春の健康診断時の血液検査と比較すると、私のここ最近のウルトラマラソン直前の血液検査において、肝機能系の数値がちょっと上がっています。
2025 | 2024 | 2023 | (参考値)2025年4月の健康診断 | |
AST(GOT) | 41 | 18 | 20 | 16 |
ALT(GPT) | 73 | 25 | 38 | 15 |
γGT | 160 | 81 | 104 | 24 |
LDH | 168 | 152 | 144 | 161 |
ALP | 84 | 59 | 67 | 52 |
総ビリルビン | 0.8 | 1.0 | 0.9 | 1.0 |
アルブミン | 4.6 | 4.8 | 4.8 | 4.7 |
レース1週間前までの4週間の走行距離(km) | 330 | 304 | 266 | 160(検査前の4週間) |
特に今年は、これまでで一番数値が高くなっています。1か月の走行距離と相関があるのかないのか?標準的な肝機能検査は、肝臓の障害を評価するためのALT、AST、ALP、LDH、アルブミン、代謝機能を評価するためのビリルビン、そして場合によっては胆汁うっ滞性障害または胆管機能不全を評価するためのγGTなどで構成されます。ただし、測定される項目のほとんどが肝臓に限定されないので、肝臓機能の直接的な指標とは言えません。総合的な判断が必要です。
運動と肝機能障害については、次のような報告(ここ参照、表はここより改変)があります。この症例報告は39歳の男性で、2021年10月の定期検査で、肝機能検査値が正常範囲の1.4~2.3倍と判明しました。下の表は肝機能検査の推移です。患者は12年間にわたり、変動はありますが、肝機能検査値の軽度の上昇の病歴を示していました。
マーカー | 正常範囲 | 2010年6月 | 2013年6月 | 2021年10月 | 2022年3月 | 2022年3月 | 2022年5月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
AST(IU/L) | 0-44 | 44* | 42 | 22 | 96* | 101* | 47* |
ALT(IU/L) | 0-40 | 45* | 30 | 17 | 49* | 59* | 28 |
ALP(IU/L) | 44-121 | 95 | 151* | 131* | 128* | 130* | 113 |
アルブミン(g/L) | 40~50 | 41 | 42 | 49.7 | 47 | 47 | 51* |
総ビリルビン(µmol/L) | 0.0~20.5 | 20 | 21* | 19.3 | 13.7 | 8.6 | 18.8 |
γGT(IU/L) | 0~65 | 53 | 104* | 68* | – | 90* | 60 |
2022年3月時点が最も高くなっています。患者は無症状で、肝疾患の既往歴および家族歴はなく、飲酒、喫煙、嗜好用薬物の使用歴はなく、最近ウイルス感染症に罹患したこともありませんでした。体調は良好で、定期的にランニング(週30~40km)と標準的な筋力トレーニングを行っていました。
経過観察評価の前に、患者は7日間の運動トレーニングを自主的に控えました。2022年5月の再評価では、以前に上昇していたALT、AST、ALP、γGTを含むすべての肝機能検査値がほぼ正常化していました。
トレーニングをしていない人が慣れていない激しい運動を行った場合、ASTやALTは筋肉にも含まれているので、筋肉の損傷によって高トランスアミナーゼ血症を来すことがあります。この場合は通常γGTの上昇は伴いません。つまり、肝機能検査のいくつかの数値は上昇しますが、肝機能の問題ではありません。
γGTが高くなる原因は、肝・胆管系の問題がほとんどでしょう。
今回の症例は、生涯を通じてアスリートとして活動し、長時間のランニングと激しい筋力トレーニングに十分慣れている患者における高トランスアミナーゼ血症の症例です。
運動は肝機能に直接的な影響を与えることもあります。ハーフマラソンを走った後、正常範囲の上限を超えはいませんが、γGTはベースラインから急激に上昇しました。(ここ参照)激しい運動中の肝血流と酸素飽和度の低下は、肝細胞膜の透過性を高め、結果として肝酵素値を上昇させる可能性があります。しかし、このハーフマラソン後のγGT上昇は6時間後には減少していました。γGTは酸化ストレスの指標でもあるので、激しいマラソンによる酸化ストレスの増加で、一時的にっ増加したのかもしれません。
上の症例報告を見ると7日間の運動制限で検査値がほぼ正常化していることを考えると、運動誘発性であることは確かでしょう。それが、肝機能の問題なのか、筋肉の損傷なのか?答えはわかりません。
私のデータを見ると、4月や10月に行う検査では肝機能検査値の異常は認められません。しかし、1年間で最も多くの距離を走るサロマ湖ウルトラマラソンの直前の検査値では、ここ3年間は軽度の上昇を認めています。しかもASTよりもALTが高く、γGTも上昇。この症例報告とは違いそうですし、筋肉の損傷で数値が上がったのとも違いますね。脂肪肝のパターンですね。しかも今年のレース前の中性脂肪値はなんと3桁でした。持久系の運動をやり過ぎると肝臓に脂肪がたまりやすくなるのでしょうか?よくわかりませんが、レース後の肝機能検査、中性脂肪は正常化しています。もちろんたまたまだったかもしれませんが、この3年間のレース前の検査値の傾向は同じです。
昨年は漢方薬の副作用と思っていましたが、今年はその漢方を飲んでいないので、どうやら違いそうです。
いろいろ人間は不思議です。
どなたかわかる方がいれば、ぜひ教えてください。
ただ、今年のレース前には、その前の2年間とは違うことがありました。それは今年のレース前に何日にもわたり、非常においしいにんにくが家にあったので、それを大量に食べていました。もしかしたら、それが今年に関しては影響したのかもしれません。
大蒜、この年になると惹かれますよね(一緒にしてスミマセンが)。
ただ、匂いが難問です。