妊娠中のアセトアミノフェンの使用はやっぱりリスクを伴うかもしれない

以前の記事「妊娠中のアセトアミノフェン使用で生まれてくる男の子が女性化?」で妊娠中のアセトアミノフェンの使用について警笛を鳴らしましたが、様々な報告が出続けています。やっぱり、妊娠中の使用は避けた方が無難でしょう。胎児テストステロンは男性生殖器系の発達において極めて重要であるため、テストステロンの産生低下は男児の生殖器の奇形をもたらす可能性もあります。ヒト胎児精巣を移植されたマウスの研究でもテストステロン産生の減少を認めています。

人間の研究では、妊娠中のアセトアミノフェンの使用により、生まれた男児の性器と肛門の距離が短くなったという報告もあります。

以前の記事もマウスでの報告でしたが、同じようにマウスでの研究では妊娠中のアセトアミノフェンの使用により生まれてくる女児の卵子の数が減少したというものがあります。

生殖関連だけでなく、注意欠損や多動、行動障害との関連も多数報告がされています。

例えば、

「Maternal use of acetaminophen during pregnancy and risk of autism spectrum disorders in childhood: A Danish national birth cohort study」

「妊娠中の母親のアセトアミノフェン使用と幼児期の自閉症スペクトラム障害のリスク:デンマーク国民出生コホート研究」(原文はここ

「Association of Acetaminophen Use During Pregnancy With Behavioral Problems in Childhood: Evidence Against Confounding」

「妊娠中のアセタミノフェン使用と幼児期の行動障害との関連:混乱に対する証拠」(原文はここ

そして、今回は言語の発達に対しての報告です。

「Prenatal exposure to acetaminophen and children’s language development at 30 months」

「アセトアミノフェンへの出生前曝露と30ヶ月での子どもの言語発達」(原文はここ

要約

目的
生後30ヶ月の子どもの言語発達に関連する出生前アセトアミノフェン曝露を調べること。

結果
8〜13週目に登録された女性の59.2%が、受胎と登録の間にアセトアミノフェンを使用したと報告した。アセトアミノフェンは全ての尿サンプルで測定可能であり、尿中アセトアミノフェンは妊娠中に使用したアセトアミノフェンの数と相関した。男児(12.6%)では女児(4.1%)(合計8.5%)より言語遅延が多くみられた。アセトアミノフェン錠剤の数および尿中アセトアミノフェン濃度は、いずれも女子ではより大きな言語遅延と関連していた、男児では関連はなかった。母親の報告で6回以上アセトアミノフェンを使用した女児の言語遅延の可能性はアセトアミノフェンの使用が0の女児と比べて5.92倍高かった。母親の尿中アセトアミノフェンが最も低い四分位群と比較して最も高い女児の言語遅延の可能性は、10.34倍であった。

結論
出生前アセトアミノフェン使用の蔓延と言語発達の重要性を考えると、これらの知見は妊婦が妊娠中にこの鎮痛薬の使用を制限すべきであることを示唆している。

 

妊娠中により多くのアセトアミノフェンを使用した母親から生まれた子供のIQの低下およびコミュニケーションの問題の増加を報告した研究もあり、その結果と一致しています。

やっぱり妊娠中のアセトアミノフェンの使用にはリスクがたっぷりありそうです。

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