高血糖も高インスリン血症も認知機能には有害です。そうであるならば、糖尿病でインスリンを使っている人は認知症のリスクが高くなると考えられます。どうなんでしょうか?
今回の研究では、認知症の既往歴のない40歳以上の成人1,322,651人(平均年齢54.9歳)が対象で、非糖尿病、経口血糖降下薬を服用している2型糖尿病、インスリンを使用している2型糖尿病、または1型糖尿病に分類されました。(図は原文より)
上の図は(A)全ての認知症、(B)アルツハイマー病、(C)血管性認知症で、糖尿病の有無などで分けたときの、認知症の累積発症率です。赤の非糖尿病が最も少なく、1型糖尿病と2型糖尿病でインスリン使用者の発症率が高いのがわかります。
1000人年あたりの認知症発症率は、非糖尿病で4.3、経口血糖降下薬を服用している2型糖尿病で12.7、インスリンを使用している2型糖尿病で17.9、1型糖尿病で21.1でした。非糖尿病と比較すると、全原因認知症のリスクは、経口血糖降下薬を服用している2型糖尿病で1.29、インスリンを服用している2型糖尿病で2.14、1型糖尿病で2.35でした。
つまり、インスリン使用者は非糖尿病と比較すると、2倍以上も認知症のリスクが高いのです。
慢性高血糖は、終末糖化産物(AGEs)の形成、酸化ストレス、微小血管損傷を促進し、これらはすべて神経変性に寄与します。インスリン治療そのものが悪いのか、インスリンを使用しなければならないほどのコントロールの悪さが原因なのかはわかりませんが、インスリン使用もリスク因子です。私はインスリンそのものも良くないと思っています。高インスリン血症になると、血液脳関門のインスリン移行や脳でのインスリン合成が低下すると考えられています。
インスリン投与、インスリン分泌は最低限で行くべきです。血糖値を上げるような食事をして、インスリン抵抗性も改善させずに、その分どんどんインスリンを投与すれば、脳に悪影響なのは当然でしょう。
まずは糖質制限でインスリン必要量を大きく減らすべきです。認知症は糖質過剰症候群、3型糖尿病です。
「Dementia Risk in Type 1 and 2 Diabetes: A Nationwide Population-Based Comparison」
「1型および2型糖尿病における認知症リスク:全国規模の人口ベース比較」(原文はここ)
