「その1」「その2」の続きです。今回はミネラル系ではありません。糖尿病の薬、メトホルミンです。
今回の論文の、50代の著者の自分の経験です。左側の方がより顕著で激しく、突然両側に発生しました。耳垢除去後も耳鳴りは改善せず、ほぼ2か月間持続しました。朝の会議で普段より多くコーヒーを飲んだ後、耳鳴りの音が突然一時的に不快に増加したため、メトホルミンを試してみようと考えました。メトホルミンはこれまで数多くの神経疾患に効果があると示唆されており、複数の作用機序が報告されていることなどから、効きそうだと考えたのでしょう。
最初の1週間はメトホルミン500mgを1日1回服用し始めましたが、その間、耳鳴りが左側で一日の大半にわたって急速かつ大幅に軽減され、右側ではほぼ消失したことに気づきました。次の2週間は、耳鳴りを完全に解消し、軽度の肥満をより良く管理したいと考え、500mgを1日2回服用しましたが、さらに少し改善した後、最初の耳鳴りよりも低い音ではあるものの、耳鳴りが再発し、はっきりと気づいたため、500mgを1日1回に戻しました。すると、穏やかな耳鳴りの軽減が回復しました。
メトホルミンの使用によって増加するアデノシン濃度は、その受容体拮抗薬であるカフェインと同様に、両刃の剣のように作用し、投与量を増やすと影響を受ける神経回路や経路での反応が変化する可能性があることを示唆します。メトホルミンの異なる濃度は、異なる効果を発揮することが以前に報告されているようです。
そして、著者は「この低用量は食事を適切に管理するのにも役立ちましたが、おそらく肥満をさらにコントロールしたいという欲求も高めたと思います。」と言っています。
耳鳴りにはメトホルミンが効果を示す可能性があり、食事との関係も影響しているかもしれない。そうですね。やはり糖質過剰摂取が影響している可能性が高いですね。
ある研究(ここ参照)で、耳鳴りを呈する患者における高インスリン血症の発生率を調査し、糖尿病食が耳鳴りに及ぼす影響を評価しました。耳鳴りの患者52人(平均年齢50歳)を対象に、血中のインスリン値を測定し、経口ブドウ糖負荷試験を実施し、高インスリン血症の患者には、4か月間糖尿病食(糖尿病食というのがちょっと疑問ですが)を与えました。対照群15人の結果と比較しています。
高インスリン血症は、患者の76%と対照群の27%で認められました。経口ブドウ糖負荷試験は、患者の48%と対照群の80%で正常でした。糖尿病食を摂取したところ、高インスリン血症の患者では耳鳴りの症状が有意に軽減しました。完全に糖質が影響していますね。
もう一つ見てみましょう。(ここ参照)原因不明のめまい、耳鳴り、難聴を患う患者における高インスリン血症、糖尿病、高脂血症の発生を評価することを目的としました。48人の患者における様々な検査結果を、31人の対照の結果と比較しました。患者は対照群よりも有意に過体重であることがわかりました。高血圧は患者群の方が対照群よりも多く見られ(男性だ)ました。糖代謝異常は患者群の27.1%に見られましたが、対照群ではわずか9.7%でした。糖尿病は対照群には見られませんでしたが、患者群では4例に認められました。高インスリン血症は患者群で対照群のほぼ2倍多く見られました。高脂血症の発生率のみ、患者群と対照群の間で差がありません。
もう一つ。(ここ参照、図もここより)耳鳴りと高インスリン血症を併発している80人の患者における食事療法への反応を評価しました。食事療法は、「Updegraff diet」というものですが、よく知りませんが、肥満手術(減量手術)の患者が術後に段階的に進めていく食事のようです。2つのグループ、1つは処方された食事療法に従った患者、もう1つは治療に従わなかった患者を比較しました。
上の図の薄いグレーが食事療法に従った人です。濃いバーは従わなかった人です。食事療法に従った高インスリン血症患者では、従わなかった患者に比べて耳鳴りの症状が改善する可能性が5.34倍高くなりました。改善がなかった人の割合は、食事療法に従った患者では24%でしたが、従わなかった人では86%にもなりました。さらに、食事療法に従った患者の15%で耳鳴りが解消したと報告されたのに対し、従わなかった患者では0%でした。
明らかに耳鳴りには高インスリン血症が関係していますね。つまり耳鳴りも糖質過剰症候群です。その1、その2で亜鉛やマグネシウムを取り上げましたが、結局は糖質過剰摂取で亜鉛やマグネシウムの低下、または亜鉛やマグネシウムの低下によるインスリン抵抗性の増加などが関係しているのでしょう。
多くの耳鼻科では、インスリン値、そして食事を無視しています。そのような発想がないのでしょうか?
耳鳴りを感じたら、すぐに糖質制限ですね。
「Repurposing metformin to manage idiopathic or long COVID Tinnitus: self-report adopting a pathophysiological and pharmacological approach」
「特発性または長期COVID耳鳴りの管理におけるメトホルミンの用途変更:病態生理学的および薬理学的アプローチを採用した自己報告」(原文はここ)

糖質制限、
万能過ぎて抵抗勢力も
多いですが、
やらない選択肢は考えられません。