の有無を調べました。

2型糖尿病患者におけるむずむず脚症候群の有病率は28.3%であることが判明した。恐らく一般のむずむず脚症候群有病率は3%前後なので、糖尿病のむずむず脚症候群はおよそ10倍近いことになります。女性の有病率は33.3%、男性は20.6%で、女性の方が多いようです。39人(43.3%)の患者にむずむず脚症候群の家族歴があったので、遺伝的な要素もありそうです。。むずむず脚症候群のある患者の糖尿病の平均持続期間は15.6年であったのに対し、むずむず脚症候群のない患者では糖尿病は13.7年で、糖尿病歴が長い方がむずむず脚症候群のリスクは高くなるようです。さらに、むずむず脚症候群と診断された患者のうち68人(75.6%)がインスリン治療を受けていました。 インスリンも大きく関連してそうです。

別の研究(ここ参照)を見てみましょう。以前の記事「むずむず脚症候群では糖質制限を」でも取り上げた研究です。対象は糖尿病の外来患者124人と、他の内分泌疾患の診断を受けた対照群87人です。

2型糖尿病患者22人(17.7%)と対照群5人(5.5%)(うち3名は下垂体疾患、2名は副腎疾患)がむずむず脚症候群に罹患していると診断されました。対照と比較して、2型糖尿病のむずむず脚症候群発症の可能性は、4.31倍で、多発神経障害を考慮すると4.65倍でした。

むずむず脚症候群に罹患した糖尿病患者と非糖尿病対照の代謝パラメータは、ヘモグロビンやフェリチン、ビタミンB12などどれも有意な差はありませんでした。さらに糖尿病患者の中でむずむず脚症候群ありの人とない人の間でも、HbA1cやフェリチンなどの差がありませんでした。しかし、糖尿病性末梢神経障害がある場合では、むずむず脚症候群の発症の可能性は7.88倍でした。

次はメタアナリシスです。(ここ参照)むずむず脚症候群の有病率を分析するために30件の研究のメタアナリシスを行いました。

その結果、糖尿病患者の25%がむずむず脚症候群の兆候を示し、糖尿病のない人と比較してむずむず脚症候群を発症する可能性は1.98倍でした。

別の研究(ここ参照)では、むずむず脚症候群における経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を評価しています。正常空腹時血糖値のむずむず脚症候群患者132人と対照群128人を比較しています。(図はこの論文より)

上の図は、OGTTの2時間値によって、むずむず脚症候群と対照群で、糖代謝異常の割合を示したものです。斜線のバーがむずむず脚症候群で、ドットのバーが対照です。NGMは正常の耐糖能で、IGTは耐糖能障害、NDDMは新たな糖尿病と診断されたものです。正常耐糖能は明らかに対照群で多く、逆に耐糖能障害と新たな糖尿病診断はむずむず脚症候群で多くなっていました。むずむず脚症候群のおよそ60%は糖代謝異常を示しました。

次の研究(ここ参照)はむずむず脚症候群とインスリン抵抗性との関連の研究です。インスリン抵抗性のマーカーであるTyGインデックスを使用して分析したところ、むずむず脚症候群患者では対照群と比較して、中性脂肪値、BMI、TyGインデックスが有意に高く、TyGインデックスはむずむず脚症候群の重症度とも関連がありました。

さあ、これだけの研究で、むずむず脚症候群と糖質過剰症候群の関連を示しています。もちろん、遺伝的要素もあるようなので、多因子性だと思いますが、大きな原因は糖質過剰摂取でしょう。

では、そのメカニズムは?次回以降ではそのメカニズムについて見ていければと思います。

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