耳鳴りで困っている人もいるでしょう。まずは亜鉛を試してみるのも良いかもしれません。でも、コクラン(ここ参照)は「経口亜鉛サプリメントの使用が耳鳴りの成人患者の症状を改善するという証拠は見つかりませんでした」と言っています。
ある研究(ここ参照)では、耳鳴り患者100人の亜鉛レベルを評価し、亜鉛欠乏が耳鳴りおよび難聴に及ぼす影響を評価しました。年齢に応じて、グループI(18~30歳)、グループII(31~60歳)、グループIII(61~78歳)に分けました。血中の亜鉛濃度は70~120μg/dlの場合を正常としています。
100人の患者のうち12人(12%)が亜鉛レベルの低下を示しました。亜鉛欠乏群の平均年齢は65.41歳で、亜鉛レベルはグループIIIで有意に低くなっていました。
亜鉛欠乏患者では耳鳴りの重症度と音量が大きく、さらに、亜鉛欠乏患者では聴力閾値の平均値が有意に高くなっていました。何となく、やはり亜鉛欠乏と耳鳴りは関連がありそうです。
30年近く前の、小さな日本の研究を見てみましょう。(ここ参照、図もここより)
耳鳴り患者、女性46人(62%)、男性28人(38%)の計74人を対象とし、健常ボランティア22人を対照群としました。低亜鉛血症のみに亜鉛による治療を試みました。亜鉛として34~68mgを含む総量硫酸亜鉛150~300mgを1日2~3回で投与しました。胃腸障害などで投与不能の2例にはプロマック1g/日を投与しました。亜鉛値が84.8μg/dl以下 を低亜鉛血症と定義すると74人中36人(49%)が低亜鉛血症で、そのうち19人に亜鉛による治療を行いました。
上の図は、耳鳴り群とlコントロール群の血中の亜鉛の分布です。耳鳴り群ではピークが70~80μg/dlで、コントロール群では90~100μg/dlです。平均値は耳鳴り群86.8μg/dl、コントロール群97.7μg/dlで有意に耳鳴り群で低い値でした。
治療後にも亜鉛値を測定したのは9人だけです。上の図はその人たちの治療前と治療後の亜鉛値です。9人中8人で亜鉛値は増加し、72.2から96.1μg/dlに有意に増加しました。増加しなかった1人は73から72μg/dlになったのですが、この人の耳鳴りの強さは10段階の5から1に減弱していました。
亜鉛治療を最低2週間行った人を評価しています。19人中8人は除外され、上の図は残りの11人の、治療前後で耳鳴りの強さを評価しました。改善は10人(91%)で、不変が1人でした。その不変の人は治療後の亜鉛値を測定していませんでした。亜鉛治療前後で耳鳴りの強さの平均値は5.3から3.8へと有意に減弱しました。
私の外来で亜鉛値を測定すると、非常に多くの人が低値になっています。
耳鳴りで困っている人で、血中の亜鉛値が低い人は亜鉛を試してみる価値はあるでしょう。
では、他には何があるでしょう?それについては次回以降で。


