立(勃)たなくなったら糖質制限?

男性の方へ、あなたの息子さんはお元気でしょうか?高齢者は別としても、まだ40~50代やそれよりも若い男性で、息子さんが元気がなくなってきた場合、非常に気をつけなければなりません。

勃起不全(ED)は、満足な性行為を行うのに十分な勃起が得られないか,または維持できない状態が持続または再発することと定義されています。ブラジル、イタリア、マレーシア、日本の4カ国の40~70歳の2,417名を調査した研究では、年齢調整後の有病率はブラジルで15.5%、イタリアで17.2%、マレーシアで22.4%なのに対して、日本ではなんと34.5%と非常に高かったのです。40歳以上の3人に1人以上がEDなのです。びっくりの数字です。もちろん年齢とともに有病率は増加するようです。

リスクファクターとして、加齢、糖尿病、肥満/運動不足、心血管疾患/高血圧、喫煙、テストステロン低下、慢性腎臓病/下部尿路症状、神経疾患、手術/外傷、うつなど精神的因子、薬物の11の因子が考えられています。心因性や薬物、そして外傷や手術などに起因するものは別として考えてみましょう。

日本人のデータも含む研究では、糖尿病の人の35~90%にEDが発生すると言われています。非常に高頻度です。そして、肥満や心血管疾患などと合わせて考えると、本当の元凶はインスリン抵抗性であると考えられます。

比較的若い人を対象にした研究があります。対象になったのは18〜45歳の283人の男性(平均年齢32.9±6.8歳)です。(図は原文より)

上の図は臨床的な心血管疾患のない若いED患者において、心血管系のリスクファクターをどれだけ有しているかの割合です。もっとも多いのがインスリン抵抗性(IR)であり52%でした。さらに、インスリン抵抗性を有するED患者はより多くの心血管系のリスクファクターを有していました。インスリン抵抗性はEDやその重症度に独立して関連していました。

インスリン抵抗性によるEDのメカニズムはまだはっきりしていませんが、血管の内皮機能障害を起こし、血管拡張を減少させるからではないかと考えられています。

また、以前の記事「毛が抜け始めたら糖質制限?」にも書いたこととは反対になりますが、男性ホルモンのテストステロンがインスリン抵抗性で減少することがあります。通常インスリンの増加はテストステロンを減少させます。男性ホルモンも勃起には必要なものなので、EDのリスクにもなると考えられます。インスリン抵抗性はもしかしたら様々な状況によりホルモンバランスを乱し、ときには男性ホルモンを異常に増加させ、ときには異常に減少させるのかもしれません。男性ホルモンが増加に向かうと毛が抜け、減少に向かうと立たなくなるのでしょうか?しかし、若くても毛が抜け、EDの人もいます。その場合はどのように考えるのでしょう。別のメカニズムがあるのかもしれません。まだよくわかりません。

心因性のEDももしかしたらインスリン抵抗性が関係しているかもしれません。以前の記事「うつ、不安障害・気分障害などの一般的な精神障害の原因の一つは糖質過剰摂取である」「うつ病の大きな原因のひとつは炎症である」に書いたように精神疾患には糖質過剰摂取、インスリン抵抗性それに伴う脳の炎症が大きく関係している可能性があります。そうすると心因性という言葉に隠れて、結局はインスリンが悪さをしているかもしれません。

いずれにしてもインスリン抵抗性は心血管疾患をはじめ様々なリスクを高めます。ED重症度と冠状動脈石灰化との間に有意な相関があるという研究もあります。

「立(勃)たなくなったら、糖質制限」を始めましょう。

「Insulin Resistance Is an Independent Determinate of ED in Young Adult Men」

「インスリン抵抗性は、若年成人男性の勃起不全の独立した決定因子である」(原文はここ

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コメント

  1. 登山好きのランナー より:

    清水先生こんにちは!
    ちょっと恥ずかしいのですが子供のサッカー応援で炎天下の下、水分塩分補給しまくってたのにさすがにダウンしちゃって先日提供した血液検査の後、もう一度血液検査をしてもらい血中ケトン体分画オーダーしました。
    総ケトン体:1273
    アセト酢酸:325
    3-ヒドロキシ酪酸:948
    ちなみに検査の1時間前ぐらいに朝食で味噌汁、トマトジュース、検査する前にOS-1を2本摂取した状態で血糖値135と高めでした。前日、サッカー打ち上げで生ビールをけっこう飲んでます。昨日検査結果出たようでケトン体パニック値で検査のひとがぼくを探してたみたいなんですが休んでたので先生からは何もまだ言われてません。
    この数値っていわゆるケトン体質に近づいてるってことなんですかね?

    ちなみにスーパー糖質制限やりだして最近ものすごく元気です。著書でもEDも改善するって書いてたのを思い出してこれそうなのかな?なんて思ってました。発散する場所なくて困ってます(笑)

    • Dr.Shimizu より:

      登山好きのランナーさん、コメントありがとうございます。

      水分塩分を補給したって、この夏の暑さで、湿度も高ければ、熱中症になります。汗が出たって体温下がりませんから。
      応援程度の汗であれば塩分補給も食事以外では通常必要ありません。

      ケトン体は十分出ているので、糖質制限は順調のように思いますが、
      前日も糖質をたくさん摂って、当日も糖質をたくさん摂っているのにこのようなケトン体が高値であるというのは、なぜかわかりません。
      他の要因があるのかもしれません。
      パニック値は糖質過剰摂取者にとってのパニック値ですから気にしなくても良いです。

      体がケトン体質になれば、かなりの強度まで「脂肪酸-ケトン体エンジン」で行けると思います。

      なぜ検査の前にOS-1を1000ml飲んだのでしょう?人体実験ですか?なぜこのタイミングでOS-1ですか?
      日常でOS-1が必要な場面はありません。(企業の宣伝に騙されないでください)
      運動後でも汗の量があまり多くなければ、普通は水で十分なはずです。

  2. 登山好きランナー より:

    お返事ありがとございます。

    検査前にOS-1を飲んだのは医局で先生にちょっと脱水症状出てるみたいで頭がぼーっとするんですって話をしたら後で診察するからそれまでに喉の渇きがなくなるまでOS-1を飲んでおきなさいと言われたので飲みました。頭ぼーっとしてたので判断能力が鈍って言われるまま診察呼ばれるまでOS-1を2本飲んでしまいました。診察してもらってOS-1二本飲んだと言ったらおさまるから血液検査だけして様子見ましょうかと。確かにその時、けっこう意識はっきりしてきてたので血液検査のついでにケトン体分画も頼んだしだいです。で、昼食後に両手がしびれてきたのでもう一度診察してもらって点滴となりました。点滴後すぐに復活しました。

    • Dr.Shimizu より:

      登山好きのランナーさん

      ちょっと時間経過がわかりにくいのでコメントが難しいですが、熱中症が良くなり良かったです。