高齢者では治療で血圧が下がりすぎると急速な腎機能低下リスクが高くなる

高血圧は健康に有害であるという考えが医療の中では一般的です。でも、動脈硬化が進めば血圧は高くなるし、高い血圧がないと臓器の血流は維持できないと思います。

今回の研究では、65歳以上の高血圧患者6,083人を対象です。患者は第 2 回オーストラリア全国血圧 (ANBP2) 研究の参加者で、中央値4.1年間(試験中)追跡調査が行われました。その後さらに中央値6.9年間(試験後)追跡調査を受けました。

参加者をeGFRの年間変化率に基づいて、Q1はeGFRが最も低下した人、Q5はeGFRが最も上昇した人として、急速低下(Q1)、低下(Q2)、安定(Q3)、上昇(Q4)、急速上昇(Q5)と5つのグループに分けました。最終的に、今回の分析では 4940人を分析しています。

高血圧の高齢者4940人のうち、ベースライン時に28%が慢性腎臓病(eGFRが60未満)であり、研究終了時には34%が慢性腎臓病でした。全体として、参加者の77%はベースライン時と同様の腎機能レベルを維持し、8%は腎機能の状態が慢性腎臓病から慢性腎臓病なしに回復し、15%は慢性腎臓病なしから慢性腎臓病に進行した。ANBP2試験期間中、参加者の29%が収縮期血圧と拡張期血圧の両方で治療目標値<140/90 mmHgを達成しました。

eGFRが安定している群と比較して、eGFRの急速な低下と関連していた予測因子は次のとおりです。高齢(研究開始時に75歳以上)で1.14倍、農村地域に居住で1.29倍、脈圧が高いことで1.54~1.57倍、ベースラインでeGFRが高い、利尿薬ベースの治療を受けた、目標血圧(<140/90 mmHg)を達成している人で1.44倍、試験期間中に3つ以上の降圧薬を必要としている人で1.94倍、です。

特に注目は目標の140/90 mmHgという血圧を達成した方が腎機能が急速に低下してしまうことです。つまり、見た目の数値を整えるために、腎臓を犠牲にしているようなものです。

逆に、eGFRの急速な上昇は、年齢が若い人、女性、総コレステロールとHDLコレステロール値が高い人、ベースライン時のeGFRが低い人に見られました。総コレステロールとHDLコレステロール値が高い人は腎機能が回復しているんですね。コレステロールは高い方が良いし、HDLコレステロールが高いということはインスリン抵抗性が低いということが考えられます。糖質制限はHDLコレステロールを上昇させます。(図は原文より)

上の図は治療を受けた高血圧患者における、年間腎機能変化(急速な低下、安定、急速な上昇)に基づく全原因死亡率および心血管死亡率です。赤い点線の急速な低下は最もどちらの死亡率も高くなっています。

高血圧が有害だと考えて、収縮期血圧を140未満に下げること、それを達成するために複数の血圧の薬を使うことが、腎臓にとって有害になってしまい、死亡率も上げてしまっています。

そして、糖質過剰摂取を推奨し、インスリン抵抗性も無視して、薬だけを投与して、見た目を数値を整えて、健康になったと思わせているのです。酷い世界です。

高齢者ともなれば、現代ではてんこ盛りの薬が処方されています。血圧の薬も数種類同時に飲んでいることも珍しくありません。腎臓に影響を与える薬を複数飲んでいることもあります。(「内服薬の併用による腎臓へのトリプルパンチの大ダメージ「トリプルワーミー」」「急性腎障害をもたらすトリプルワーミー薬にプロトンポンプ阻害薬(PPI)を併用してクアドラプルワーミー」など参照)

高齢だから腎臓が弱ってくるのは当たり前のように説明されるかもしれません。しかし、多くの場合は医原性、生活習慣や食事の間違いによるものです。

まずは糖質制限をしっかりしましょう。慢性腎臓病も糖質過剰症候群です。

「Rate of change in renal function and mortality in elderly treated hypertensive patients」

「高齢高血圧治療患者における腎機能の変化率と死亡率」(原文はここ

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