LDLコレステロールは本当に動脈の血管内腔から血管内皮を通って、アテローム性動脈硬化を起こすのか? その6

よく、LDLコレステロール値が高くなると動脈壁の中に入りやすくなり、アテローム性動脈硬化のプラークができるという説明をされることがあります。しかし、実際の大動脈から得られたプラークを分析すると、そこには平均してVLDL+IDLが3分の1以上を占めるようです。人によってはLDLよりもVLDL+IDLの方が多い人もいます。

それぞれの大きさは次のようです。

カイロミクロン 粒子径80~1000nm、VLDL 粒子径30~80nm、IDL 粒子径25~30nm、LDL 粒子径18~25nm、HDL 粒子径7.5~10nm です。

つまりLDLよりもかなり大きなVLDLがたくさん入り込んでいるのです。血管の内皮細胞が傷害されて、そこから入り込んだと考えると、VLDLさえ通してしまうような穴が開いていることになり、カイロミクロン以外のどのリポタンパクもスルスルと入ってしまうことになります。そうするとLDLコレステロールさえ低下させれば安心ではありません。とにかくリポタンパクを下げなければならなくなります。

そうではなく、実際には血管の内腔ではなく外膜からの新生血管が内膜の外側に伸びていき、そこからリポタンパクが動脈壁に侵入することが推測されます(「その3」「その5」など参照)ので、恐らくどんなリポタンパクも、もしかしたらカイロミクロンでさえ容易に動脈壁には侵入が認められる可能性すらあります。問題なのはそこに留まるかどうかです。プロテオグリカンのビグリカンと結びつくかどうかでそこに留まるかどうかが決まるかもしれません。また、留まったとしてもHDLが上手にコレステロールを引き抜いてくれれば良いのかもしれません。

これまで小さな高密度のLDLであるsdLDLは小さいので血管内皮の隙間からより入りやすい、という説明がされている場合がありました。しかし、実際にはVLDLさえ入り込んでいるのですから、粒子の大きさはほとんど関係ないことになります。つまり、小さなLDLはビグリカンと結合しやすい特徴を有しているからそこに多く存在するのであり、小さいからという理由ではないのです。もちろん結果としてsdLDLが多いことはリスクが高くはなります。

そうすると酸化LDLというのも何か怪しい感じがしてきました。sdLDLが酸化しやすく、酸化LDLになってプラークを形成するというものです。本当でしょうか?また宿題が増えました。

「Triglyceride-rich lipoproteins isolated by selected-affinity anti-apolipoprotein B immunosorption from human atherosclerotic plaque」

「ヒトアテローム性動脈硬化プラークからの選択親和性抗アポリポタンパク質B免疫吸着によって単離された中性脂肪に富むリポタンパク質」(原文はここ

我々は、VLDLがアテローム性動脈硬化病変に侵入して組み込まれるかどうか、およびプラークのアポB含有リポタンパク質が血漿から単離されたアポB含有リポタンパク質とどのように異なるかを決定するために、ヒトアテローム性動脈硬化性プラークおよび血漿由来の免疫反応性アポリポタンパク質B(apoB)含有リポタンパク質を単離した。アテローム動脈硬化プラークは、大動脈手術中に得られ、直ちに処理された。リポタンパク質は、緩衝生理食塩水中の細かいプラークから抽出した(抽出物A)。選択されたケースでは、プラークをコラゲナーゼと共にインキュベートした後に第2の抽出を行った(抽出物B)。次いで、抗アポB免疫吸着によって抽出物からリポタンパク質を単離し、超遠心分離によってVLDL+IDLおよびLDLを分画した。プラークからのVLDL+IDL分画は、抽出物AおよびBの両方において総アポB関連リポタンパクコレステロールの3分の1以上を含んでいた。両方の抽出物におけるVLDL+IDLの脂質組成は、血漿VLDL+IDLの脂質組成と関連していた。電子顕微鏡法により、抽出物AおよびBからのVLDL+IDLの平均粒子直径は、それぞれ血漿由来のVLDL+IDL直径よりも9%および23%大きかった。抽出物AおよびBからのLDLの平均直径は、血漿由来のLDL直径よりも11%および31%大きかった。抽出物AのVLDL+IDLのapoE-apoB比は、血漿VLDL+IDLのほぼ2倍であり、抽出物AのLDLの数倍高かった。抽出物AのVLDL+IDLおよびLDL両方の免疫ブロットは、apoBの最小限の断片化を示した。

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