ビタミンEサプリメントの不都合な真実

ビタミンEは抗酸化作用を有し、非常に人間にとって重要な栄養素です。ビタミンEには様々なタイプがあります。4種アルファ、ベータ、ガンマ、デルタ)のトコフェロールと4種のトコトリエノールの合計8種類あります。その中で、血中に一番多いのがアルファ-トコフェロールと呼ばれるもので、厚労省も食事の摂取基準はこのアルファ-トコフェロールで設定しています。

血漿中には確かに大部分がアルファ-トコフェロールでガンマ-トコフェロールに比べれば10倍ぐらいの差があります。しかし、それ以外の組織を見てみると、ガンマ-トコフェロールは皮膚、筋肉、静脈、および脂肪組織における全ビタミンEの30〜50%を構成し、しかも重要なことに、これらの組織におけるガンマ-トコフェロールの濃度は、血漿中よりも20〜40倍高いようなんです。抗酸化作用はアルファの方がガンマよりも高いとされていますが、これは血漿中の濃度差によるものとも考えられています。

では、どのトコフェロールも同じ作用を示すかというとそういうわけではありません。ガンマにはアルファには見られない非常に重要な役割があるのです。

体内では有毒なreactive nitrogen oxide species (RNOS)「活性窒素酸化物種?(正しい日本語は知りません)」というものが生成されますが、このRNOSの過剰な生成はがんや心血管疾患、神経変性疾患などの慢性炎症疾患に大きく関連しています。炎症の間に作られたRNOSは二酸化窒素などを含んでいるのですが、アルファ-トコフェロールは二酸化窒素と反応して、発がん性があることで有名なニトロソ化生成物を生成してしまいます。一方ガンマの方はその二酸化窒素をより害の少ないものにしてしまいます。

また、ガンマ-トコフェロールは抗炎症作用があります。アルファではこの抗炎症作用は認められないか、非常に低いと考えられます。慢性炎症が様々な疾患の原因であると考えると、この抗炎症作用は非常に重要でしょう。また、ガンマはインスリンを作り出す、すい臓のβ細胞が自己免疫によって破壊されるのを保護する作用が認められています。つまり1型の糖尿病を予防する役割があると示唆されています。

心血管に関して言えば、血漿中のガンマの濃度は、心血管疾患の罹患率および死亡率の増加と逆相関する、つまりガンマが多いほど心血管疾患になったり死亡したりするリスクが低下するということです。(もちろん逆の結論を示す研究もあります)さらに、ガンマの代謝されたものには抗利尿作用があり、高血圧や心不全の予防にもなり得ます。

がんとの関係に関しては様々な関連があり、有益だとするものもあれば害があるというものもあります。まだはっきりしません。

このように、アルファ-トコフェロールとガンマ-トコフェロールの役割の違いは大きいので、両方を必要十分な量摂取することが望ましいと考えられます。そうすると、安易にビタミンEのサプリメントをたくさん摂れば良いと思ってしまう方もいるかもしれません。

食事(植物に含まれる油やナッツ類などがビタミンEが豊富)で摂るビタミンEは主にガンマ-トコフェロールなんですが、サプリメントは工業製品なので、通常合成したビタミンEです。そして合成のビタミンEは全てアルファ-トコフェロールなんです。

そして、ここにビタミンEサプリメントの不都合な真実があります。サプリメントで合成のビタミンEであるアルファ-トコフェロールを摂れば摂るほど、体内のガンマ-トコフェロールがどんどん少なくなってしまうことがわかっています。人間が進化の過程で摂取してきたものは植物でありナッツであるはずです。そこに含まれるビタミンEを、自分の体に合ったような比率で体内の保持しているはずです。食事でビタミンEを摂った場合はアルファ-トコフェロールもガンマ-トコフェロールも両方増えます。しかし、合成物のサプリメントはこの体内の非常に有益なガンマ-トコフェロールを減らしビタミンEバランスを容易に崩してしまいます。しかも、1年間サプリを摂り続けると、止めた後も元のビタミンEバランスになるまでに2年間かかるそうです。

もし、どうしてもサプリメントを摂りたい方は、そこのところを考え、ガンマ-トコフェロールとアルファ-トコフェロールの比率が食事で得られる比率に近いものを選ぶのが良いでしょう。そんなものが存在するのかは知りません。

上に書いたように様々な作用が認められるガンマ-トコフェロールを意識たほうが良いでしょう。特に1型糖尿病の方は絶対にビタミンEサプリメントは避けた方が賢明です。

普通に、食事、ナッツで健康になれますよ!

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする