我々は清潔になり過ぎた!もう一度、寄生虫と共に生活すべきなのかもしれない

先進国ではアレルギーが非常に多くなっています。深刻な問題です。アレルギーはときに死に至ります。しかし、途上国では非常にアレルギーが少ないとされています。

アレルギーは不適切な免疫反応の一種であり、私たちの身体が無害な物質を脅威と誤認しているのです。成長した時に適切な免疫反応を生み出すために、小さなころに免疫系が様々な微生物と接触する必要がある、という考えがあり、そのことが先進国でアレルギーが急増している理由の一つと考えられています。つまり、先進国は清潔になり過ぎたのです。

「Immunology」に掲載された論文(原文はここ)で、Schistosoma mansoni(マンソン住血吸虫)という寄生虫(写真はWikipediaより)に対して特異的に産生される抗体

があるのですが、ピーナッツに含まれるAra h1と呼ばれるタンパク質にこの抗体が反応することを発見しました。私たちの体の免疫系はマンソン住血吸虫という寄生虫もピーナッツも同じものと認識して、それらを抗体でやっつけようとするのです。正確なところはよくわかりませんが、寄生虫の感染に反応して産生された抗体は、ピーナッツのタンパク質などの物質に直面したときに免疫系がアレルギー反応を起こさないようにするのではと考えられています。つまり、あらかじめ寄生虫に感染していれば、体は慣れっこになっていて、ピーナッツが体に入ってきても、あまり大げさな反応をしなくなるということです。

クローン病も寄生虫に感染しなくなったから起こるのではという考えがあります。興味のある方は「わたしたちの体は寄生虫を欲している」という本を読んでみてください。クローン病の患者に寄生虫を処方して感染させると、なんとクローン病が改善する人がかなりの割合でいるようです。

つまり、私たちの体はずっと原始的なままなのです。いくら文明が発達しても、それに追いつくほど人類は進化をしていません。人間の免疫系はいつも戦ってきました。清潔になり過ぎた環境では、敵が襲ってきません。だから、いつも戦いたくってウズウズしています。そこに、これまで人類が戦ってきた敵と似たようなものが入ってくると一斉攻撃を仕掛け、アレルギー反応を起こすのかもしれません。似たような敵がいなくても、とにかく戦いたい免疫系は自分の体を敵に見立ててしまうのかもしれません。

そういえば、私が小学生の頃は肛門にテープみたいなものをくっつけて学校に提出する蟯虫検査がありました。今の子供にはないですよね?

みなさん、寄生虫と共に生活する選択肢はありますか?自分の肛門に寄生虫がウヨウヨしていたらやっぱり嫌ですよね?アレルギーになるか寄生虫に感染するか、究極の選択ですね。しかし、少なくとも除菌、殺菌作用のあるものばかりを使うのはかなり問題となるでしょう。今はいろいろなものに除菌、殺菌作用が添加されています。消毒殺菌剤入りの薬用石鹸などは意味がないばかりか害になるということで、発売されなくはなりました。病院以外で様々な場所にアルコール消毒剤が置いてあることは問題だと思います。特に小さな子供がこのアルコール消毒をしているのを見るとちょっと怖くなってしまいます。我々は細菌をはじめ、さまざまな微生物と共存しています。それらは悪さをしないばかりか、私たちの体に利益のあるものもたくさん存在します。そんな彼らを殺すなんて…

過度の清潔は死を招くかもしれません。不潔さをもう少し許容しましょう!

特に子供たちはもっと泥だらけになりましょう。汚いぐらいの子供の方が丈夫に育ちます。とは言っても、なかなか難しいですね…でも異常な清潔によって、その子供が将来、喘息やアトピーなどのアレルギー疾患、クローン病や多発性硬化症、1型糖尿病など自己免疫疾患になってしまう可能性が高まるとしたら、どうしますか?

難しい問題です。

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