中性脂肪を激減させるオレザルセンは冠動脈アテローム性動脈硬化を改善するか?

以前の記事「中性脂肪を下げる薬オレザルセンの効果」「中性脂肪を大きく低下させる薬オレザルセンは食後中性脂肪の上昇を抑える」で書いたように、アポリポタンパク質C-III(ApoCⅢ)をターゲットにしたオレザルセンは確かに、血中の中性脂肪値を劇的に減少させます。

リスク因子はあくまで、結果であり、原因ではありません。中性脂肪値が高いと様々な心血管疾患のリスクが上がります。では、この中性脂肪を大幅に低下させる、オレザルセンという薬を使うと、冠動脈アテローム性動脈硬化症にどのような効果があるのでしょう?

今回の研究では、中性脂肪≧150 mg/dL、心血管疾患の存在または高リスク、およびベースラインの冠動脈CT血管造影における非石灰化プラークがある参加者468人を、オレザルセン群349人、プラセボ群119人に分けました。年齢中央値は63歳(範囲56~70歳)で、31%が女性、97%が脂質低下療法を受けていました。ベースラインの中性脂肪中央値は249 mg/dL、レムナントコレステロール中央値は53 mg/dL、 LDLコレステロールは81 mg/dLでした。ベースラインの非石灰化プラーク量中央値は125.3 mm³でした。(図は原文より)

上の図は6か月後、オレザルセンはプラセボと比較した、脂質系のパラメータの変化率です。オレザルセンは中性脂肪を63.9%、VLDLコレステロールを60.6%、レムナントコレステロールを71.9%、非HDLコレステロールを22.9%、Apo-Bを16.0%減少させましたが、LDLコレステロールに差はありませんでした。

上の図は、ベースラインから12か月目までの非石灰化プラークの変化量です。オレザルセン投与群とプラセボ群で差がありませんでした。

上の図は、12か月目までの非石灰化プラーク量の変化率です。これもプラセボと違いがありません。

上の図の12か月時点での低吸収プラーク変化量、下の図の変化率も同様に、プラセボと差がありません。

また、石灰化プラーク、または総プラーク量の変化についても、オレザルセン群とプラセボ群の間で有意差は認められませんでした。

つまり、中等度の高中性脂肪血症患者において、標準的な脂質低下療法に加えてオレザルセンを12か月間投与しても、中性脂肪をはじめレムナントコレステロールが大幅に低下し、非HDLコレステロールとApo-Bが中程度減少したにもかかわらず、非石灰化冠動脈プラーク量は減らせませんでした。

数値だけ整えて、見た目を良くしても、中身は改善していません。それは原因を取り除いていないからです。現代医療の代表的な現象ですね。

しかし、医師は数値が低下すると喜びます。治療した気になれます。

中性脂肪を減らすのは簡単です。糖質制限をすれば劇的に減ります。

「Effect of APOC3 Inhibition with Olezarsen on Coronary Atherosclerosis: Essence–TIMI 73b Imaging Study」

「オレザールセンによるAPOC3阻害が冠動脈アテローム性動脈硬化に及ぼす影響:Essence-TIMI 73b画像研究」(原文はここ

One thought on “中性脂肪を激減させるオレザルセンは冠動脈アテローム性動脈硬化を改善するか?

  1. いつも貴重な情報のご提供、
    ありがとうございます。
    「中性脂肪を減らすのは簡単です。糖質制限をすれば劇的に減ります。」
    あまりにも簡単なので、逆に
    取り組もうとする人が少数派の
    「パラドックス」

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