今年もよろしくお願いいたします 第96回箱根駅伝 ものすごい記録ではあるが・・・

新年あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いいたします。

今年の一発目は昨日と今日の2日間で行われた第96回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)についてです。

昨年5連覇の夢を絶たれた青山学院大学ですが、今年は見事に総合優勝でした。(関連記事はここ)しかも大幅に記録を更新し、大会新記録となる10時間45分23秒でした。(これまでの記録は10時間52分9秒)ただ、はやり私に非常に違和感があります。それは毎年書いているシューズ問題です。

今回の箱根駅伝では往路の選手の実に210人中177人、84.7%もの選手がナイキの厚底シューズを履いていたのです。そして最後の10区以外の区間賞はナイキの厚底シューズです。優勝した青学大はアディダスと契約しているのですが、ナイキのシューズを履くことを解禁して、タイムが急上昇したそうです。

昨年は41.3%がナイキでしたから、今年はナイキ率は2倍以上に増加し、ナイキを履いていない選手を見つける方が大変でした。昨年の区間賞の70%もナイキの厚底シューズが叩き出していました。

区間新記録も10区中7区で出ています。

今回、ほとんどの選手がナイキを履いたことにより、シューズの差によるチームの記録の差がなくなり、ほとんど同じ条件でのレースとなったわけですが、総合のタイムが7分近く縮まり、区間新記録がどんどん出た背景には、ナイキの厚底シューズが大きく関係していると思います。大学生の力が伸びた、という人もいますが、恐らく昨年から大きくは変化していないでしょう。シューズが記録を押し上げただけだと思います。

この厚底シューズに対して、国際陸連は調査に乗り出すようです。(記事はここ

ナイキ厚底マラソンシューズを国際陸連が調査へ 規制の可能性も 欧米メディア報道

 2019.10.19 デイリースポーツより

 非公認ながら男子マラソンで初めて2時間切りとなる1時間59分40秒をマークしたエリウド・キプチョゲ(ケニア)、16年ぶりの女子マラソン世界記録(2時間14分4秒)をマークしたブリジット・コスゲイ(ケニア)らが履くナイキのマラソンシューズについて、国際陸上連盟(IAAF)が調査に乗り出すことが分かった。19日までに米ESPN、英BBCなど欧米主要メディアが一斉に報じている。

 ESPNは「キプチョゲ、コスゲイの偉業によりシューズテクノロジーへの懸念が高まっている」と見出しで報じ、「より厳しい規則に繋がる可能性がある」と規制に発展する可能性に触れた。BBCによると、ナイキを使用していないアスリートグループがIAAFに対して不満を訴え、IAAF内で問題を検討するためのワーキンググループが設立されたという。両メディアともIAAFの「いくつかの技術がスポーツの価値とは相容れないサポートをアスリートに提供しているのは明らかだ。IAAFの課題は新技術の開発と使用の促進と、普遍性、公平性の維持との間で適切なバランスの技術的ルールを見出すこと」というコメントを掲載した。

 ナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ」シリーズは、「軽さ」と「クッション性」の両立のため、ミッドソールに航空宇宙産業で使う特殊素材に由来するフォーム(ズームX)を採用、「推進力」をつけるため、特殊素材の間に反発力のあるスプーン状のカーボンプレートを挟み込むなどの技術が詰め込まれており、使用した選手は近年の主要国際マラソンの上位を独占してきている。先日、日本で行われた東京五輪代表選考会のMGCでも男子上位3選手は同シューズを履くなど、マラソン界を席巻しているといっても過言ではないシューズだ。

 IAAFのルールによれば「競技に使用されるシューズはすべてのランナーが合理的に利用可能でなければならず、不公平なサポートや利点が提供するものであってはいけない」となっている。米「FOX」によると、ナイキは現在、これらの動きに対してコメントはしていないという。

ただ、このような反発力のあるプレートは短距離走用のシューズには以前から組み込まれているようです。つまり、ウサインボルトはものすごい100m走の記録を出しましたが、人間が進化したというよりも、シューズの進化の方が大きいのではないかと思います。陸上界も世界記録が更新されると盛り上がり、注目度も上がります。100mで黙認、というより承認しているのですから、マラソンでもプレート入りのシューズは調査は形式上であり、承認されるかもしれません。さらに、ナイキは資金力にものを言わせて、規制を見送らせるかもしれませんね。

スポーツは人間の限界に挑むものだと思いたいですが、そこには様々な思惑が絡み合っているでしょう。野球で飛ぶボールを採用した年には、ホームランが増えます。ボールによって異なるホームランの数が記録に残るのですから、興行的に意味があっても、選手の記録としてはあまり意味がなくなってしまうでしょう。陸上のシューズも一定の基準を作るべきだと思います。

マラソンのシューズも水泳の水着問題と同じようになるのでしょうか?今後注目です。

シューズ問題は別として、今年のレースでは、私の一番の注目は駒澤大学のスーパールーキー田澤廉選手でした。期待に応え、7人抜きの区間新を出しました。まだ1年ですから、今後が楽しみです。

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コメント

  1. ジェームズ中野 より:

    やはりメーカーの技術力の差ではないでしょうか?
    私自転車愛好家ですが、自転車ロードレースの世界でもクロモリフレームからカーボンフレームに移行し、今やカーボンフレームが常識になっています。カーボン以外の素材でレースに出る選手は1人もいません。

    コンポーネンツにしても今や手動の変速から電動の変速へと変わってきています。

    カセットスプロケットは10速から11速、11速から12速へと変化してきています。

    ランニングシューズも含め大きな意味で機材を使用してのスポーツは、その機材の技術の進歩と言うものが大きくタイムに関わってくるのは当然と思います。

    ガラケーがスマホに変化したのと同じです。またそのように捉えるべき問題です。タイムが速くなってよかったよかった、単にその話です。

  2. ジェームズ中野 より:

    やはりメーカーの技術力の差ではないでしょうか?
    私自転車愛好家ですが、自転車ロードレースの世界でもクロモリフレームからカーボンフレームに移行し、今やカーボンフレームが常識になっています。カーボン以外の素材でレースに出る選手は1人もいません。

    コンポーネンツにしても今や手動の変速から電動の変速へと変わってきています。

    カセットスプロケットは10速から11速、11速から12速へと変化してきています。

    ランニングシューズも含め大きな意味で機材を使用してのスポーツは、その機材の技術の進歩と言うものが大きくタイムに関わってくるのは当然と思います。

    ガラケーがスマホに変化したのと同じです。またそのように捉えるべき問題です。タイムが速くなってよかったよかった、単にその話です。

    • Dr.Shimizu より:

      ジェームズ中野さん、コメントありがとうございます。

      シューズを機材と捉えるか、ウェアと捉えるかにより考え方が異なるでしょうね。
      身に着けるもののマイナス面をできる限り減らすのは問題ありませんが、プラス面を付加するのは一定の基準が必要だと思います。
      自転車でも電動は許されていないはずです。(ツールドフランスのあるチームには隠しモータ疑惑がありますよね)
      フレームの素材を軽量化したりしてマイナス面を削るのはOKですが、電動のような、シューズで言えばバネのようなプラス面を付加するというのは
      競技そのものの考え方を考えなければならないでしょう。そのコンセンサスがないまま企業主導で進んでしまっていることが問題だと思います。
      携帯電話とは全く次元の違う議論です。

  3. 吉岡 斎 より:

    私は技術の向上として、割り切っても良いのでは無いかと思います。魔法の靴を履いているわけでは無いのであって、元はその選手の力なのですから。

    例えば、軽いシューズは良いが、反発力の強いシューズはダメなのでしょうか⁉️それはそれで不公平な印象も受けます。そしてそれでは用具の技術革新が出来ません。どの用具を選ぶのかも、選手やコーチの優秀さに含まれているのではないのでしょうか⁉️

    もちろん、選手自身の体力の向上がメインですが、スポーツ用具の技術向上に一定の歯止めをかけると言うなら、私に言わせれば選手は皆、裸でやるしか無いと思います。大相撲のように裸なら、文字通り裸一貫ですから、記録の差は体力の差以外何もありません。

    つまり、どのようにルールを作っても用具による微妙な差は絶対ゼロにはならないと思います。最低限の基準(例えば野球の「金属バットは使わない」等)を作ったら、それ以上は技術革新に任せても良いのでは無いのでしょうか。なぜならその用具をみんなが使えるなら、差は無くなるからです。その用具が無かった過去との記録の差は仕方ないと思います。それは、体力自身も過去よりも向上しているからであり、それを言っていたらキリが無いからです。

    野球の飛ぶボールにしても同じです。個々の選手がバラバラにボールを使えば不公平ですが、少なくとも同時に野球をしている選手達が同じボールを使うなら、不公平にはなりません。そのボールが無かった過去と違うのは、先に言った通り仕方のない事だと考えます。例えば、私が若い頃の王貞治選手はとても凄いバッターでしたし、私の尊敬する人の1人ですが、王選手はともかくそれ以外のバッターの当時と今を比べると、今はパワーヒッターが増えたと思いますし、選手自身の進化が著しいと考えていますし、増して対戦するピッチャーも進化しているので、単純な記録の過去との比較はできないと思うからです。当然ながら用具も進化しているでしょう。

    そして「どの用具を使うのか」、記録の伸びる用具を使っているか否かも含めてその選手の評価・記録となる、と考えればさほどおかしくはないように思いますし、現にそうなっているようにも思います。

    最終的に私が言いたい事は、用具の技術革新が純粋な選手の記録の妨げになるとどうしても主張するなら、用具を使わなくても済む競技は裸一貫で、用具を使わなくてはならない競技にはその用具を競技団体等が指定する、そうして行わない限り、用具による差はゼロにはならないと考えます。

    • Dr.Shimizu より:

      吉岡 斎さん、コメントありがとうございます。

      選手の力の向上と考えるなら、シューズを変えた途端にほとんどの選手の記録が一気に伸びるのは変な話です。
      他のコメントでも書きましたが、「軽いシューズは良いが、反発力の強いシューズはダメなのか?」というのは
      軽量化というマイナス面を削るのは良いのですが、反発力というプラス面をバネを使用するのが良いのかどうかは
      一定の基準が必要だと考えます。水泳で水着の技術革新で、高速水着が出たときに同様の議論が起き、使用禁止となりました。
      裸という極論を言うのではなく、ルールが必要だと思います。
      ただスポーツが純粋な選手の競い合いではなく、大きなお金が動くビジネスに変化してしまったことが一番の問題でしょう。

  4. カーコ より:

    あけましておめでとうございます。
    今年も先生の記事を楽しみにしています。
    よろしくお願いします。

    私も昨日夫とこの話をしていました。
    シューズを変えて記録が伸びるというのは少し気持ちが悪い気がしますが、
    メーカーはその為に商品開発をしているのでしょう。
    国際陸連が調査をしているという事だと以前禁止された水着同様禁止される方向性なのでしょうか。
    もしも用具の進化が止めどなく許されるのであれば、パラの幅跳びのマルクス・レーム選手もオリンピックに出場してもいいのでは?と考えます。
    義足も用具のうちですよね。

    F1は自動車技術の最先端です。
    その為、どこかのチームが突出しないよう細かくレギュレーションが決められています。
    技術の進化は止められないでしょうから、どのスポーツもF1のように細かくレギュレーションが決められるという流れになるのではないかとなんとなく思います。

    • Dr.Shimizu より:

      カーコさん、コメントありがとうございます。

      シューズ問題があったとしても、私はマラソンや駅伝が好きです。だからこそ明確なルールが必要だと思ってしまいます。
      私もパラやF1のことを考えました。決められた範囲の中で競ってこそ、企業の技術革新です。
      義足の幅跳びも、自分の脚の方で踏み切るという条件を付けてオリンピックに出場するのであれば、もしかしたら問題がないかもしれませんが、
      義足は人間の足と違って選択や変更ができます。人間の足と同条件の義足を作ることはできません。条件が違えば、競技として成立しません。
      もちろん、義足を履けば、誰でも大きなジャンプができるわけではなく、その陰ではものすごい努力、練習が必要であることは理解しています。
      スポーツはルールの上で成り立つものです。選手の使うものに関して、細かなルール作りが必要だと思います。

  5. 西村 典彦 より:

    プレートが使われていたとしても、その反発力の元は選手の脚力と重力であり、外力を利用しているわけでもなく、私は規制する必要はないと思っています。

    F1などの自動車レースでは、高額な開発費が必要になり、メーカーの経済力が結果に影響し、最終的には参戦するメーカーがいなくなるためレースが成り立たなくなると言う理由で年々、費用を抑えるレギュレーションに変更されています。主に主催者の都合だと思います。

    もし、シューズの規制を望んでいるとすれば、それはナイキ以外のシューズメーカーではないでしょうか。今年はオリンピックイヤーでもあり、そこでの結果は、その後の売り上げに大きく影響するでしょう。

    • Dr.Shimizu より:

      西村 典彦さん、コメントありがとうございます。

      外力を利用しなければ、どんなものでも良いのかどうかは何とも言えません。高速水着は外力は利用していませんでしたから。
      余談ですが、ドクター中松のジャンピングシューズも外力を使用していませんが、あれでマラソンを走ったらどうなるのでしょうか?ちょっと見てみたいです。
      ナイキ以外のメーカーも開発して、すでにいろいろプレート入りシューズが出始めているので、他のメーカーも規制を望んでいるのかどうかは微妙でしょう。

  6. ジェームズ中野 より:

    シマノのdi2が先行してツールに持ち込まれた年はシマノの圧勝でした。カンパは開発が遅れておりEPSの導入はまだなし得なかったのです。
    チームによって電動を使用したりしなかったりしたわけですが、機材のレベルの違いを問題視する話はいまだかつて聞いた事がありません。
    スポーツはそう言うものです。UCIもまったく問題視していません。
    問題になるのはドーピングだけです。

    • Dr.Shimizu より:

      ジェームズ中野さん、シマノのdi2は電動の変速機ですよね?

      私が言っているのはUCIが問題にしている「機材ドーピング」のモーターの話です。

      • ジェームズ中野 より:

        機材ドーピングの話は言われるまでもなくすでに昔から存じております。私がお話ししたかった事は、機材の違いで記録が変わってくる、過去のレベルよりも数段記録が更新されると言う話です。自転車本体にしてもランニングシューズにしても過去からずっと進化し続けてきたわけですからそういう中で記録が塗り替えられていくって言う話です。今まで誰も開発できなかったランニングシューズをNikeが開発してそれを使って走った人間が今までより相当レベルアップしたって言うことですよね。本人を褒めるべきなのかシューズを褒めるべきなのかにわかに判断はできませんが、シューズの力が大きいと言う今回の駅伝の結果になったって言う話ですね。人は人と競争してメーカーはメーカーと競争しているわけで、それは自由なはずですよね。自由競争から生まれた結果についてそれを問題視すること自体、私には理解できません。いっそ裸足になって走ればどうなんだって言うことにつながってきますよね。自転車の場合にしても電動を選択するか手動を選択するかで記録が変わったわけです。ランニングシューズも同じような事態になったわけですよね。こんな事は今までも常にあったことだし、これからも頻繁にあることではないかなと思う次第です。先生がおっしゃる「陸上のシューズも一定の基準を設けるべき」と考えられている点について、基準とは何なんですか?どういう基準とお考えなのですか?先生はこのランニングシューズを買い求める事は無いのですか?この先履くこともないのですか?この欄の投稿については、きりがないのでこれで打ち止めにさしていただきますが、エベレストへの登頂にしても機材の進化による部分が大きく影響していると思います。それが進歩であり進化であるわけです。