薬には様々な副作用があります。他者への暴力行為という有害事象も極めて深刻な副作用だと考えられます。
この研究では、アメリカのFDAに報告されたすべての重篤な有害薬物事象のうち、治療薬に関連して報告された暴力行為に関する証拠を分析、評価しています。
下の表は暴力的な有害事象に関連する薬物を示しています。比例報告比率(PRR)が高いほど危険な薬物と考えられます。(表は原文より改変)
薬品名 | PRR | 暴力事象 |
バレニクリン(チャンピックス) | 18.0 | 408 |
フルオキセチン(プロザック) | 10.9 | 72 |
パロキセチン(パキシル) | 10.3 | 177 |
アンフェタミン | 9.6 | 31 |
メフロキン(抗マラリア剤) | 9.5 | 10 |
アトモキセチン(ストラテラ) | 9.0 | 50 |
トリアゾラム(ハルシオン) | 8.7 | 7 |
フルボキサミン(ルボックスなど) | 8.4 | 5 |
ベンラファキシン(イフェクサー) | 8.3 | 85 |
デスベンラファキシン | 7.9 | 8 |
モンテルカスト(シングレアなど) | 7.0 | 53 |
セルトラリン(ジェイゾロフト) | 6.7 | 64 |
ゾルピデム(マイスリー) | 6.7 | 48 |
エスシタロプラム(レクサプロ) | 5.0 | 31 |
オキシバートナトリウム | 4.9 | 6 |
シタロプラム | 4.3 | 34 |
アリピプラゾール(エビリファイ) | 4.2 | 23 |
オキシコドン(オキシコンチンなど) | 4.1 | 46 |
ブプロピオン | 3.9 | 35 |
ジプラシドン | 3.8 | 19 |
メチルフェニデート(リタリンなど) | 3.6 | 27 |
ミルタザピン(リフレックスなど) | 3.4 | 15 |
ガバペンチン(ガバペン) | 3.3 | 35 |
レベチラセタム(イーケプラ) | 3.3 | 21 |
ジアゼパム(セルシンなど) | 3.1 | 11 |
アルプラゾラム(ソラナックスなど) | 3.0 | 15 |
デュロキセチン(サインバルタ) | 2.8 | 45 |
クロナゼパム(リボトリールなど) | 2.8 | 10 |
インターフェロンアルファ | 2.7 | 54 |
リスペリドン(リスパダール) | 2.2 | 29 |
クエチアピン(セロクエル) | 2.0 | 53 |
暴力事象には、387件の殺人、404件の暴力、27件の身体的虐待、896件の殺人の念慮の報告、および223件の暴力に関連した兆候が含まれています。
そうすると最も暴力事象の多いのは禁煙補助薬のチャンピックスです。それ以外のほとんどは抗うつ薬や睡眠薬、向精神薬などがほとんどです。
ドパミンの利用可能性を高める(チャンピックス)バレニクリン、およびセロトニン再取り込み阻害剤は、最も強くそして一貫して関係して暴力に関係している薬です。
以前の記事「喫煙って病気ですか?たばこ依存症だから?チャンピックスって?」で書いたように、チャンピックスは安易に手を出すべきものではないのかもしれません。禁煙するのに、脳に働く薬を使えば、様々な副作用が起きて当然でしょう。
家族の人がチャンピックスで禁煙を始めたら要注意です。
「Prescription drugs associated with reports of violence towards others」
「他人に対する暴力の報告に関連する処方薬」(原文はここ)