今年もインフルエンザの季節になりました。
学校保健法ではインフルエンザに罹患した際の出席停止期間を「発症から5日後、かつ解熱から2日後まで」と定めています。
今回の研究では、体形がインフルエンザウイルスの排出期間に影響を及ぼす可能性を示しています。(図は原文より)
上のグラフAは18〜92歳の成人のA型インフルエンザ(左)とB型インフルエンザ(右)で、非肥満に対して肥満の人のインフルエンザウイルス排出期間の比率を表しています。具体的には肥満ではA型で42%長く排出し、非肥満者では平均予想排出期間が3.68日でしたが、肥満では5.23日でした。B型では差は認めませんでした。
発熱を除く、症状が一つ以下の軽いA型インフルエンザでは、肥満の人は非肥満に比べて104%も長くウイルスを排出し、非肥満で1.57日、肥満で3.21 日でした。
下のグラフCは逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)分析によるA型インフルエンザの陽性期間を示しています。これも肥満の方がウイルスが陽性になっている期間が長いことがわかります。そして、ウイルスが完全に陰性化するまでには結構長い期間がかかっていることもわかります。10日以上かかる人もいるのですね。
なぜ肥満だとA型ウイルスの排出期間が延びるのかは不明です。B型では差がなかったことも理由はわかりません。肥満だと免疫機能が低下するためかとも思いますが、それであればB型も同じように延長するはずです。
肥満のウイルス排出期間が長いことは17歳以下では認めませんでしたが、体形とは別に、年齢そのものでも排出期間に差がありました。
0〜4歳の子供はインフルエンザウイルスの排出期間が40%長く、5〜17歳の子供はインフルエンザウイルスの排出が30%長くなり、このことはA型でもB型でも認められました。
B型ウイルスの排出は、すべての年齢において、A型ウイルスの排出よりも長くなりました。インフルエンザウイルス全体での平均予想排出期間は、0〜4歳で7.7日、5〜17歳で7.2日、18〜92歳で5.5日でした。A型ウイルスの平均予想排出期間は0〜4歳で7.0日、5〜17歳で6.4日、18〜92歳で5.1日でしたが、B型ウイルスではそれぞれ9.3日、8.8日、6.4日でした。
そうすると一応、大人であれば発症から5日後では平均するとウイルスを排出しない期間にギリギリなります。しかしあくまで平均なので、それよりも長い人も当然います。これが17歳以下では、特にB型インフルエンザでは8.8日と、発症5日ではほとんど子供がウイルスを排出している期間とも言えます。
このウイルスの排出が臨床的に問題になるかどうかは別のことかもしれません。
所詮インフルエンザは風邪です。なぜインフルエンザのみ差別されるのかはよくわかりません。これもビジネスですかね?
「Obesity Increases the Duration of Influenza A Virus Shedding in Adults」
「肥満は成人におけるインフルエンザA型ウイルス流出の期間を増加させる」(原文はここ)