アスピリンはあなたを救うか?

もう10年以上も前に、低用量アスピリン(バイアスピリン)の一次予防の効果は否定されているにも関わらず、未だに心血管疾患の既往もないのに、アスピリンを処方され続けている患者がいます。

2014年の日本人におけるアスピリンによる心血管疾患の一次予防についてのランダム化比較試験(JPPP試験)を見てみましょう。(ここ参照)心血管疾患の既往がなく、動脈硬化性疾患のリスク因子(高血圧症、脂質異常症、糖尿病)のある60〜85歳の患者14,464人を対象にしたものです。低用量アスピリン(100mg/日)の投与(7220人)とアスピリン投与なし(7244人)を比較して、心血管死亡、非致死性脳卒中、非致死性心筋梗塞の複合アウトカムを検討しました。追跡期間の中央値は5.02年で、効果が期待できないと判断され、早期に中止されました。

複合アウトカムはアスピリン群で2.77%、対照群で2.96%と違いはありませんでした。

アスピリン群では、非致死性心筋梗塞の発生率を有意に減少させ、0.53倍になりましたが、実際の発生率は0.30%と0.58%なので、差は0.28%しかありません。同様に、一過性脳虚血発作の発生率もアスピリン群0.23%減少しました。

一方、輸血または入院を必要とする頭蓋外出血のリスクはアスピリン群で有意に増加し、1.85倍でした。実際の違いは0.35%です。

致死性脳出血は両群ともに5人と差がありませんが、非致死性脳出血はアスピリン群で23人、対照群で10人、非致死性くも膜下出血はアスピリン群で8人、対照群で4人、とアスピリン群で多いという結果となっています。

別の研究を見てみましょう。(ここ参照、下の図もここより)オーストラリアとアメリカに居住する70歳以上で、心血管疾患、認知症、または障害のない19,114人を対象としています。そのうち9,525人がアスピリン群に、9,589人がプラセボ群に割り付けられました。追跡期間の中央値4.7年の間に、合計1,052人が死亡しました。全原因死亡リスクは、アスピリン群で1,000人年あたり12.7件、プラセボ群で1,000人年あたり11.1件で、アスピリン群が1.14倍でした。

上の図のAのように、アスピリン群の死亡率が高い主な原因はがんであり、がん関連死は、アスピリン群の参加者の3.1%、プラセボ群の参加者の2.3%に発生し、リスクは1.31倍でした。

予防的にアスピリンを飲む意味はないばかりか、逆に出血、がんのリスクを上げてしまう可能性があります。

今飲んでいる薬が本当に必要かどうか、自分でよく考えてみましょう。

4 thoughts on “アスピリンはあなたを救うか?

    1. Caesiusさん、コメントありがとうございます。

      スポンサー次第かもしれませんね。また機会があれば記事にします。

  1. 最近NHKの番組で(多分BS放送)肺炎球菌ワクチンや帯状疱疹ワクチン摂取した人の認知症発症がそうでない人より20%少ない、
    との情報もみました。

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